今週半ばの小ネタ:新型コロナと漸進的筋弛緩法、瞑想リトリートの効果、恋愛の成功率が低い人の特徴
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
新型コロナの不安と不眠に定番リラックス方が効くかも
新型コロナの不安と不眠に「漸進的筋弛緩法が効くかも!」って研究(R)が出ておりました。まだ予備研究って感じですけど、ちょっとメモっときましょう。
この研究は、2020年1月1日から2月16日までに中国の病院に新型コロナで入院した51人の患者を対象にしたもの。チームいわく、
多くの患者が、隔離の治療後に不安と睡眠障害を発症した。睡眠促進剤の中には呼吸を抑えてしまうものがあり、さらにウイルスは主に肺組織に影響を与えて呼吸抑制を増加させる。そのため、COVID-19患者の不安を緩和し、睡眠の質を向上させるために、漸進的筋弛緩法のトレーニングを使うことにした。
とのこと。漸進的筋弛緩法ってのは1920年代から使われてるリラックス法で、手足や腹部、首などに順番に力を入れたらリリースする作業をくりかえして、少しずつ全身の筋肉をゆるめていくのが定番のやり方っすね。緊張や不安が起きると緊張が筋肉するものなんで、これを意図的にゆるめるわけっすね。
参加者の半分は、漸進的筋弛緩法を1日約30分を5日間連続で実施。残りの患者は日常的なケアと治療のみを受けまして、両グループの違いをチェックしたら、
- 対照群と比較して、漸進的筋弛緩法を実践した患者は、5日後に不安レベルが低下し、睡眠の質が改善されやすかった!
って結果だったそうな。さすが歴史あるトレーニング法だけに、新型コロナの不安と不眠にも効くかもしんないわけっすね。漸進的筋弛緩法はひとりでも簡単にできますんで、新型コロナ対策だけでなく、普通に不眠にお悩みの方などもお試しいただくといいんじゃないかと。
瞑想リトリートの効果すごすぎる説
マインドフルネス研究を多く手がけるカリフォルニア大学デービス校が、「瞑想リトリートの健康効果がすごいかもよ?」みたいなデータ(R)を出しておられました。リトリートってのは、どこか人里離れた場所で外界の情報をシャットダウンして瞑想を続ける手法のことです。
ここでは60人の参加者を無作為に3ヶ月間の瞑想リトリートに送り込みまして、
- みんなに1日に約6時間ずつ集中瞑想をしてもらう(なんか特定のものに意識を向け続ける瞑想)
- 最初のリトリートの開始からおよそ5週間後に集中力の変化をチェック
- ついでに血液検査も行って体内の炎症レベルもチェック
って感じで効果をチェックしてます。すると、リトリートに参加したグループは、
- 注意力を一箇所に維持するのがうまくなった
- 体内の炎症マーカーも改善していた(逆に体内の炎症レベルが高い人は注意力も低かった)
ってな変化が見られたそうで、まことによろしい感じがするわけです。
まー、ただしこの手の実験はどれも同じ問題を抱えてて、「それって瞑想じゃなくて休暇のおかげなのでは?」って可能性を否定できないとこですね。3ヶ月も人里離れて対人ストレスのない場所で暮らしてたら、そりゃあ気分も改善して体調も良くなるのでは?って気もしますからねぇ。意地悪く考えれば、瞑想トレーニングが効いてない可能性も十分にあるわけです。
このあたりは今後の実験で切り分けてもらうしかないでしょうが、個人的には定期的にどこかにリトリートしたいなぁ……とか思いますね。
恋愛の成功率が低い人の特徴
恋愛の成功率が低い人の特徴はこれだ!みたいなデータ(R)が出ておりました。どんな研究だったかと申しますと、
- 18歳から80歳までの成人531人を集める
- みんなの愛着スタイルを調べる
- ジェロトフォビアのレベルも調べる
みたいになってます。ジェロトフォビアって初耳だったんですが、簡単に言えば「笑われるのを恐れる人」のことで、自分の失敗や挫折について必要以上の恥を覚え、笑われるのを恐れるタイプを意味するそうな。ちょっといじりづらいタイプの人に多い感じですかね。
で、データを分析したら、こんなことがわかりました
- ジェロトフォビアのレベルが高い人ほど、恋愛のパートナーができる確率も低かった
- ジェロトフォビアの人は、不安型の愛着スタイルを持つケースが多かった
というわけで、恥ずかしいところを必死で隠したり、自分のネガティブを見せないようにがんばる人ほど、恋愛がうまくいきづらい!との結論であります。
まー、恋愛に限らずすべての対人関係では「自分の弱点をどこまでさらけ出せるか?」ってのが大事だったりするので、そこに抵抗があったら親密な関係は築きづらいでしょうね。といっても、ジェロトフォビアを修正するのも大変そうではありますが……。