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今週半ばの小ネタ:ショウガやっぱすごそう、クレアチン頭にも良さそう、炎症に効く野菜の摂取量、ザクロも意外と機能高そう


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 

 

  
ショウガって やっぱりアンチエイジングに効くんだなぁ

ショウガは体に良い!って 話は山のようにあるんですが、 新しいデータ(R)は「ショウガがなぜ アンチエイジングに役立つのか?」の基礎的なメカニズムをまとめて くれていて、勉強になりました。もともと、ショウガには抗酸化作用、抗炎症作用、抗菌作用があることが示されてまして、 健康に良いのは疑いがないところではあるんですよね。

 

 

で、この文献は、ショウガの健康効果に関する4つのエビデンスをまとめたレビューでして、 歳をとってから起きる病気に関するショウガの効果を 以下のようにまとめてます。

 

  •  ショウガには抗酸化作用と抗炎症作用があり、たとえば、20の介入試験をまとめたメタ分析では、ショウガのサプリによってC反応性タンパク質(CRP)などの炎症と酸化ストレスの血中マーカーを減らすことがわかった。CRPは心血管疾患など多くの病気のリスク要因なので、 実際の治療にも意味がある可能性がある。

 

  •  ショウガには心臓を守る可能性がある。6つの臨床試験および345人の中年をまとめたメタ分析では、ショウガを毎日3グラム以上2ヶ月間飲み続けたグループは、収縮期および拡張期血圧がそれぞれ6.4mmHgおよび2.1mmHg下がった。しかしながら、サンプルサイズが小さく不均一性が高いため、これらの結果を確認するにはさらに研究が必要。


 

  • -ショウガは、2型糖尿病の血糖コントロールを改善する可能性もある。10件のデータをまとめたメタ分析では、
ショウガは空腹時血糖値およびグリコシル化ヘモグロビン(血糖状態の長期的な血中マーカー)を改善することが明らかになった。研究チームは、ショウガの補給は2型糖尿病のサポートに有用だと結論づけている。

 

こうしてみると、ショウガにはかなり良い証拠があると言っていいんじゃないでしょうか。 やっぱり、積極的に食べていこう……。

 

 

ただし、 本論には、ショウガ研究に関する 限界も指摘されてまして、

 

  • 最適な健康効果を得るためのショウガの摂取量は、 まだよくわかっていない。

 

  • ショウガを多量に飲むと副作用が生じる可能性があり、例えば、胸焼け、腹部不快感、頭痛、吐き気などがたまに報告されている。

 

といったあたりはご注意ください。 まぁ普通に日々の料理の味付けに使っていくぐらいなら何の問題もないと思いますが。

 

 

 

クレアチンで記憶力が上がるんじゃないか説

クレアチンもまた、ブロマガなどで最も頻繁に取り上げているサプリの1つ。 新たなデータ(R)もまた クレアチンの話で、横断研究により「クレアチンの摂取により短期記憶が 向上する」可能性が 指摘されております。

 


この横断研究では、42人の参加者(60歳以上、男性10人、女性32人)が、食品からのクレアチン摂取量を推定するために5日間の食事記録を実施(クレアチンのサプリは使っていない)。クレアチン摂取量の中央値(0.382g/日)未満とそれ以上に層別化し、さらにみんなの認知機能をテストで調べたところ、

 

  • クレアチンの摂取量が中央値より多い参加者は、少ない参加者に比べて、短期記憶テストのスコアが高かった。
  • 注意と計算、言語などのテストについては、 グループの間で差はなかった。

 

って結果だったそうです。念のため、著者の1人はクレアチンを製造する会社の委員だったりして、 その点は気になるところですが、 クレアチンの重要性は間違いないので、積極的に飲んでいくのがいいんじゃないでしょうか。

 

 

 

炎症を減らすための野菜の最低摂取量はどれぐらい?

野菜が体に良いのが当たり前ですが、 新しい研究(R)では「1日2皿以上の野菜で体内の炎症が減る!」って 結論が出ておりました。「 最高の体調」でも書いた通り、全身の炎症は多くの病気と関連しているので、食事によって全身の炎症を抑えるのは超大事。

 

 

なんだけど、ほとんどの研究は健康な中年成人を評価してるんで、まだまだ高齢者に対する証拠は乏しいのも事実であります。ってことで、この横断研究では、高齢者233人(65~70歳)を対象に、

 

  1. ふだんどれぐらい果物および野菜を摂取しているか?
  2. みんなの 炎症マーカーがどれぐらいか?(C反応性タンパク質(CRP)、フィブリノゲン、インターロイキン6、インターロイキン10、インターロイキン18など)

 

といったあたりを調べてまして、 運動や座っている時間ウェストサイズ等で結果を調整したところ、結果はこんな感じになりました。

 

 

  • 野菜の摂取は、インターロイキン6の低下と関連していたが、他の炎症とは関係がなかった
  • この関連は、1日に少なくとも2皿の野菜を摂取している場合に見出された

 

野菜の摂取は他のマーカーと関係しないのは意外ですが、おそらくサンプルサイズが少ないせいで、必要な統計的検出力が低下した のだろうなぁと予測。また、 2皿の野菜と言うのは、 だいたい75グラムが 1皿分だと考えられてまして、そう思うと、意外と達成しやすい量じゃないかなと。

 

 

 

ザクロも アンチエイジングに効くんじゃないか説

最後に、「ザクロがアンチエイジング効きそうだぞ!」というメタ分析が出ていたのでチェックしておきましょう(R)。あんま 健康系のサイトでザクロが取り上げられるケースは少ないですが、ザクロはポリフェノールが豊富だし、抗酸化活力が高いってのはよく 言われてきた話 だったんですよね。

 


で、このメタ分析では、13のランダム化比較試験を まとめていて、

 

  • 試験に使われたザクロは、カプセル(250mg~250g)または液体ザクロ(10~500mL)
  • 試験期間は3週間から12カ月でした。
  • ざくろで体内の抗酸化力が上がったかどうかを調べる

 

といった内容になってます。 全体的には、含まれている研究データが少ないし、参加者の種類、ザクロの量、研究機関などが大きく違うので、まだまだ確定した結論って わけではありませんが、 十分に参考になる結論が出ているかと思います。

 

 

そこで、 どのような結論が出ていたかといいますと、

 

  • ザクロの摂取はTBARSを減少させ、GPXとTACによって測定される抗酸化状態を増加させた。
  • ザクロの摂取は、MDA、ox-LDL、POX、TASには影響を与えなかった。

 

という感じでして、ざっくり「ザクロで酸化ストレスが減った!」と考えていいんじゃないでしょうか。 ミニちなみに、この研究では、期間が3ヶ月以上の試験じゃないと、酸化ストレスに良い効果が見られなかったらしいので、 ザクロは定期的に食べ続けなきゃいけないのかもしれません。

 

 

個人的には、この結果を持って、ざくろを積極に食べるまではいかないんですが、 見込みのある食材として頭に入れておこうかと思いました。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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