自然はメンタルにいい!では、どれぐらい自然と接触すると効果が最大になるのか?の大規模研究
自然いいよ!アウトドアいいよ!って話は「最高の体調」でめちゃくちゃ強調したポイント。このブログでも、
といった話を紹介しております。もともと人類は大自然のなかで過ごしてきたんで、自然のなかで暮らしたほうが神経が落ち着くのだろうと考えられてるんですよね。
でもって、さらに新しいデータ(R)では、「自然の効果が最大化される接触量とは?」ってポイントを調べてくれてて非常に参考になりました。自然が体にいいのは間違いないけど、具体的にどれぐらい自然に身をさらすと、メンタル改善の効果はマックスになるのか?ってことですな。
これはヨーク大学などの研究で、自然とメンタルに関する14,321件のデータをスクリーニングし、そこから50件の研究を分析したもの。全体的にどのような「自然体験」の効果をチェックしたかと言いますと、
- ガーデニングや食品栽培などの園芸系アクティビティ
- 農業をメンタルの治療に使う系のアクティビティ
- 自然の保全と管理を目的とした環境保護系のアクティビティ
- 自然のなかでウォーキングやジョギングなどの中程度から激しい運動を行うアクティビティ
- 森林浴や自然の中でも瞑想など、自然を利用したストレス解消やリラックスのためのセラピー
- 自然の中でアートや工芸品を作るようなアクティビティ
- 日常的に自然のなかで働く職業(パークレンジャー、自然保護区管理、農業など)
みたいになってます。全体的にはガーデニングと自然の中での運動を調べた研究が多くて、それぞれが不安症状、ネガティブな感情、抑うつ症状、緊張感、幸福感、孤独感におよぼす影響をチェックしてます。
では、分析の結果から、おいしいところだけをピックアップしてみましょうー。
- 全体的には、自然のなかでの活動を1回20分から90分ずつ、これを8週間から12週間にわたって継続すると、気分の改善や不安の軽減の効果が最大になる
- 自然のなかで運動するときは、グループで20~50分間行った場合に最も効果が出る。また、屋外の自然で運動すると、気分が良くなり、不安が減り、ポジティブな感情を抱くようになる
- 4つの対照研究を見てると、ガーデニングは抑うつ症状を減らすのにかなり役立つっぽい
ということで、全体的に見ると「自然の中で集団で体を動かそう!時間は1回20分ぐらいを続けるといいよ!」って感じでして、生活の中に自然を取り込むためのガイドラインになってくれそうであります。
ちなみに、自然でメンタルが改善する理由について、研究チームは「注意回復理論(ART)」が大きいんじゃないの?と想定しておられます。これがどういうことかと言いますと。
- 人間の脳は、意識して一定の方向に注意を向けねばならない状況だと、ガンガン神経を使いまくってしまうため、これが認知的な疲労につながる(日常的な仕事や勉強でありがちな状態)
- 認知の疲労が起きると、決定力と自制心の低下、ストレスの増加など、心身の不調が起きる確率がはね上がる
- ところが、自然のなかにいると注意が程よく分散し、そのおかげで認知の疲労が起きづらくなる
みたいな話です。人工的な環境にいると注意が疲れまくっちゃうのが、自然だと注意を無駄に酷使しないので、それが良いのではないかって考え方っすね。
さらに研究チームいわく、
自然の中に身を置くことが健康に良いことは以前から知られていたが、今回の研究では、自然の中で何かをすることが、精神的な健康の向上につながるという証拠が増えてきたことを示す。
自然の中での活動により大きなメリットを得るためには、自然を受動的に見るだけではなく、意味のある方法で私たちと自然を結びつける手助けをするのが重要だ。
ってことですんで、たんに自然をながめるだけでなく、木登りをしてみたりとか、地形を生かしたゲームをしてみたりとか、自然環境とつながれるようなアクティビティをやってみるのが良さそうですな。