アスリートって確かに良い体をしてるけど、それって健康なの?について調べたレビューの話
「アスリートって確かに良い体をしてるけど、それって健康なの?」みたいな話(R)がおもしろかったんでメモっときましょう。
これはオークランド工科大学のSPRINZによるレビューで、見た目がバキバキなトレーナーやモデルさんは、果たしてそこまで健康なのか?って問題を取り扱っております。実際のところ、有名なフィジカルトレーナーがワークアウト中に心臓発作を起こしたりするケースはままありまして(ボブ・ハーパーさんとか)、「見た目がかっこいい人たちはどこまで健康なのか?」と疑いたくなるのも当然ではありましょう。
で、このなかでチームはまず「フィットネスと健康は違う概念だから分けようぜ!」と提案しておられます。つまり、
- フィットネス=特定の運動やパフォーマンスを効率よく実行する能力
- 健康=身体の生理学的システムが万全に働いている状態
みたいな区分けですね。この考え方に照らせば、多くの専門家が「フィットネスだけど不健康」な状態におちいってるケースはよく見受けられるところでしょう。
「フィットネスだけど不健康」が起きる要因はいくつもありますけど、もっとも大事なのはやっぱり「食事」。チームの見解をざっと並べていくと、
- 現代のアスリートは糖質系サプリメントを使うケースが多く、その結果として、グリセミック指数が高いうえに添加物たっぷりな精製加工食品の過剰摂取につながっている
- フローニンゲン大学医療センターの研究では、食事の代わりにプロテインバーやカフェインが多いエナジードリンクの摂取量が多いと、脂肪の燃焼率が悪くなるだけでなく、炎症や身体の痛みの上昇が起きる事態も確認されている
みたいなポイントが上がっておりました。フィットネスに重点を置いた食事は精製された糖質の増加につながることが多く、最終的に見た目はよくても健康状態は悪くするケースがよくあるんだよーってことですね。
さらに悪いことに、フィットネスに重点を置いた食事は、長期的に健康状態を悪化させるだけでなく、運動のパフォーマンスの向上にもつながらない可能性も指摘されてまして、
- ケープタウン大学の研究によれば、一部のアスリートに好まれる高タンパク高脂肪の摂取は、筋肉の回復という目的のためには役に立たないとの結果が出ている
- 同じように、高タンパク高脂肪食を実践しているプロのサイクリストは、安静時と活動時の両方の状態でグルコースを生み出しづらく、競技前に糖質をたくさんとるだけでは、実際の運動で必要な量を補うことができないことが示されている
ってな話になっておりました。これもまたよく聞くとこではありますが、そりゃあ糖質はとった方がいいっすよね。
でもって、このような不健康な食事のままガンガンにトレーニングをしてしまうと、HPA系を介してストレスが激増しまして、
- 慢性的な炎症と痛み
- 活性酸素の増加
- 神経系の障害
- ホルモンバランスの不調
- 摂食障害
- 抑うつ
- 不眠
- 不安
- モチベーションの低下
みたいな状態におちいっていくそうな。見た目は筋肉バキバキでいかにもアクティブそうな人が、実は不眠やらモチベーション低下に悩んじゃうケースは、確かによく見かけますねぇ。というか、かつて私が体脂肪率を一桁に減らす実験をしたときも、不眠と抑うつに悩んだ経験がありますんで非常によくわかります。
まー、このレビューで挙げられた問題点は、いずれも「精製レベルが高いものを食べているのが原因」で起きてますんで、そこらへんの対策は楽っすね。パレオダイエットでも地中海式でもなんでもいいんで、クリーンな食事に変えればいいだけなんで。