今週末の小ネタ:サウナが脳に良い?詐欺にあいやすい人とは?頭痛を治す定番の方法とは?
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
サウナ入浴は認知症に効果があるかも?
あいかわらずサウナが流行っておりますが、残念ながら、まだまだ「サウナってどこまで体にいいの?」ってのをガッツリ調べた研究は少ないのが現状であります。まぁ普通に健康に良いのは間違いないと思うんだけど、「週にどれぐらい入ればいいのか?」とか「運動とかと比べてどれぐらいメリットがあるのか?」といったあたりは、まだまだよくわからない状況なんですよね。
といった状況で、近ごろ「サウナって頭に良いのでは?」って話(R)が出てたので、簡単に要点をチェックしときましょう。
これは、1970年代半ばに13,994人のフィンランド人を調べた健康調査を使ったもので、みんなの身長、体重、血圧、コレステロール、中性脂肪などを調べつつ、それぞれのサウナ利用レベルとの関係を調べたんだそうな。その結果、2011年までのサンプルデータのうち1,805人の認知症患者が確認されたそうで、以下のような傾向が見られたそうな。
- サウナによく入る人ほど認知症のリスクが低い傾向があり、これは年齢や性別、運動量などで調整した後でも同じだった。
- サウナ回数が月に9〜12回の人のハザード比は、月に0〜4回の人と比べて0.81(95%CI = 0.69-0.97)であった。月0〜4回と月13〜30回のサウナ利用者のハザード比に差はなかった。
- 1回のサウナ時間が5分未満にの人に比べ、5~14分間連続してサウナに入ったほうがアルツハイマー病の発症リスクが低くなった。
- 認知症の予防に最も効果があるサウナの温度は80~99℃だった。逆に、100℃以上でサウナに入った人の認知症リスクは、80℃以下の人に比べて2倍になっていた。
ということで、だいたい90度ぐらいのサウナにおよそ週3回ぐらい入っておくと、月に0~4回しかサウナに入らない人にくらべて、認知症リスクが半分以下になるらしい。一方で高熱すぎるサウナは逆効果になりそうななで、そこは気をつけたほうがよさげですが。
ただ、サウナがなぜ認知症の予防になるのかついては、今のところ明確な答えは出てませんで、
- 体を温めることでは、ヒートショックプロテインが活性化され、神経変性疾患から身を守ってくれるから?
- 体があたたまることで、血液供給と血管の働きが改善し、脳にも良い影響があるから?
といった推測がなされておりました。他にも、サウナのストレス改善や睡眠の改善効果とかも大きそうですが、とりあえず脳にも良さそうだなーって感じがしますね。
詐欺の餌食になるのはどんな人なんですか?
あいかわらずいろんな詐欺が世の中を騒がせる昨今でございますが、「詐欺にあいやすい人の特徴をまとめたよ!」ってレビュー(R)が出ておりました。これは、過去の詐欺研究から「どんな人がひっかかりやすいの?」ってポイントを抽出してくれたもので、果たして自分が当てはまるかどうかをチェックしながら読み進めてみるといい感じです。
では、詐欺に遭いやす人の特徴を、だだーっとまとめてみましょうー。
- 年齢については、高齢者ほど詐欺被害が多いというデータもあるが、実際の被害率は中高年層が最も高い。ただし、年齢については調査によって結果がまちまちであり、これは詐欺師がさまざまなグループをターゲットにしているからだと思われる。
たとえば、ある調査では「女性が懸賞詐欺の被害に遭いやすいのに対し、男性は外国の宝くじ詐欺の被害に遭いやすい」との報告がある。また別の調査では、「高齢者は投資詐欺の餌食になりやすく、若年者は在宅ワークやビジネスチャンス詐欺の被害が多い」と報告されている。
