「なぜか体が痛い!」を解決するかもしれない【熱意トレーニング】とは?
「体が痛い!」ってのは対処が難しい問題だという話は、いままでも何度か取り上げてきました。「痛み」は複雑な現象なので、
といったように、いろんな方向からアプローチする必要があるんですよ。難儀ですねぇ。
で、新しい研究(R)も慢性痛に対する新たなアプローチを提案してくれていて勉強になりました。
これは491人の参加者を対象にした試験で、まず結論から言うと以下のような感じです。
- 熱意がある人ほど体の痛みに強い!
ここでいう「痛み」は、VIA(心理学にもとづいた「強み」のテスト)における「熱意」のことでして、
- ある目的のために、積極的に時間と労力を費やすことができる
- 自分が取り組んでいることに、意味と意義を感じられる
といった「性格的な強み」を表しております。なんでも、すべての参加者にVIAを受けてもらったところ、熱意のレベルが高い人ほど慢性痛に強い傾向が見られたんだそうな。
もっとも、そうは言っても、これをお読みの方のなかには「自分は熱意が低いし……」と思う人もおられましょう。私もVIAテストでは「熱意」が低く出るタイプでして、「熱意が大事と言われてもなぁ……」って気分になりました。
しかし、ありがたいことに、この研究では「熱意を鍛える方法はないの?」ってあたりも調べてくれていて、明確なトレーニング法も提示してくれてたりします。これはありがたい……。
具体的なトレーニング法は、以下のようになります。
- 自分が「熱意」を発揮できた場面を考える
- 思いついた場面を、紙に書き出す
- 以上の作業を、1日1回ずつ2週間続ける
「日常生活で『熱意』を発揮したらことがあるか?」と考えて、その答えを自分なりに書いてみるわけですね。
ただし、いきなりそう言われても難しいので、研究の参加者が書き出した例をいくつかご紹介します。
- オンライン会議で、「同僚の素晴らしさ」を熱意をもって伝えた。
- 妻に「おはよう」と言うときに、もっと「元気」に言うことができた。
- いつもよりワクワクしながら本を読めた。
私のように熱意が低い人でも、よく考えれば、1日のどこかで必ず熱意を発揮できたシーンがあるはず。その事実を思い返してみて、あらためて紙に書き出すのがポイントになります。
事実、この研究でも2回にわたって上記トレーニングの効果を測定してまして、どちらの実験でも、熱意のトレーニングをしたグループは、そうでないグループより痛みに強くなったんだそうな。もし、あなたが今しつこい痛みに悩んでいるなら、定期的に熱意のトレーニングをしてみるよいいかもしれません。
ちなみに、このトレーニングで痛みが減るのは、自己効力感がアップするのが理由だと考えられております。自分が熱意を持って行動できた場面を思い返すことで、「自分もなかなかやるじゃないか!」って気持ちが高まり、このメンタリティが痛みの減少を引き起こすんだそうな。
確かに、慢性的な痛みというのは、しばしばメンタルの問題(ストレスとか不安とか)とつながっていることがあり、「痛みをコントロールできない……」と思う人ほど、問題が悪化しやすい傾向があるんですよ。熱意のトレーニングは、この問題に効いてくれる可能性があるわけですね。
というわけで、いま謎の痛みにお悩みの方は、もちろん医師の判断をあおぐのを前提にしつつも、「熱意」にも注目してみてくださいませ。まだまだ質の高い研究は限られてますけど、十分に試す価値はあるでしょう。また、その他の対策については、
なども合わせて参考にしていただくとよいかもしれません。どうぞよしなに。