未来の最高の自分を想像すれば幸せになれる?問題
最高の自分を想像すれば幸せになれる?
よく自己啓発の世界では「最高の未来を想像しよう!」なんてことが言われますな。「いまから5年後の最高の自分を想像すると成功する」みたいな話で、特に「引き寄せの法則」系とかでよく見かけますね。
まぁ、この手の話をガチで信じている方は少ないでしょうが、実は心理学の世界では、昔から似たようなテクニックが提唱されてたりします。その名も「Best Possible Self Intervention」と言いまして、ざっくり直訳すると「『最高の自分』介入法」みたいな感じ。
その具体的な方法はと言いますと、
- 最高な自分を想像する未来の時間を決める(いまから半年後とか5年後とか)
- 決めた未来までに全てのことがうまくいき、最高の状態を達成した自分の姿を想像する
- このとき、最高の自分は「現実的」な範囲にとどめる(石油を掘り当てて王様になるとかはダメ)
- 最高の自分を想像したら、さらに細部にわたって紙に書き出す
みたいな感じ。これだけでメンタルが確実に改善し、前向きなキャラになれるんだそうな。ビジネス書なんかでも、よく似た手法をオススメしているのを見かけますな。
ついに「最高の自分」問題に決着が
が、このテクニックの効果については、昔から心理学界でも意見がわかれてまして、「ポジティブな性格に変われる!」という人もいれば、「まったくのムダ!」という人もいたりしたんですよ。悩ましいですねぇ。
といった状況下、近ごろ「『最高の自分』介入法」に関するメタ分析(1)が出まして、ようやく論争に一段落がついた感じであります。
これはニューイングランド大学の研究で、過去の実験データから質の高い29件を選んで、すべてをまとめあげたもの。現時点では、もっとも信頼性が高い内容になっております。
短期的な効果はあるが長期的にはNG
で、 結論から言うと、
- 最高の自分を想像すると、間違いなく楽観的になる!
というもの。「『最高の自分』介入法」を実践した参加者は、統計的にハッキリとポジティブになったんだそうな。正直なところ効果量としてはそんなに大きなものでもないんですが、とりあえず明確な違いは出るみたいすっね。
一方で、この手法の難点としては、
- 持続時間が短い可能性がある(1〜2日ぐらい?)
- この手法を使いすぎると効果が低くなる
って結果も同時に出てたりします。つまり「『最高の自分』介入法」は長期的にずーっと使うんじゃなくて、メンタルが弱ったあたりで応急処置的に用いるのがいいのかもっすね。
まとめ
そんなわけで、この研究から得られる教訓としては、
- 死にたくなるほどヘコんだ夜などには、最高の自分を想像してみるのは十分に有効
- 長期的に連用はせず、散発的に使うのがよさげ
ってことでしょうか。緊急時のライフラインとして使うのはアリだけど、長期的な利用は止めといたほうがよさげであります。ポジティブは、用法用量を守って正しくお使いください。