腸内環境を健康に整えてくれるポリフェノールはこの6つじゃない?みたいな話
「最高の体調」では、「ポリフェノールって実は腸内環境を整える役に立つんですよー」みたいな話をしております。果物、野菜、お茶、コーヒー、ワインなどにふくまれるポリフェノールが体に良いのは常識ですが、近ごろは腸内細菌のエサになったり、その結果として腸内環境へのメリットが多い短鎖脂肪酸を生み出すって報告が増えてきたんですよ。
でもって、エジプトロシア大学などのチームが行ったレビュー(R)では、「フラボノイド(ポリフェノールの一種)はどこまで腸内環境にいいのか?」って問題について、130以上の研究をまとめてチェックしてくれていて勉強になりました。
まず、この研究の大きな結論をピックアップしておくと、
- フラボノイドを摂取すると、ビフィズス菌や乳酸菌などの有益な腸内細菌叢が増えるっぽい
- ついでに、病原性の細菌であるクロストロディウム属が減るっぽい
- さらに、フラボノイドは腸内で短鎖脂肪酸の量を増やし、そのおかげでヒトの腸内細胞が改善する
- 逆に、腸内細菌はフラボノイドを代謝することで、フラボノイドの働きを高めてくれることもある
みたいになります。ちょっと前から言われてきたとおり、やっぱりフラボノイドは腸内環境の改善に役立つみたいっすね。
では、具体的にどのようなフラボノイドがいいのかと言いますと、著者らは6つの候補を挙げてくれております。以下に要点をまとめておきましょうー。
1.アントシアニン
アントシアニンは、赤、青、黒のベリー類にふくまれるフラボノイドで、腸内環境への影響についてはもっとも研究が進んでいる。過去の研究を総合すると、アントシアニンは、それ自体に健康効果があるだけでなく、腸内フローラにも良い影響を与えることで、「貴重な健康促進物質」だと言えるとのこと。
研究チームは「アントシアニンが豊富な食品は、乳酸菌やビフィズス菌を増やす方向に働く、貴重なプレバイオティクス調整剤だと考えられる」とコメントしておられます。やっぱベリー類は強いすね。
2.フラボノール
ケンフェロール、ケルセチン、ミリセチン、フィセチンなど、玉ねぎ、ブロッコリー、お茶、りんご、トマト、ぶどうなどに含まれるフラボノール類です。
動物実験では、ケルセチンが肥満に関わるバクテリアの成長を抑制し、体重増加を防ぎ、インスリンレベルと抵抗性を低下させたと報告されてるんだそうな。ただし、フラボノール類が糖の代謝にどう関わっているのかは、まだ詳しいメカニズムがわかってないとのこと。ケルセチンは個人的に注目してるんですけど、もうちょいデータが欲しいとこっすかね。
3.フラボン類
フラボン類は、セロリ、パセリ、赤ピーマン、カモミール、ミント、イチョウ葉、柑橘類などに多く含まれている成分。動物実験では、フラボン類が腸内フローラに良い影響を与えて、これが糖代謝を改善する可能性が示されているんだそうな。
また別の研究では、パッションフルーツから抽出したフラボン化合物は抗酸化作用が高く、特にビフィズス菌と乳酸菌の増加につながるかもしれないとのこと。これも気になる……。
4.フラバノン類
フラバノン類は柑橘類に多く含まれている成分。ラットを使った研究では、ヘスペリチンを多く含む食事を摂取すると、ビフィズス菌と乳酸菌が増え、悪玉菌の量が減ったとのこと。このような腸内細菌の変化により、お腹の脂肪、脂肪酸の合成が減り、脂肪の分解が増加するかもしれないんだそうな。
5.イソフラボン
ゲニステイン、ダイゼイン、グリシテインなどのイソフラボンは、大豆に多くふくまれている成分。まだ生体外研究ながら、ゲニステインは、ヒトの腸内における悪い菌の増殖を抑える可能性があるとのこと。
さらに、腸内フローラがダイゼインを代謝することで強力な植物性エストロゲンが生成され、抗がん作用、抗酸化作用、抗炎症作用にもつながるかも?って感じです。
6.フラバン-3-オール
果物、お茶、ワインなどに多くふくまれるフラバン-3-オールは、カテキン、エピガロカテキン、エピカテキンなどの化合物を意味しております。なかでもカテキンは、悪玉菌の増殖を抑える働きが高そうでいい感じ。ヒトを対象とした研究では、カテキンの摂取によりアクチノミセス種が減る傾向が確認されたそうな。
また、ブドウ種子エキスとブラックラズベリーカテキンは、酪酸の産生を増やすことで腸の機能を改善させる可能性が高め。
ってことで、いろいろ見てみましたが、全体的にはやっぱアントシアニンとカテキン系が気になっちゃうとこですかね。まぁ基本はいろんなフルーツを食べてお茶を飲んでれば問題ないかとは思いますが、あらためてポリフェノールを摂取するぞ!と思ったことでした。