家事ぐらいの運動だろうが70%も死亡率を下げてくれるぞ!というメタ分析の話
https://yuchrszk.blogspot.com/2019/08/70.html
「パレオダイエットの教科書」では「健康になりたきゃNEATを増やそう!」みたいな話を強調しております。NEATってのは皿洗いとか庭掃除みたいな日常的な活動のことで、わざわざ辛いエクササイズに取り組まなくても、普段から細かく家事をするだけでも健康にはいいんじゃない?みたいな考え方のことです。
で、新しく出た論文(R)もNEATのすばらしさを再確認できる内容になってました。
これは過去の運動研究から36,383人分のデータをまとめたメタ分析で、ハーバードやらコロンビアやらボストンやらのそうそうたる研究機関が名を連ねております。なかなか信頼度が高くてよろしいのではないかと。
具体的にどんなデータを調べたのかと言いますと、
- 参加者に活動量計をつけてもらい、日中の活動レベルをチェック
- 参加者を追跡調査して、死亡率との関係をチェック
みたいになってます。参加者の平均年齢は62.6歳で、フォローアップ期間はだいたい5.8年。その間に2149人が鬼籍に入ったそうな。
もちろん各データによって数値の解釈が違うんで、今回の研究チームは原論文の著者に問い合わせて生データを取ったりしてるのが素晴らしいところ。実に骨の折れる作業で、まことにありがたいですねぇ。
それでは、どのような結果が出たかを見てみましょうー。
▼全体的な傾向
- 活動量がもっとも低いグループにくらべて、活動量が多いグループは73%も早期死亡率が低かった
- ただし、活動量が2番目に低いグループでも、活動量がもっとも低いグループよりは早期死亡率が52%も低くなっていた
▼軽い運動に限った場合の傾向
- ウォーキングなどの軽い運動の量が多い人は、活動量がもっとも低いグループよりは早期死亡率が62%も低くなっていた
- 軽い運動のメリットは、1日の合計が375分で最大になった
- ただし、1日60分の軽い運動でも、体をまったく動かさないよりは早期死亡率が40%も低くなる
- 軽い運動の内容は、ウォーキングはもちろん「掃除」や「庭仕事」のような家事でもいい
▼中レベル〜強いレベルの運動に限った場合の傾向
- ランニングや水泳などの負荷が高い運動の場合、まったく運動をしない人よりも早期死亡率が48%も低くなっていた
- 負荷が高い運動のメリットは、1日24分で最大になった
▼ほとんど体を動かさない場合の傾向
- ひたすら座って仕事をしている人は、座って過ごす時間が少ない人にくらべて263%も早期死亡率が高くなる
- 座っている時間が1日7時間を超えたあたりから死亡率は高まり、9.5時間を超えたあたりから激増する
- 1日に12時間以上を座りっぱなしで過ごす人は、早期死亡率が292%も高くなる
ということで、わりと明確な数値が出てますね。まぁ参加者の年齢が高いので20〜30代にも同じ数値が通じるかはわからんのですが、先行研究と照らせば「家事レベルの軽い運動でも健康メリットは得られる!」って可能性はかなり高いように思います。
「運動は嫌い!」とか「座り仕事ばかりで辛い!」みたいな方は、とりいそぎもっと家事を真剣にやってみるといいかもしれませんねー。