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【質問】豆腐とかソイプロテインってテストステロンが下がっちゃうんですか?

 


 

こんなご質問をいただきました。

 

ソイプロテインを多く摂ると、男性ホルモンが下がると聞くのですが、これは本当でしょうか? 私は豆腐もよく食べるので、本当なら心配なのですが。

 

とのことで、確かに「大豆製品を摂りすぎるとテストステロンが下がる!」「そのせいで筋肉に悪い!」といった意見は、よく耳にしますね。大豆には、植物エストロゲンの一種であるイソフラボンが高濃度で含まれているんで、そのおかげで男性ホルモンが下がっちゃうかも?と言われてるんですな。

 


もしテストステロン(主要な男性ホルモン)が下がっちゃうと、性欲の喪失、認知機能の低下、うつ病、筋肉量と体力の低下などが起きることがわかってますからねぇ。もし大豆でテストステロンが減っちゃうなら、これは確かに大問題なんですよね。

 

 


では、「大豆でテストステロンが下がる!」って説に確かな証拠があるのどうかってことですが、いくつかの研究例を見てみましょうー。

 

  • 大豆に不利なデータの例:いくつかの事例研究(R,R)では、イソフラボンを摂取した若い成人に性腺機能の低下と勃起不全が見られた。ただし、これらの研究では、被験者に1日360ミリグラムの大豆フラボノイドの摂取させている。これは、1日3リットルの豆乳に相当する量であり、かなり非現実的なラインだと言える。

    ちなみに、豆腐100グラムには約25ミリグラムのイソフラボンが含まれており、具体的にヤバいレベルを摂取しようと思ったら、1日に豆腐を1kg以上は食べねばならない計算になる。

 

ってことで、まずは大豆にとって不利な事例を見てみましたが、ご覧のとおり、実験ではかなりの量を摂っているので、現実的に心配するようなもんでもなさそうであります。毎日3リットルの投入を飲み続けるのはさすがに無理ですもんねぇ。

 

 

でもって、続きまして「日常的に少量ずつ豆類を摂取した場合はどうなるのか?」ってのを見てみましょう。

 

  • 2020年のメタ分析(R)では、大豆製品(豆腐、テンペ、大豆プロテインなど)やイソフラボンなどのサプリメントは、男性のテストステロン値に明確な影響を与えないという結論に達している。1日のイソフラボンの摂取量が75ミリグラム未満の場合と、1日75ミリグラム以上のイソフラボンを摂取した場合を比べても、目立った有意差は認められなかった。

 

  • ただし、このメタ分析では「イソフラボンを1日100ミリグラムより多く摂取した場合」の実験も扱っており、この場合は、総テストステロンが5%減少し、遊離テストステロンが約6%減少したと報告したケースもある。ただし、残念ながら、これらの研究は対照群を用いていないのでデータの精度は低く、さらに総テストステロンには影響がなかったと報告している。

 

ということで、これらのデータを見てみますと、ごく一部で「イソフラボンでテストステロンが下がる!」って報告はあるものの、大半のケースでは「大豆で総テストステロン量や遊離テストステロン量は下がらないよ!」って結論でして、個人的には「そこは心配しなくていいんじゃないのかねぇ」って感じですね。

 

 

まー、いまんと大多数のデータをまとめてみると、

 

  • イソフラボンを慢性的に摂取していると(100~200ミリグラム以上)、もしかしたら有害な影響があり、テストステロンを下げてしまう可能性もあるかも?

 

  • ただし、いまんとこ正確な閾値がどれぐらいなのかはまだ分かっていないので、現時点でのデータを総合すると「大豆イソフラボンの摂取量は1日平均75ミリグラムまでに制限したほうがいいかも?」ぐらいのことは言えそう。

 

みたいな感じじゃないでしょうか。いたずらに豆腐やソイプロテインを恐れても意味がないし、基本的にはなんの問題もないだろうと思ってますが、念のためを考えてある程度の注意はしておくといい感じですかねー。

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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