- 個人的な性格の差で言うと、「自制心が低い人」と「リスクを好んで取る人」「一般的な認知能力が低い人」「感情的知能のレベルが低い人」は詐欺にあいやすい。まぁ、これらの要因は、いずれも複雑な状況で正しい決定を下す能力に影響を与えるので、驚くべきことではないっすな。
- 詐欺師が使う説得テクニックを見てみると、「信頼/権威」系のテクニックを使うケースが最も多い。政府(IRSなど)や大企業(Amazon、Walmart、Googleなど)を代表しているように装うようなパターンである。
- もう一つ詐欺師が使う定番のテクニックは「希少性 」で、被害者に「賞品の数が限られている」「当選し賞品を受け取る残り時間が少ない」などと持ちかけるパターンである。
- 「サンクコスト効果」が使われるケースも多い。たとえば、海外の宝くじ詐欺などで、「当選した賞金をもらうためには、さらなる支払が必要です!」といったパターンである。
- その他の手法としては「利益を誇張する」「被害者が出すコストを低く抑える」「ネガティブな感情に訴える(例:罪悪感、欲)」「ポジティブな感情に訴える(例:友情)」などがある。
ってことで、全体的に「そりゃそうでしょうなー」って感じの内容になってますが、幸いにも、上のような「詐欺にあいやすいキャラ」と「定番の詐欺テクニック」さえ知っておけば、実際の被害にあう確率は結構下がるみたいなんで、こういう基本的なとこを押さえておくだけでもだいぶ違うんでしょうな。
頭痛を改善するための定番治療ってなにがあるんですか?
頭痛の治療が難しいのは常識ですが、新しいレビュー(R)で「いまんとこ片頭痛の治療にはこれでしょ!」みたいな提言をしてくれてて参考になりました。このレビューは、2010年から2021年の間に発表された94の論文から得られた情報にもとづいてまして、片頭痛にどうアプローチするかを調べてくれてます。
いまんとこ、片頭痛の原因ってのは複雑で、脳の構造(脳幹、視床下部、三叉神経など)にいろんな原因(炎症とか)が関わっている可能大。この問題をどうすべきかってことで、研究チームは以下のポイントを指摘しております。
- 一般的に、片頭痛(急性片頭痛発作)に対して最も有効な薬物療法は、アセトアミノフェン1000mg、ナプロキセンナトリウムなどのNSAIDs550mg、カフェインを含む配合剤 だと思われる。
- 片頭痛に有効な二次治療は、リザトリプタン10mg、エレトリプタン40mgなどのトリプタン。2種類以上の トリプタン系薬剤が無効、禁忌、忍容性がない場合、リメゲパントやウブロゲパント、ラスミドタンなどを使うこともある。
- その他、片頭痛の治療法としては神経を調節する療法があり、sTMS、nVNS、eTNS、RENなども使うことができる。
- さらには、プロプラノロールやカンデサルタンなどの高血圧の治療薬や、三環系抗うつ薬のアミトリプチリンやセロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)のベンラファキシンなどの抗うつ薬なども使うことができる。
- 典型的な治療法は、カンデサルタン16mgを1日1回、またはトピラマート50mgを1日2回。これに反応しない者に対しては、モノクローナル抗体(例えば、エプチネスマブi)、ボツリヌス毒素(ボトックス)、上記の神経調節を使ってみる価値がある。
- ほかにも、コエンザイムQ10、ビタミンB2(リボフラビン)、メラトニン、マグネシウムなど、特定のビタミン、ミネラル、サプリメントも有効とする研究があるが、ここらへんはよくわからん。
って感じで、おそらく頭痛にお悩みの方には定番の名前が並んでる感じかと思います。まー、やっぱ変わったことはやらずにベタなことをするのが一番ですな。
ちなみに、本稿では他にも「マインドフルネス瞑想」「認知行動療法」「ストレス管理」「リラクゼーション法(深呼吸、漸進的筋弛緩法など)」も名前があがってまして、ここらへんも合わせてやっとくとよさげであります。