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今週半ばの小ネタ:ベジタリアンと骨折、魅力的なまつげ、若者の浮気

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ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

     

 

 

ベジタリアンは骨折しやすいかも?

ベジタリアンは骨折しやすいかも?」みたいなデータ(R)が出ておりました。

 

 

これはイギリスで行われた大規模なベジタリアン研究から、5万4,898人を平均17.6年追いかけたデータをまとめたもの。研究では、参加者の食事パターンを4つに分けていて、

 

  1. 雑食グループ:肉も魚もなんでも食べる人たち
  2. ペスクタリアン:魚は食べても肉は食べない人たち
  3. ベジタリアン:肉と魚は食べないが乳製品と卵は食べる
  4. ビーガン:肉、魚、乳製品、卵を食べない完全な菜食主義

 

みたいに区別したうえで、それぞれの骨折の発生率と比べてます。すると、

 

  • ビーガンは骨折のリスクが高く、肉や魚を食べる人と比べて10年間で1,000人当たり14.9件ほど骨折発生の数が増える
  • 特にビーガンは太ももや足全体の骨折リスクが高かった
  • ビーガン以外のベジタリアンも、有意に骨折の発生件数が高かった

 

ってな結果が出てまして、どうも肉と野菜を食べないと骨折が起こりやすいみたい。

 

 

で、この結果を見て、反射的に「ベジタリアンはタンパク質とカルシウムが足りなくなりがちだから?」とか思ったんですけど、この研究ではタンパク質とカルシウムを調整しても骨折リスクが確認されてるんですよね。つまり、なんでベジタリアンに骨折が多いのかは謎としか言いようがないんですけど、菜食にこだわりがある方はお気をつけください。

 

 

 

最強に魅力的なまつげの長さとは?

最も魅力的なまつげの長さは目の幅の約3分の1!」みたいな話(R)が出ておりました。こちらは132人の大学生を対象にしてまして、まつげの長さを加工した11枚の顔写真を見せて、「どれが一番魅力的ですか?」と尋ねたそうな。

 

 

すると、まつげの長さと魅力度の関係は逆U字型になりまして、

 

  • まつげは長すぎても短すぎてもヤバいので、だいたい目の幅の約1/3が最高評価のピークになる

 

って結論だったらしい。なんでも長すぎるまつげと短すぎるまつげはどちらも障害や病気のシグナルになるので、ヒトの遺伝子には「ほどほどの長さのまつげ」に反応する仕組みが組み込まれてる可能性が高いんだとか。うーん、進化ってすごい。

 

 

もっとも、これはイギリスの研究なので、日本の文化には当てはまらないかもしれないんでご注意ください。この研究のポイントは、

 

  1. 昔から進化医学の世界では「まつげは人間の健康を表すサインなのでは?」って仮説があった
  2. 試してみたら、仮説どおりの結果が出た
  3. やっぱ「まつげは人間の健康を表すサイン」である可能性が高まった!

 

ぐらいの話になります。「人間っていろんなとこを見て他人の健康を自動的に判断してるんだなぁ……」ぐらいの感じで見ていただければと。

 

 

 

若者は浮気で成長する?

思春期の浮気には人を成長させる力がある?」みたいな話(R)が出ておりました。浮気や不倫といえば現行の日本では巨悪のようにあつかわれたりしますが、こと若者については良い側面もあるのではないか?みたいな話です。

 

 

ざっと研究デザインをまとめると、こんな感じです。

 

  1. 6つの高校から思春期の若者346人を集める
  2. みんなに「浮気をしたことがあるか?浮気をしたいと思う理由は何か?」を尋ねる
  3. みんなの自尊心やら一般的な幸福感を評価する

 

でもってすべてのデータをひっくるめたら、こんな傾向が見てとれたそうな。

 

  • 浮気をする理由に「性的な不満」や「感情的な不満」を挙げた参加者は、浮気によるネガティブな感情の増加が少なく、逆に自尊心や幸福度が向上する傾向があった

 

  • 浮気をする理由に「相手への怒り」や「当てつけ」を挙げた参加者は、普通に浮気によってネガティブな感情が増加した

 

というわけで、浮気をするモチベーションのタイプによって、若者は逆に自尊心がアップする……かも?ぐらいの話になってました。

 

 

チームいわく、

 

思春期とは、他者との親密な関係を通して、個人が自分のアイデンティティを形成する変化の期間だ。この時期、思春期の若者は自分のアイデンティティを固めようとして、新しい感覚や感情、行動を求め、そのせいで特定の人間関係へのコミットが難しくなる。

 

私たちの研究からわかるのは、一般には罪悪とみなされる「浮気行為」にもポジティブな側面があり、新たな感覚や感情を探求せねばならない若者の個人的な成長に貢献できるかもしれない、ということだ。

 

とのこと。若者は「自分は何者か?」を理解するためにいろんな経験が必要なので、そのためには「浮気」が役立つケースもあるのでは?みたいな話っすね。この研究はあくまで観察研究につき因果関係はわかりませんけど、10代にはそんな側面もあるのかもっすなー。

 

 

 

 

 

 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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