高成績を叩き出すトップパフォーマーたちに共有する「3つの練習ポイント」とは?みたいな研究
なにかを身につけるには練習が大事!ってのは当たり前でして、このブログでもいろんな技法を紹介してきたわけです。ここ数年だとやっぱ「ディープ・プラクティス」とかが有名っすね。
で、そういえば「効率の良い練習」について調べた古典的なデータ(R)をまとめたことがなかったんで、ざっと要点をメモっておきます。これは音楽学者のロバート・デュークなどによる調査で、ピアノを専攻する17人の学生を対象に、「効果的なピアノ練習法とはなにか?」って問題を調べてくれたんですよ。
研究ではみんなに「ショスタコービッチのピアノ協奏曲第1番を練習してねー」と指示。参加者が「これはもう弾けるな」と思うまで好きに練習してもらい、その翌日にどれぐらい弾けるかのテストをしたんだそうな。すると、各自が行った練習時間には大きな差が出まして、8分半から57分弱までのバラつきがあったらしい。
でもって、翌日のテストでは、前日に練習した小節をノンストップで15回弾いてもらい、それぞれの演奏の出来具合を第三者が採点してランクづけしたとのこと。その結果、まず何がわかったかといいますと、
- 練習時間が長くても順位が上がるわけではなかった
- 繰り返しの回数も順位に影響をあたえなかった
- 練習で正確に弾いた回数も順位には関係なかった
- 練習中に間違った演奏をした回数が多いほど、順位は下がる傾向があった
- 練習中に正確な演奏をした回数が多いほど、順位は上がる傾向があった
だそうです。練習時間や反復数はテストの成績にほぼ影響がなく、一番重要なのは「間違った演奏をした回数」だったんだ、と。ほほーう。
といっても、「上位のピアニストは最初からミスが少なく、単純に楽に曲を覚えられたのだ!」って話ではないのでご注意ください。と言うのも、研究チームは「トップのピアニストたちはミスへの対処法が大きく異なる」と指摘してるんですよ。
では、上位のピアニストはどのような練習をしていたのかと言いますと、
- ミスをするたびに間違った場所の正確な位置と原因を特定し、その原因を修正するように気を配っていた
- 曲を弾くスピードを数パターンに変化させ、難しいパートを正しく演奏するためにテンポを落としたり、自分の演奏レベルを試すためにスピードを上げたりしていた
- ミスが修正できたことを確かめるために、演奏が安定するまで間違った部分の練習を繰り返していた
だったそうです。上位のピアニストはミスの修正にことのほか敏感で、エラーが発生した場合はその場ですぐに対処してたわけっすね。
一方でランクが低かったピアニストたちは、ミスが起きてもとりあえず最後まで弾いてみたり、何も考えずに反復練習を繰り返してたんだそうな。つまり、上位のピアニストもミスはするんだけど、同じミスを繰り返さないように修正するのが上手いんだってことですね。非常に納得の結果ではないかと。
ちなみに、上にあげた3つの練習ポイントのなかで、もっとも効果的だったのは、
- 間違った場所をゆっくりと演奏する
って方法だったそうで、この手法により難所を正確に弾くことができるようになり、正しい指の動かし方を脳に送り込んでいたそうな。こちらも納得の結果ではないでしょうか。
もちろん、これはピアニストだけに特化した研究ですが、上に挙げたような、
- ミスをしたら、とにかくその場ですぐに修正するのだ!
- ミスした部分ほどていねいに反復を行うのだ!
っていうふたつのポイントは、その他のスポーツや勉強などでも使えるポイントでありましょう。ミスしたところを繰り返すのって苦痛なんですが、これは私も肝に銘じておかねばなりませんなぁ……。