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タウリンはどこまで運動のパフォーマンス改善に役立つんですかねぇ……という系統的レビューの話


  

リポビタンDでおなじみのタウリンについては、かねてから「一定の運動パフォーマンスアップ効果があると思うよー」みたいな話をしてまいりました。タウリンはアミノ酸の一種で、昔から体の疲れに効くのでは?と考えられてきたんですよね。

 

 

ただ、具体的に「どれぐらい使えばタウリンは意味があるの?」ってのはまだ謎だったんで、そこらへんを新たな系統的レビュー(R)が深堀りしてくれてて勉強になりました。

 

 

これは、タウリンと運動パフォーマンスについて調べた過去研究から、わりと精度が高めな10件をピックアップしたもの。そのうち半分はバイアスのリスクがあったようですけど、タウリンの調査としては現時点でもっともよくまとまってるんじゃないかと。

 

で、各論に対するタウリンのポイントはこんな感じになります。

 

 

  • ポイント1. タウリンで有酸素運動のパフォーマンスは上がるか?

    • 10件の研究のうち9件が「タウリンサプリと有酸素運動のパフォーマンス」をチェックしていた

    • 6つの研究では、血中の乳酸値への効果を調べたところ、運動を行う前にタウリンを補給しても、ランニングや水泳などの持久力トレーニングにおける乳酸値を低下させる効果は見られなかった(週6g)

    • ただし、運動の前後に1回1gのタウリンを1日5回ずつ飲むと、血中の乳酸値が有意に低下したとの報告もある

    • ある研究では、運動前に1.66gのタウリンを飲むと脂肪が燃えやすくなったと報告されている

    • さらに別の研究では、空腹時に有酸素運動を行う前に6gのタウリンを飲んだら脂肪が燃えやすくなったが、3gのタウリンでは脂肪は燃えやすくならなかったと報告されている。

    • 持久力トレーニング中に1回2gのタウリンを1日3回ずつ摂取したところ、DNAダメージが減ったとの報告もある

 

 

  • ポイント2. タウリンで筋トレのパフォーマンスは上がるか?

    • ある研究では、1日あたり0.05gのタウリンを14日間ほど使った後、21日間にわたって筋トレをしたところ、酸化ストレスが軽減されたおかげで、筋肉の疲れが減ったと報告されている。他の研究でも、タウリンは運動中に炎症カスケードを活性化することなく、酸化ストレスを防ぐことが確認された

    • しかし、タウリンは炎症に影響を与えないと報告した研究もある。

 

 

ってことで、さらに要点をまとめますと、

 

  • 運動と同時にタウリンサプリを飲む(1回2gを1日3回)ことで、DNAのダメージが減るっぽい
  • 運動前または運動後に1gのタウリンを飲むと乳酸値が低下するっぽい
  • 運動スタート前に高用量のタウリン(1回6g)を飲んでも乳酸値を低下させる効果はなっぽい

 

という感じになりまして、基本的には長い時間ぶっ続けで運動をするような人には、タウリンはお試しいただくのもアリなサプリかもしれません。筋トレにもそれなりに意味がありそうな感じですけど、まー現時点ではクレアチンほどは「飲むと役立つぞ!」とも言い難いですかね(摂取する量やらタイミングうやら、運動レベルによる違いもよくわからないし)。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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