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自己アピールの説得力を高めたきゃ「3の法則」にこだわろうぜ!みたいな話

 


 

他人を納得させたかったらメッセージの数を絞ろう!」みたいなアドバイスをよく聞くじゃないですか。「あまりに伝えたいが多すぎると、逆にメッセージが伝わらない」って話ですね。

 

 

ただし、一方では、メッセージの数を絞り込みすぎた場合にも、やはり説得力は下がってしまう気もするわけです。「これだけしか言うことがないのかな?」とか「あんまりメリットがないのかな?」みたいに思われて、なんだか説得力が下がるような気がしますからね。

 

 

では、具体的に「メッセージはいくつまで絞るべきか?」を調べた研究(R)が出ておりました。

 

 

これはジョージタウン大学などの研究で、だいたいどんな実験かと言いますと、

 

  1.  数百人の学部生に協力をお願いする。

  2. 新しいシリアル、シャンプー、アイスクリーム店などいろんな商品を用意し、それぞれに関する複数のメッセージを読む(たとえば、新製品のシリアルであれば、「美味しくなった!」「栄養を改良!」「安全性アップ!」みたいに、製品のメリットを訴える文章を複数読んでもらう)

  3. いくつのメッセージを読んだ場合に、そのメッセージへの説得力を最も感じたかを調べる。

 

みたいになります。参加者にいろんな数のメッセージを読んでもらったうえで、「何個のメッセージを伝えるのがベストなのか?」を確かめたわけですね。

 

 

すると、結果はこんな感じになりました。

 

  • メッセージの数は「3つ」がベストで、3つの主張が含まれているときに、説得力の高さは最大になった(このスマホは最高のカメラがついていて、防水で、バッテリーも長持ちです!みたいな)。

 

  • メッセージの数が1つや2つ、そして4つや5つ(そしてそれ以上)の場合よりも、3つのほうが説得力は高い。

 

  • メッセージの数が4つ以上になると、受け手は逆に懐疑的になり、その製品をあまり好まなくなる。

 

  • メッセージの発信元が中立的な場合(たとえば、製品を売っている会社がメッセージを出すのではなく、実際に商品を使った消費者がメッセージを出す場合)は、肯定的なメッセージの数は多ければ多いほどよい。

 

ということで、「ベストなメッセージの数は3!それ以上でも以下でもダメ!」という結論ですね。具体的には、新製品のシリアルを使った実験では、メッセージ数が3つだった場合は、メッセージ数が4つの時より説得力が10.4%上がったんだそうな。おもしろいですねぇ。

 

 

まー、言われてみれば、過去の研究でも「3がベストなのでは?」なんて話が報告されてますからね。たとえば、1979年の研究(R)では、同じメッセージは3回くり返すのがベストで、1回や5回のくり返しに比べて、最も説得力が大きかったんだそうな。よくわかりませんが、人間は3という数字が好きなのかもですな。

 

 

研究チームによれば、3という数字は「私たちがパターンを識別し始める最小の数字」であり、そのおかげで「3つ」を決断の基準にしがちなんだそうな。2つまでは「まだ判断できない……」と思いがちなんだけど、3までいくと「情報がそろった!」と判断し、そのおかげで3つのメッセージを好むってことですね。お笑いの三段落ちも似たような理屈なんですかね。

 

 

ちなみに、この研究では、シリアルやシャンプーといった商品だけでなく、「政治家の演説」や「デートの誘い」といったジャンルでも効果を確かめていて、やはり「メッセージの数は3がベスト!」との結論になっております。そう考えると、面接の自己アピールなんかも、自分が伝えるメッセージは3つに絞ったほうが良いのかもですな。

 

 

この時、どうしても3つ以上の主張をしたい場合は、二次的な「追加情報」として伝えるか(パッケージの端に小さく書くとか)、相手の懐を減らすメッセージも同時に伝えるのが良さそうであります(自分の弱点を認めたりとか)。これは本作りにも活かせそうな知見だぜ……。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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