卵の白身だけ vs. 全卵!筋トレに役立つのはどっちだ!みたいな実験データのお話
「卵の白身 vs. 全卵!筋トレに役立つのはどっちだ!」みたいなデータ(R)が出てておもしろかったです。
ご存じのとおり、卵の白身はタンパク質のかたまりで、いっぽうで黄身は脂質がたっぷりなので、ビルダーさんのなかには卵白しか取らない人もいるわけです。果たして、卵の黄身は筋トレに役立つのかどうかのか?ってのが、今回のテストのポイントですね。
実験は30 人の若い男性(だいたい平均25歳)を対象にしてて、少なくとも 1 年間の筋トレ歴を持つ人だけを選んだとのこと。テストでは参加者を2つのグループに分けまして、
- 全卵+筋トレ
- 卵白だけ+筋トレ
のどっちかにランダムで割り付けたそうな。全卵グループは卵を毎日3個ずつ食べ、卵白だけグループは毎日卵白のみ6個ずつ摂取し、これを12週間続けたとのこと。卵を食べるタイミングは、週3回の筋トレの直後か、またはトレーニングがないの午前中だったそうです。
また、すべて参加者は、1日に摂取するタンパク質を体重1キログラムあたり1.4〜1.5グラムに保つように指導されたとのこと(卵のタンパク質も含む)。コンプライアンスを確実にするために、研究者が毎日参加者の卵の摂取量をモニターしたそうで、なかなかしっかりしてますな。
ちなみに、全卵3個と白身6個を比べると、栄養価には以下のような違いがございます。
- カロリー
- 全卵3個=246kcal
- 白身6個=89kcal
- 総脂質
- 全卵3個=19g
- 白身6個=0.2g
- タンパク質
- 全卵3個=19.7g
- 白身6個=20.5g
また、週3日の筋トレは全身をくまなく鍛えるメニューが指示されていて、
- 軽めの日=1RMが12~14回の負荷で3セット
- 中等度の日=1RMが8~10回の負荷で3セット
- 重めの日=1RMが3~5回の負荷で3セット
って感じでその日ごとに負荷を変えたらしい。その上で、12週間後に筋肉や体脂肪にどんな違いが出るかをみたわけですね。
で、結果はこんな感じです。
- 研究中の食事の違い:両グループとも、1日ごとに同じレベルのカロリー、タンパク質、炭水化物、脂肪をとっていた
- 体型の変化:
- 体脂肪率は全卵グループのほうが減っていた(体脂肪率変化率:-2.7 % vs -1.7 %)
- 全卵グループのほうが筋肉も増えた(全卵:前=64.1±8.6kg、後=67.8±8.4kg 卵白:前=63.2±4.7kg、後=66.1±4.6kg)が、グループ間の有意差はなかった
- 太ももの筋肉サイズは、両グループに差はなかった
- 筋力の変化:
- 脚力と握力は、全卵グループのほうが向上した(脚力:+11.2kg vs +8.6kg)(握力:+7.3kg vs +4.8kg)
- ホルモンの変化:
- 全卵グループのほうが、テストステロンの増加率が高かった(+240 ng/dl vs. +70 ng/dl)
- 成長ホルモンやストレスホルモンの増加には有意差がなかった
ってことでして、ざっくりまとめると、
- 黄身も食べたほうが、最終的には筋力、テストステロン、筋肉量がちょっとだけ増えやすい!
みたいな感じっすね。全卵グループは体脂肪も下がってますけど、これは脂肪が減ったというよりは、筋肉の増加によるとこが大きそうかな、と。
まぁこれは当然と言えば当然の結果で、黄身はコレステロールが多いからそのぶんテストステロンも増えるでしょうし、各種ビタミンやホスファチジン酸、パルミチン酸などが豊富なんで、そのぶん筋肉のタンパク質合成がデカくなってもおかしくはなさそうではあります。短期間の実験なのでテストステロンの増加がどこまで貢献したかは謎ですけど、これも長期的には筋肉量の増加に役立つでしょうな。
まー、今回の実験には対照群が含まれてないので、どうしても解釈しづらいとこは出てくるんですけど、個人的には「やっぱ卵は黄味も食べた方がいいな!」とかあらためて思いましたねー。