牛肉と豚肉はどうにも体に悪い!じゃあ、その代わりに何を食べればいいの?
数ある食材のなかで、近年よくやり玉に挙がりやすいのが「レッドミート」であります。これは、牛肉、仔牛、豚肉、羊肉、カンガルー、馬肉、ヤギといった哺乳類の肉すべてを指していて、これらの食材ってのは、
- 飽和脂肪酸が多いので血中コレステロール値(特にLDL)が上がる
- ヘム鉄が多いので、おそらく酸化ストレスが増える
って傾向がありまして、心臓病や全死亡のリスクが高まる可能性が高いんですよ。当然ながら、これに加えてフランクフルト、ハム、ソーセージ、コンビーフ、ビーフジャーキーなどの加工されたレッドミートはさらに評判が悪く、血圧上昇、動脈硬化、インスリン抵抗性と関連があると言われてたりします。うーん、怖い。
ってことで、日本をふくむ多くの国は、加工肉やレッドミートを制限するように指導してるわけですが、まだよくわかってないのは、
- レッドミートの代わりに何を食えばいいんだ!
ってポイントであります。レッドミートを他のタンパク源(魚介類、鶏肉、乳製品、卵、ナッツ類、豆類など)と入れ替える際に、どれを使うのがベストなのか?って問題ですね。
ということで、新しいメタ分析(R)では、「レッドミートを置き換えるのにベストなタンパク源とは?」ってとこを調べてくれてて有用でした。
ここで分析の対象になった試験は13件で、いずれ前向きコホートの観察研究になってます。レッドミートを減らして、他のタンパク源に変えたらどうなるか?ってとこを調べた研究だけをピックアップし、その上で大きな結論を出してくれたんですね。ほとんどの試験は2019年以降に発表されたもので、心疾患による死亡リスクをメインに、全死亡原因についてチェックしてます。
で、分析の結果をざーっくりまとめると、こんな感じになります。
- 魚介類、鶏肉、乳製品、卵、ナッツ類、豆類といったすべての食品は、レッドミートの代わりに増やすことで心臓病のリスクが低下する。
- 具体的には、魚介類を除くすべての食品は、冠動脈性心疾患(CHD)のリスクを低下させた。
- 乳製品(高脂肪および低脂肪乳製品)、ナッツ類、豆類は、加工肉と未加工の赤肉の両方で、常にCHDのリスク低下と関連している。
- 鶏肉と卵でもCHDリスクの低下が見られたが、これは加工肉の代用として使用した場合のみであった。
- 魚介類は、加工済みおよび未加工の赤身肉の両方において、CHDリスクの低下と関連しなかった唯一の代替食品だった。
ということで、全体的にはどんなもんでもレッドミートと置き換えると効果は得られるものの、特にナッツ類や豆類といった植物性タンパク質が良いのではないか、と。魚介類に心臓病のリスク低減が見られなかったのは意外ですねぇ。
もっとも、この研究にはいくつかの注意点がありまして、
- 牛乳、ナッツ類、魚介類の解析では、中程度から高い異質性(要するに、それぞれの研究の結果がバラバラだった)が存在している(I2 ≥ 42.4%).
- 1つの研究を除外すると異質性は消え、魚介類も統計的に有意にった。
- 牛乳については、メタ分析に含まれる研究が2件のみであったため、正味な結論は出しづらい
- あくまで前向き観察研究による結論なので、いろんな要素に結果が影響されてるとこも大きい
- プロテインとかのサプリ系については調査されてない
って感じです。また、この研究だけ見て「よっしゃ!タンパク源はナッツと豆だけで行くぞ!」と思っちゃうと、体が必要なタンパク質を摂取する前に脂質過剰で肥満になり、逆に心疾患リスクが上がっちゃうかもしれないんで。
ってことで、以上の内容を実際の生活に活かすためのポイントをまとめると、
- レッドミート、特に加工レッドミートの摂取を控える、あるいは別のものと代用するのが良いのは間違いない。
- ナッツ類などの植物性タンパク質は、CHDおよび全死亡のリスク低下と一貫した相関を示した唯一のタンパク質源だったので、あんま食べてない人は増やすのが吉。ただし、あまりに食べすぎるとカロリー過多になるかもなので注意。
- と言っても、普段から活動的なライフスタイルを送り、健康状態に問題がなく、健康的な体重であれば、たまにレッドミートを食べるのは問題ないと思われる。
ぐらいになるでしょう。私は普段から普通にナッツや豆は食べてるので、さらに意識してレッドミートを減らしつつ、プロテインパウダーで必要なだけのタンパク質を補う感じですかねぇ。