今週半ばの小ネタ:説得力が高まる声の出し方、犬との暮らしは超体にいい、他人の心を読むのがうまいのは男か女か
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
説得力が高まる声の出し方とは?
まずは「インビジブル・インフルエンス」で有名なジョーナ・バーガーさんによる論文(R)で、「説得力が高まる声の出し方とは?」って問題を調べてくれております。
具体的には4つの実験で構成されてますが、基本的にはだいたい同じで、
- 声の調子を色々と変えて参加者に話をしてもらう
- それを第三者が聞いてどう感じたかを尋ねる
みたいになってます。その後、「どんな話し方の人にもっとも納得したか?」ってのを調べたところ、だいたいの人は以下の3つのポイントに左右されてたんだそうな。
- 話し方にやたらと抑揚がある(ダラーっとしゃべらない)
- とにかく声が大きい
- たまにピタッと空白の時間を作る(マシンガントークをしない)
ってことで、思わずヒトラーの演説を思い出すような結果になっております。このような話し方をする人は、たんに説得力が上がるだけでなく、
- いかにも自信ありげに見える
- 心から本当のことを言っているようにも見える
って印象が激増したそうで、当たり前だけど話し方って大事だなぁと思った次第です。私の場合も、内向性が高い生でついボソボソしゃべりがちなもんですから、気をつけないと……。
犬との暮らしは超体にいいぞ!
続いてはウプサラ大学の研究(R)で、結論から言えば「犬との暮らしは超体にいいぞ!」のようになります。
具体的にはスウェーデンで暮らす3,432,153人を対象にした観察研究になってまして、
- 全員がどれぐらいの時間を犬と過ごしているか?
- 心臓病や脳卒中がどれぐらいの率で発症したか?
といったデータを12年にわたって取り続けて相関を見たんだそうな。ペットと人間の健康を調べたものとしては最大級じゃないでしょうか。
その結果を研究チームの言葉で引用しますと、
12年のフォローアップにより、犬を飼っている独身者は心疾患のリスクが下がり、犬を飼っている人すべてにおいて全死亡率が低下する傾向が見られた。
だったそうな。いちおう細かい数字も出しておくと、
- 犬を飼うと心臓病による死亡リスクが23%下がる
- さらにあらゆる病気で死ぬ確率が20%下がる
だったそうで、これはなかなかの数値じゃないでしょうか。確かに、犬と飼うとストレスも減るだろうし、運動量も増えるでしょうからね。
他人の心を読むのがうまいのは男か女か問題
最後はベルリン自由大学などの研究(R)で、304人の女性と241人の男性を対象にしたもの。どんな実験だったかといますと、
- 参加者たちに、平凡な男女が夕食の用意をしている様子を写した15分の動画を見てもらう
- 動画を見つつ登場人物の思考や感情を推測してもらう
みたいになってます。要するに、各自の心を読む力の違いをチェックしたわけですね。
そこでどんな結果が出たのかと、
- 全体的に女性のほうが男性よりも心を読む能力は高かった
- 女性は、男性よりも女性の心を読むのがうまかった
- 男性も、男性よりも女性の心を読むのがうまかった
ということで、基本的には女性のほうが他人の心を読むのがうまく、さらに性別ごとの比較では、男女を問わず女性の心を読むほうが得意だったみたい。
このような傾向が出た理由はわからんですが、まぁ女性のほうが男性よりも感情表現が豊かだからなのかもですね。また、先行研究などを見てますと、女性のほうが積極的に自分の感情を他人とシェアする傾向もありますんで、その分だけ心を読むスキルも高くなるだろうなーと思われます。
ちなみに、その他の知見としては、
- みんな若いころのほうが他人の心を読むのがうまい
- 他人の心を読む能力は30歳から低下をし始める
みたいな傾向もあったそうで、これまたおもしろいポイントですねー。