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今週末の小ネタ:「デリケートな質問」の効果、カップルの仲を良くする「笑いのセンス」、若者のアレの問題を起こす最大要因


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 

 

「デリケートな質問」は、もっとしたほうがいいぞ!

「相手に聞いてみたいことがあるけど、こんなことを尋ねたら失礼かな……」みたいに思うことってあるじゃないですか。相手の年収とか、相手の童貞歴とか、そんなやつですね(笑

 

で、新しいレビュー論文(R)では、このような「デリケートな質問」に関する心理について、過去のデータをまとめてくれていておもしろかったです。過去のデータを分析してなにがわかったかと言いますと、以下のようになります。

 

  • たいていの人は、他人にデリケートな質問をするのをめっちゃ怖がる(そりゃそうですよね)。

 

  • しかし、実際には、私たちが思っているほど、多くのはデリケートな問題について質問されることを気にしない傾向がある。また、デリケートな質問をしてきた相手に対して、悪い印象を持つようなこともない

 

  • デリケートな質問をうまくするためには、以下のポイントを気をつけるとよい。

    • トピックについて中立を保ち、質問の中でこちらの期待している答えを表現しない(「あなたは犬が好きですよね?」と質問すると、「犬が好き」という答えを誘導していることになる)

    • 相手に聞きたいテーマに関する知識を事前に少し調べておく。これによりスムーズな受け答えが可能となり、相手が答えやすくなる。

    • デリケートな話題には、それほどデリケートでない話題を組み合わせて、一緒に質問してみる。

 

ということで、みんなデリケートな質問をするのを嫌がるけど、実際にはさほど嫌がらないし、それで嫌われることもないんだって話ですね。確かに、ここらへんの印象の差はあるかもしれませんな。

 

ちなみに、デリケートの質問は、たんに「嫌われない」だけでなく、相手との信頼関係を築くのにも役立つかもしれないとのこと。研究チームいわく、

 

多くの人は、デリケートな質問をすることを恐れるが、これは相手を気遣っているという意思表示にもなる。

そのため、デリケートな質問を適切に行うことで、人間関係を改善することができる。

 

とのこと。私もデリケートな質問は避けるタイプなんですけど、こうして見ると、勇気を出してデリケートな質問をぶつけてみたほうがいいんだろうなぁ。

 

 

 

カップルの仲を良くする「笑いのセンス」とは?

「モテ」にはユーモアが大事!という話はよく耳にしますが、新しいデータ(R)も、「恋愛関係におけるユーモアの重要性」を掘り下げていておもしろかったです。

 

 

これは19歳から89歳までの異性カップル337組を対象にした調査で、まずは「ユーモアスタイル診断テスト」を使って、みんなの笑いのセンスを判断したんだそうな。ユーモアスタイルについては「人生の幸福度を左右する4つの『ユーモアスタイル』」を参照していただければ幸いですが、ざっくりまとめておくと、

 

  1. 親和的ユーモア:ユーモアを用いて社会的な絆を作り、人間関係を強化すること。

  2. 自己高揚的ユーモア:たとえ物事がうまくいっていないときでも、日常の状況にユーモアを見出すこと。

  3. 攻撃的ユーモア:皮肉、侮辱、侮蔑などを使って他人を軽蔑し、自分の優位性を主張すること。

  4. 自己卑下的ユーモア:自尊心や自己価値を犠牲にして、自分自身を冗談のネタにすること。

 

みたいになります。これらのユーモアのうち、どれをよく使うかによって、人間の幸福感がかなり左右されるってデータは昔から多いんですよ。

 

その結果、なにがわかったかと言いますと、

 

  • みんな、他人のユーモア・スタイルを正しく評価できるし、そのユーモアのうまさの評価も正しい。つまり、たいていの人は、相手のユーモアのセンスを感じ取る能力が高いと考えられる。

 

  • 満足度が高いカップルほど、「相手のユーモア・スタイルは自分と似ている」と判断するバイアスがあった(実際には似てなくても、そう思い込みやすい傾向がある)。おそらく、たいていの人は、自分のユーモア・スタイルを相手に投影したり、相手のユーモアを自分のスタイルと一致するように解釈する傾向があると思われる。

 

  • 満足度の高いカップルほど、お互いにより親和的なユーモアか自己高揚的ユーモアを使っていた。

 

とのこと。一般的に、私たちは相手のユーモアのセンスを正確に判断できるんだけど、パートナーとの満足度が高い人ほど、相手のユーモアのスタイルが自分と似ていると思い込む傾向が強いわけですね。

 

研究チームいわく、

 

パートナーとユーモアのセンスを共有していると思い込んでいるカップルは、たとえ実際にはそうでなくても、関係が良好だと報告することがある。これは、人間関係における性格の類似性に関する他の研究結果とよく一致している。

おそらく、ユーモアが似ていることはあまり重要ではないが、似ていると思うことは重要なのだ。

 

ってことなんで、自分の笑いのセンスがどれぐらいパートナーと似ているかと考えてみると、相手との仲がうまくいってるかどうかの指標になるかもしれません。あと、パートナーと仲良くしたけりゃ、とりあえず親和的か自己高揚的なユーモアのどちらかを使うのがよさそうですね。

 

 

 

 

若者のアレの問題を起こす最大要因とは?

どんなに若い人でも、「なんかナニがアレだなぁ……」と感じてしまう場面はあるわけです。下半身の不調は、高齢者だけの問題じゃないですからね。

 

で、新しいデータ(R)では、18歳から24歳の男女688人を集め、みんなの下半身の問題や、メンタルの問題などをチェック。若者のアレの問題はどんな感じなのかを分析したんだそうな。その結論を、ざっと見てみましょうー。

 

  • ほとんどの人は、性的機能には問題がないか、あってもごくわずかだった。ただし、これには男女差があり、女性の3分の2が困難を報告しており、「イケない」という問題が最も一般的だった。

 

  • 若い男女のアレの問題に最も大きな影響を与えるのは、「性的な自尊心」(自分は性的に優れているのだ!みたいな感覚)と「性別の役割分担」(男とはこうあるべきだ!女とはこうあるべきだ!みたいな考え方がしっかりしてるかどうか)の高さだった。

 

ということで、若い人にはアレの問題は起きづらいものの、「性的な自尊心」と「性別の役割分担」が確立している人ほど、問題に悩まされづらいわけですね。研究チームいわく、

 

全体として、性的な自尊心の高い人は、解決策を見つけたり、問題の解決に役立つ情報を得ようとする。そのため、問題が起きづらいのかもしれない。逆に性的な自尊心が低いと、パートナーとのコミュニケーションが難しくなり、発生した問題に対処しづらくなる。

また、昔ながらの性別の役割分担を支持する人ほど問題が起きづらいのは、彼ら彼女らが、型にはまらない性的なコミュニケーションへの関心が低いからかもしれない。伝統的な考え方では、男性は積極的なコミュニケーションが求められ、女性ははるかに受動的な役割を求められる。このように、各自の役割がはっきりしていると、コミュニケーションの不確実性や緊張が減るのだろう。

 

とのこと。自尊心があれば性的なトラブルに強いのは間違いないし、性的な役割を明確にしていれば、それだけコミュニケーションがスムーズに進むから、アレの問題は起きづらいのではないか、と。まぁ、だからといって「昔ながらの男女観を大事にしよう!」って話にはならないですが、これら2つのポイントは、知っておくといいかもですねー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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