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どんな目標でも「やり遂げる」にはどうすりゃいいの?をシカゴ大学の先生が語っておられます#3「 広い意思決定フレーム」



やり遂げる(Get It Done)」って本のポイントまとめの続きでーす。本書は「モチベーションを維持して目標を達成する方法」を行動科学ベースで手際よくまとめてくれてまして、どんな人にも参考になるんじゃないかと(前回前々回のまとめ)。

 

  

 

 

ポイント6. 広い意思決定フレームで誘惑に打ち勝つ

 

単発の決断は判断を鈍らせる

  • 当然ながら、身の回りの誘惑に勝てる人間の方がモチベーションは高く、目標を達成する確率も高い。そこで、誘惑に勝つマインドを育むのに役立つのが「広い意思決定フレーム」である。

 

  • 「広い意思決定フレーム」とは、1回限りの誘惑を「これがもし生涯にわたって続いたとしたら?」と考えてみるやり方である。例えば、健康のためにアイスを控えている際に、「1本ぐらいなら問題ない」と考えてしまうところを、「週に1個ずつアイスを買ったら年にバケツ3杯分のアイスを食べることになるが、それをどう思う?」と考えてみるような手法である。

 

  • とにかく人間は「たった一度の決断」に弱い傾向があり、著者が行った研究によれば「仮病で会社を1回だけ休む」と「仮病で会社を7回も休む」という2パターンの想像を浮かべてもらったところ、1回だけの仮病について考えた人の方が「仮病をしたい!」というモチベーションが激増した。

 

  • 同じように、タバコを1カートン買った喫煙者は、タバコをバラバラで10箱買う喫煙者よりも罪悪感を覚えにくかった。これは、1カートンの方が「ひとつだけしか買っていない」という気分を産みやすいからである。たった1回の誘惑の代償はごくわずかなものに思えるので、それを脳内で忘れやすくなってしまう。



 

「広い意思決定フレーム」を使う3つの方法

  • 具体的に「広い意思決定フレーム」を使うには、大きく3つの方法がある。

    • 精神的な掛け算:例えば、健康のために酒を控えているなら、次に酒を飲む前に「もし今年一年ずっと飲み続けたらどうなるか?」と考えてみる。また、食器を洗わないパートナーを怒鳴る前に、「このまま何度もキレたら二人の関係はどうなるか?」と考えてみる。

    • 事前ルール:複数の場面に影響を与える決定には、前もってルールを作っておく。例えば、健康のために酒を控えているなら、「夕食時にワインを1杯だけ飲む」というルールを決めておく。また、より健康的な食事をしたいなら、事前に1週間分のランチを計画しておくのも効果がある。

    • 未来の自分を想像:「10年後、20年後の自分はどうなっているだろうか?今していることをどう感じているか?」と考えてみる手法。未来の自分を考えることで非常に広い意思決定フレームが可能となる。

 

  • いずれの方法にしても、「今日タバコを吸ってもいいか?」や「今日お酒を飲んでもいいか?」と自問するのではなく、「残りの人生においてもこのまま続けてもいいのか?」を自問すべきだと言える。

 

 

 

ポイント7.  忍耐を鍛えまくる

 

「忍耐が大事」なのは知ってるけど、どうすりゃいいの?

  • 「忍耐が大事」なのは何度も証明されており、忍耐がある人ほど教育レベルが高く、老後の貯蓄も多く、より多くの運動をし、短気を抑えるのがうまいことがわかっている。

 

  • 忍耐力を養うためには、「待つ意志」と「待つスキル」の2つの要素が必要となる。

 

  • 「待つ意志」は、名前のとおり「目標を達成したい!」と思うレベルのことで、当たり前だが、報酬の価値が高いほど忍耐力は発揮しやすくなる。例えば、食通の人なら話題のレストランで1時間以上待つかもしれないが、手早く食事を済ませたいだけの人は平凡な食事で済ませる可能性が高い。

    つまり、忍耐力を高めるには、自分が待っているもの、自分が得るものの価値をあらためて思い出すのが有効となる。

 

  • 「待つスキル」とは、あなたの気を散らしたり、誘惑してくる障害を取り除く能力のことである。基本的に人間は、より早く手に入るものに弱いので、身の回りに誘惑があった場合は、「いかに手に入りにくくするか?」を考えてみるのが有効となる。

 

 

 

 

ポイント8. 他者とつながって目標を達成する

 

他者とつながって目標を達成する3つの方法

  • 複数の研究により、私たちは一人で目標に向かうよりも「友達と一緒」の方が確実にやる気が出ることがわかっている。

 

  • 人間は社会的な存在であり、進化のプロセスのなかで「集団に帰属したい!」と願いモチベーションが備わった。そのため、グループ活動の方がタスクを完了するモチベーションが高まるのは当然のことだと言える。

 

  • 他者とつながって目標を達成するには、大きく3つの方法がある。

    • 1. 共有または類似の目標を追求する:自分と同じような目標を持っている人とつながるパターン。当然ながら、自分と同じことを望んでいる人とは仲良くなりやすく、深い結びつきも感じやすい。パートナーと一緒に絵画教室に通ったり、友人と一緒に運動したりと、「趣味の共有」や「目標の共有」を目指すと良い。

    • 2. お互いの目標をサポートする:お互いの個人的な目標を支援することによって人とつながるパターン。例えば、友人とお互いの仕事を助け合ったり、職場のさまざまな課題について経験やアドバイスを交換したりすることで、親近感がわき、お互いの成功をサポートし合うようなやり方が考えられる。

    • 3. 他人の目標を支援する:「他人の目標に専念する」ことで他者とつながるパターン。例えば、親が「子どもを立派に育てるぞ!」と決めてみたり、上司が「チームメンバーの能力を開発するぞ!」と目標を立てて、そのなかで自分のスキルも成長させていくようなやり方が考えられる。

 

  • いずれにおいても、このように他者を巻き込んだ目標は、強い動機づけとなり、つながりを生むポイントになる。

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。