今週末の小ネタ:人が怖い!にマインドフルは効く? 食べた脂肪で肝臓ダメージは変わる? 良い食事は口の中の良い菌も増やす?
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
人からの否定が怖い!にマインドフルネスは効くのか?
社会不安障害(SAD)にマインドフルネスは効く?って問題を調べたデータ(R)が出ておりました。SADは「人から否定されるのが怖い!」みたいな状態で、そのまま放置すると、仕事、勉強、プライベートの人間関係などいろんな分野に悪影響を及ぼすと言われてるんですな。
SADの一般的な治療法としては、薬と認知行動療法(CBT)が定番で、どっちかと言えばCBTのほうが優秀かなーといったところ。そこで近ごろ注目され始めているのが「マインドフルネスベースの介入(MBI)」でして、当ブログでおなじみの「マインドフルネス」で「他人が怖い!」を軽減しようという試みであります。
この研究は、合計861名の患者さんが対象のメタ分析で、11件のランダム化対照試験と5件のシングルアーム試験をレビューしたもの。実験の期間は8~12週間でして、マインドフルネス瞑想のトレーニングや各種テクニックが、SADの重症度に影響するかどうかをチェックしてくれてます。
その結果がどうだったかと言いますと、
- まったく治療を行わない場合よりもMBIは優れていたが、SSRIやCBTなどのエビデンスに基づく治療法と比較して効果が低かった
- ただし、MBIによるSADの改善は、治療を中止した後も12カ月間持続した(一般に、CBTとSSRIは治療が終わったら症状がぶり返す人も多いので、ここはナイスなポイント)
- MBIの作用は、抑鬱症状の減少、マインドフルネス、自分の優しさ、生活の質の改善などだった
だったそうです。こうして見ると、SADの治療にはやはりCBTがいいけど、マインドフルネス系も組み合わせていくのもありなのかなーって気がしますねぇ。
食べた脂肪の種類によって肝臓のダメージに違いは出るの?
お次は、「食べた脂肪の種類によって肝臓のダメージに違いは出るの?」を調べたデータ(R)です。カロリーを取りすぎると肝臓に脂肪がたまっちゃうのはよく知られた話ですけど、果たして食べ過ぎだけが問題なのか? それとも食事の脂肪の種類も問題なのか?ってとこを調べてくれたんですよ。
この研究は12週間のランダム化比較試験で、20〜55歳の過体重な61人を集め、飽和脂肪酸(SFA)または多価不飽和脂肪酸(PUFA)を多くふくんだ高カロリーのマフィンを食べてもらったとのこと。それぞれの参加者の1日のマフィン摂取量は、体重が合計で3%増えるように毎週コントロールされたそうな。高カロリーの期間は8週間ほど続いて、その後で4週間のカロリー制限を実施しております。
その結果、SFAグループとPUFAグループで体重の増え方は同じぐらいだったものの、SFAを食べたグループのみ肝脂肪が50%増え、肝酵素と血中脂質に悪影響が見られたらしい。一応、飽和脂肪の悪影響は4週間のカロリー制限で元に戻った(数値がベースラインに戻った)らしいんですが、やっぱ牛肉や豚肉の脂肪でオーバーカロリーにするのは良くないんですなぁ……。
良い食事は口の中の良い菌も増やすんじゃないすか
体内のバクテリアというと腸内ばかりが注目されますが、口の中にも良いバクテリアは住み着いてるわけです。これらのバクテリアは、虫歯や歯周炎などのトラブルにつながると考えられてまして、よろしくない食事をするほど悪い菌が増えちゃう傾向があるんですな。
ってことで新たなRCT(R)では、歯肉炎に悩む患者さん14名を集めて、こんな実験をしてます。
- 9名の参加者には、炭水化物が少なく、オメガ3脂肪酸、ビタミンC、ビタミンD、抗酸化物質、食物繊維を多く含む食事に切り替えてもらう
- 残りの参加者には、炭水化物たっぷりで栄養価が低い食事をしてもらう
実験期間は6週間で、定期的にツバと歯垢のサンプルを採取して、口の中に住むバクテリアの量を分析したんだそうな。
その結果がどうだったかと言いますと、
- 食生活を変えた参加者は、Streptococcus mitis、Granulicatella adiacens、Actinomyces species、usobacterium speciesのレベルが大幅に減少した!
だったそうです。いずれも虫歯や歯周炎につながるバクテリアでして、こいつらが減ったのはなかなか素晴らしいことなんすよね。まぁかなり小規模な試験なんでアレですが、良い食事は口の中のバクテリアも改善してくれるんだろうなぁ、ぐらいに思っておくといいでしょうね。