体脂肪を減らすなら有酸素?いやいや、筋トレもかなりの実力っすよ!みたいなメタ分析の話
体重を減らしたければ、外に出て走る必要があると考える人は多い。しかし、今回の研究結果は、筋力トレーニングだけを行った場合でも、体脂肪の減少を引き起こせることを示している。
この効果を得るために、意識的にダイエットをしたり、走りに行ったりしなくてもいいのだ。
と、いきなりニュースリリースの引用からはじめてみましたが、これはニューサウスウェールズ大学の研究チームによるコメントで、「筋トレだけでどれぐらい体型って改善するの?」って問題を調べたメタ分析(R)の結果がベースになっております。
この研究は、「筋トレと体型の変化」について調べた過去の調査から58の文献を選び出し、だいたい3,000人ぐらいの参加者のデータをまとめて大きな結論を出したもの。参加者は、ジムの筋トレ経験がない人がほとんどだったそうな。
それぞれの実験で使われた筋トレプログラムの内容はバラバラですけど、おおよその参加者は、
- 1回あたりのトレーニングは約45〜60分
- 週のトレーニング回数は平均2.7回ずつ
だったとのこと。プログラムの実施期間は約5カ月ぐらいで、みんなの体型がどれぐらい変わったかを見ております。一般的には「筋肉を増やすなら筋トレ!脂肪を減らすなら有酸素運動!」って考え方が多いでしょうから、今回のデータはとてもありがたいですねぇ。
で、要点だけをざっくり抜き出すと、以下のようになります。
- 約45〜60分の筋トレを週に2〜3回ずつ行うことで、約5ヶ月間でトータルの体脂肪量が1.4%減少していた
- 筋トレで体脂肪が減る量は、有酸素運動の効果と変わらない!
この数値は、だいたい5カ月で500gの脂肪が減るのと同じでして、わりといいんじゃないでしょうか。
では、なんで一般に「筋トレって体脂肪を減らすには不向きだよねー」みたいな印象があるのかと言いますと、
多くの人は、体重計に表示される数字、つまり総体重に注目する。しかし、この数字には、脂肪量、水分、骨、筋肉といった体を構成する他のすべての要素がふくまれる。
有酸素運動をしても筋肉が増えないことが多いが、筋力トレーニングをすると、筋肉量が増えて体脂肪が減るため、体重計の数字は有酸素運動をした後ほど低くはならない。
のように研究チームはコメントしておられました。筋肉は体脂肪より重いので、有酸素運動と同じように体重が減ってもそうは見えないケースが多いからではないか、と。それはありそうっすね。
さらにチームいわく、
筋力トレーニングで体型を変えたいと思っているなら、体重計の数字を気にしすぎてはいけない。
その代わりに、服のフィット感や、体の感覚や動きがどう変わるかなど、体のコンディション全体について考えたほうがいい。
「パレオダイエットの教科書」でも「体型の変化は見た目で判断したほうがいいよ!」と書いたんですが、この研究チームも同じご意見のようでほっとしました。体重計にとらわれてると誤差がデカいですからねぇ。
ただし、だからといって「筋トレだけやってりゃOK!」って話じゃないのでご注意ください。結局のところ、有酸素と筋トレを組み合わせてやったほうがいいのは間違いなく、研究チームも以下のように申しておられます。
脂肪を落としたい人最良のアプローチは、やはり栄養価の高い食事と、有酸素運動と筋力トレーニングの両方を含む運動習慣にこだわることだ。
自分が楽しめる運動、一番続けられそうな運動を選び、週単位のワークアウトルーティンを作るといいだろう。
ってことなんで、理想としてはやっぱどっちもやるのが正解ではあります。ただし、「有酸素運動が嫌いで嫌いで……」みたいな人は、そこまで気に病まずに筋トレのボリュームを増やすのも手だよーぐらいに考えておくといいんじゃないでしょうか。
にしても近年は、かつては「有酸素運動でしか得られない」と思われてた効果が筋トレにも認められるケースが増えてきて、とてもいいっすね。