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今週末の小ネタ:アシュワガンダすごい説、オンラインセラピーの効果、ゲームで遊んでも幸福度は上がりも下がりもしないのでは?説


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 

 

 

アシュワガンダで健康な人もメンタル改善?

アシュワガンダといえば「インドの朝鮮人参」とも呼ばれる健康系ハーブのひとつ。一説には、筋肉が増えるとか、睡眠の質を上げるとか、いろんなメリットが言われております。

 

 

でもって、新しいデータ(R)もアシュワガンダに関するもので、「健康な学生でも効果を得られるのか?」って疑問について調べてくれてました。これまでのアシュワガンダ研究は、大半がメンタルの弱った人を対象にしていたので、このような実験が出てきてくれたのはありがたいですね。

 

 

実験の参加者は、18歳から50歳までの健康な大学生が60人。実験では、全体を2つのグループにわけまして、そのうち半分に350mgのアシュワガンダ根エキスをは1日2回飲んでもらい、残り半分にはプラセボグループに割り付けたとのこと。実験で使われたアシュワガンダは、ガイアハーブ社のサプリだったそうです(ガイアハーブのサプリは品質が良いので、個人的にもおすすめ)。

 

 

実験期間は30日で、みんなに睡眠、ストレス、食欲の変化を尋ねたところ、おおよそ結果は以下のようになりました。

 

  • アシュワガンダの飲んだグループは、幸福感が高まり、高いエネルギーが持続し、脳もクリアになり、睡眠の質も向上。ついでに、食欲の抑制効果も認められた。

 

ストレスや幸福度の変化は過去にも報告されてましたが、食欲の抑制が確認されたのは新しいっすね。やっぱアシュワガンダは良さそうだなぁ……。

 

 

ちなみに、この研究では、アシュワガンダの効果が出るまでの時間も特定していて、こちらも非常に参考になります。具体的には、

 

  • アシュワガンダの効果は9~10日以内に影響が確認される。4週間ぐらいで睡眠にも良い影響が出る
  • 時間が経つにつれて、アシュワガンダを飲んだグループとプラセボグループの差は大きくなった

 

みたいな感じだったそうです。この手のハーブは変化が出るまで時間が必要なので、根気よく使ってみるのが大事なわけですね。うーん、またアシュワガンダ使おうかしら。

 

 

 

オンラインセラピーは対面式と同じくらい効果があるの?

ここ数年、オンラインで心理療法のセラピーが行われることが増えてきたわけです。特に多いのが認知行動療法で、Zoomやスマホアプリを通じて、患者さんが一人でオンラインのエクササイズをこなしたり、生のセラピストと会話をしたりといったケースが多めっすね。

 

 

で、ここで問題になるのが「オンラインのセラピーってちゃんと効果あるの?」ってとこです。従来の対面セラピーと同じレベルの効果を、オンラインでも得られるのかってポイントですね。

 

 

そこで、新しく出た系統的レビュー(R)では、デジタルを使った認知行動療法(CBT)の有効性を確認するために、約12,000人の患者を含む106件の研究のデータをまとめて分析。そのおかげで、わりと精度が高めな結論を出してくれております。

 

 

細かいところを掘っていくときりがないので、とりあえず大まかな結論だけ紹介すると、こんな感じです。

 

  • それぞれのセラピーを受けた患者の年齢、うつ病の重症度、処方薬などの特徴を考慮して、データを分析したところ、デジタルセラピーと対面式セラピーの効果に有意差はなかった

 

ってことで、どちらのタイプのセラピーでも、メンタルを改善する効果は同じっぽいですね。まー、認知行動療法ってのは、かなりシステム化された手法なので、オンラインでも十分にいけるのかもですな。

 

 

もっとも、オンラインセラピーにも欠点が1つだけありまして、それは「対面式のセラピーよりも患者がセッションを欠席する可能性が高い」ってところだったそうです。気楽に参加できるぶんだけ、サボりやすいってことですかねー。

 

 

いずれにせよ、オンラインでも認知行動療法には効果があるようなので、「セラピーに興味があるけど対面は気後れする……」みたいな方はオンラインから試すのもいいんじゃないでしょうか。

 

 

 

ゲームで遊んでも幸福度は上がりも下がりもしないのでは?説

ゲームは良いのか悪いのか?」という議論はいまだに続いてるわけです。「ゲームをやると暴力的になる!」って意見がある一方で、「ゲームは健康な人間関係を促進する!」のような意見もあったりして、コンセンサスが得られていないんですよね(私はゲーム賛成派ですが)。

 

 

そこで新しく出た大規模な研究(R)では、ゲームがメンタルに与える影響を調べたうえで、「 ゲームをプレイしても幸福感は上がりも下がりもしない!」って結論を出してておもしろかったです。

 

 

この研究は、7つのゲームメーカーから38,935人のプレイヤーを集めてデータを集めたもの。オーストラリアやアメリカなどのプレイヤーを対象に定期的なオンライン調査を行い、みんなのゲームプレイ時間、幸福感、モチベーションの変化を測定したんだそうな。

 

 

その結果は、ざっくり以下のようになりました。

 

  • ゲームは参加者の感情に大きな影響を与えていなかった。
  • プレイ時間の違いも、生活満足度の顕著な変化にはつながらなかった。
  • ビデオゲームがほとんどの人の幸福感に与える影響は非常に小さく、幸福感はビデオゲームをプレイする傾向にもほとんど影響を与えない。

 

要するに、ゲームをしようが幸福にも不幸にもならないし、逆に不幸な人がゲームにはまるような現象も見られなかったわけですね。

 

 

研究チームいわく、

 

7つのゲームメーカーと38,935人のプレイヤーを調べた結果、ゲームが引き起こす不安は杞憂に終わる可能性がある。同様に、ゲームの幸福感も、プレイ時間にほとんど影響を与えなかった。

(中略)

我々の結果は、ゲームのプレイ時間が幸福に与える影響は、主観的に気づくにはおそらく小さすぎるレベルであることを示している

 

とのこと。ただし、ゲームで幸福度が左右されるポイントがひとつだけ見つかっていて、それは「動機付けの違い」だったそうです。簡単に言えば、「自分はこのゲームが好きだからやるのだ!」みたいに内発的なモチベーションが高い人は幸福度が上がり、「私は他人に負けたくないからこのゲームをやるのだ!」みたいに外発的なモチベーションが高い人は幸福度が下がっていたらしい。これは納得ですね。

 

 

まー、この研究だけだと、まだまだハッキリした結論は出せない印象ではありますが、個人的には「ゲームは好きなようにやればいいのでは?」って印象を持った次第です。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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