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【質問】良い性格テストと、悪い性格テストって何が違うんですか?


 

こんなご質問をいただきました。

 

科学的な適職』を読むと、鈴木さんはほとんどの性格テストを信じていないように思われます。ネットにある性格テストを見ると、つい試したくなってしまうんですが、やはりすべて無意味なんでしょうか? よりよい性格テストを判断する方法などありますか?

 

ということで、「よい性格テスト」ってのは、どんなものなのか、と。確かに、世の中には無数の性格テストがありまして、このブログでも、

 

 

などなど、いろんなテストを紹介してきたわけです。ホント、いろいろありますなぁ。

 

しかし、質問者さんがおっしゃるとおり、性格テストの精度にはピンからキリまでありまして、実験で正しさをチェックしたものがあれば、たんに考案者が思いつきで考えたようなものもあるわけです。そのなかには、MBTIみたいに、科学的っぽいけど実際には意味がないものもありまして(R)、判断に困っちゃうわけですね。

 

さらに言えば、このブログで紹介したテストにも精度の高低はありまして、ビッグファイブのような定評あるテストが存在する一方で、「光属性診断」みたいに検証が進んでないものもあったりします。そんななかで、どれを試すべきかを判断するのは、検証データでも見ない限り、なかなか難しいものがありますよね。

 

で、実際のところ、よい性格テストを見抜く基準みたいなものはないんですが、私がこれまでいろいろ見てきたところでは、「悪い性格テスト」には、以下のような傾向があるように思います。

 

 

悪い性格テストの傾向1 質問があいまい

悪い性格テストの1つ目は、質問があいまいです。精度が低い性格テストほど、「これはどういう意味だろう?」とひっかかるところが多いんですよ。

 

例えば、MBTIでは、「自分の仕事のスタイルは、整然とした体系的なアプローチというよりは、ランダムなエネルギーの突出に近い」みたいな質問があるんですけど、この意味をすぐに飲み込める人は少ないでしょう。当然、質問がわかりづらければ、それだけ解釈の幅が広くなり、一貫した答えが出にくいわけです。

 

しかし、困ったもんで、このような曖昧な質問が多いときほど、私たちは「このテストは正確だ!」と思い込みやすかったりします。カリフォルニア州立工科大学などの研究(R)では、

 

  • 質問が不透明でわかりにくいものであればあるほど、回答者は、そのテストを 「深い!」と考えやすかった。

 

って傾向が見られたんだそうな。研究チームいわく、

 

質問と結果が切り離されていればいるほど、あなたが本当はどういう人間なのか、その根底にある何かにについて真実があるように見える。

 

とのことで、よくわからない質問が多いテストほど、たいていの人は、「これは深い真実を言い当てているぜ……」と思いやすいわけですね。

 

しかし、くり返しになりますが、正当な性格診断では、100人が100人とも回ほぼ同じ解釈できるように、具体的な質問を用意しているもの。抽象的な質問が多いものは、疑ってかかるべきでしょう。

 

 

ポイント2 意外な結果が出る

悪い性格テストの2つ目は、「意外な結果が出る」です。「自分はこんな人間だったのか!」と思わせるような答えが出るテストは、精度が低い傾向が多めであります。

 

しかし、現実には、正しい性格テストを行った際に、意外な答えが出るケースってまずないんですよ。上述のとおり、精度が高い性格テストほど質問が明確なので、そのぶんだけ結果も予測しやすいわけですな。

 

そのため、テストで意外な答えが出た時点で、質問の設計がまずかったか、適当に質問に答えたかのどちらかと言えるでしょう。たいていは、「あー、こういう質問が出てくるってことは、自分は外向的な人間なんだろうな……」って感じで、質問を読んでいるうちに、だいたいの結果が予測できるものなんですよ。

 

というか、そもそも、たいていの人ってのは、ある程度まで自分の性格を正しく観察しているものでして、パーソナリティの自己判断は驚くほど正確だったりするんですよ。要するに、ほとんどの性格テストってのは、自分でも薄々は気づいてるパーソナリティ特性をあらためて確認しているだけと言えましょう。

 

それにも関わらず、多くの人は、「心理テストをやれば、自分でも思いもよらない秘密の答えが出るんじゃないか?」と思い込む傾向があるのが困ったところ。実際には、よくできた性格テストほど鏡のような働きをするものなんで、意外な結果が出たものは疑うほうがいいでしょう。

 

 

ポイント3 くり返しても同じ結果が出る

上記のポイントと重なるところですが、良い性格テストほど、何度やっても同じような答えを出してくれるはずであります。ぶれぶれのテストが信頼できないのは当たり前だし、さらには人間のパーソナリティってのは、時間が過ぎてもほぼ安定してるもんでして、その意味でも結果がバラバラなテストはヤバいと言えましょう。

 

というと当たり前のようですが、MBTIなどは、数ヶ月のうちに再テストを行ったときに、同じ答えが出る確率は50%ぐらいだと言われてまして、一貫して同じ答えを出してくれるようなテストって、意外と少ないんですよ。

 

 

そんなわけで、ぜひ以上のポイントをふまえて判断して欲しいところですが、そもそも精度が高い性格テストってのは限られているので、とりあえずビッグファイブとかを押さえていれば、あまり問題ない気もしますが。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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