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「本当の自己分析」って超ムズいから、原因を押さえておこうぜ!#2「スポットライト効果」


 

本当の自己分析」って超ムズいから、原因を押さえておこうぜ!」の続きです(#1)。

 

ここでは、有名な社会心理学者であるデビッド・マイヤーズ先生の本をベースに、「本当の自分を知ることをジャマするバイアス」をいくつかまとめております。正しい自己分析を阻害する要因のなかから、代表的なものをピックアップしてるわけですな。

 

この手の認知の歪みってのは、知識を持っておくだけでもまどわされにくくなるんで、基礎知識として押さえておくと吉であります。

 

 

本当の自分を知ることをジャマするバイアス4. マイノリティへの意識過剰

  • 多くの人は、自分のマイノリティな部分を意識するバイアスがある。社会心理学者のウィリアム・マクガイアによる研究でによれば、子どもたちに「あなたのことを教えてください」と持ちかけると、ほとんどが自分のマイノリティな側面を挙げた。

    赤毛の子は髪の色を言うし、外国生まれの子は出身地を語り、人種的に少数派の子は民族を強調した。アメリカで行われた調査によると、黒人の74%が自分の人種を「自分自身をどう考えるかにおいて非常に重要である、あるいは非常に重要である」と考えているが、白人の場合はわずか15%だった。

    このように、数字上のマイノリティになるということは、そのアイデンティティをより意識することにつながり、自分の平凡な部分を覆い隠してしまう。

 

 

  • また別の研究では、研究チームが、演劇用の化粧を使って女子大生に耳から口までに広がった傷をつけた。このとき、参加者の女性には、手鏡で本物そっくりの傷を確認してもらったた後、研究チームは「保湿剤を塗りますねー」と言いつつ、傷跡のメイクを取り除いた。

    その後、「私の顔には傷跡があるはずだ」と感じている女性たちに、また別の女性と話をしてもらったところ、被験者の女性たちは、みんな対話相手の視線に敏感になり、「私が話した相手はよそよそしい態度を取り、恩着せがましい口調になり、緊張した様子だった」と解釈した。

    ところが、これらの会話の動画を第三者に見てもらったところ、「みんな普通の態度だったし、よそよそしい感じではなかった」と判断した。つまり、「私の顔には傷がある」と思った女性は、その点への自意識が高まりすぎたせいで、コミュニケーション相手の態度を誤解したことになる。このような自意識過剰が、よいコミュニケーションの邪魔になるケースは少なくない。

 

 

 

本当の自分を知ることをジャマするバイアス5. スポットライト効果

  • 上記の意識過剰に近いバイアスとして、「スポットライト効果」というものも存在する。コーネル大学の実験では、参加者の学生にダサいTシャツを着てもらい、大勢の人間がいる部屋に入ってもらった。その後、「あなたのダサいTシャツに気づいた人が何人いると思いますか?」と尋ねたところ、たいていは「だいたい50%ぐらい?」と答えたが、実際にダサTシャツに気づいたのは23%だった。

 

 

  • この心理は「スポットライト効果」と呼ばれ、まるでスポットライトが自分を照らしているかのように、他人からの視線を過大評価する現象を意味する。

    このバイアスは、私たちの内なる感情にも及んでおり、たいていの人は、自分が抱いた嫌悪感や不安などが外ににじみ出て、他人から見れば一目りょう然だと思い込んでしまう。

    そのため、例えば、私たちが人前でスピーチなどをすると、たいていは「自分の緊張はバレバレだ!」「自分の顔に不安が出まくってるに違いない!」などと考えてしまい、その思い込みのせいで、いよいよスピーチのパフォーマンスが下がってしまう。

 

 

  • しかし、実際には、 他人は私たちが想像しているよりも、私たちの変化に気づいていない。多くの人は、自分のことだけを考えているので、他人の変化に意識を向ける暇がないからである。

    そのため、過去の研究によれば、私たちがつく嘘や欲望なども、実際にはほとんど気づかれることがない。同じように、髪が乱れていたり、昨日と同じ服を着ていたりしても、気づくような人はほとんどいないし、たとえ気づいたとしても気にする人の数はさらに少なく、その中で、記憶に残すような人はほぼ皆無になる。

    このバイアスを打ち消すのは容易ではないが、人目が怖くなったときは「これはスポットライト効果だ!」と思うことで、ある程度までは、症状を緩和することができる。

 

 

 

本当の自分を知ることをジャマするバイアス6. ファビング

  • スマートフォンが普及した現代では、多くの人が、「会話中にスマホで軽くメールをチェックしても問題はないだろう」と考えるバイアスにとらわれている。誰かとの会話をしている最中にメッセージが着信したり、電話がかかってきたり、メールや電子メールをチェックしたい衝動に駆られ、いったん会話を中断する人は少なくない。この状態は、近年「ファビング」と呼ばれるようになった。

 

 

  • アメリカで行われた調査では、46%が「会話中に相手に電話をかけられる体験をした」と回答。23パーセントが「会話中に相手が携帯をちらちら見たり、会話の合間に携帯をチェックするのは、コミュニケーションにおける大きな問題だ」と答えた。

 

 

  • ブリティッシュコロンビア大学の実験では、レストランでの食事中に、相手が携帯電話をテーブルの上に置いただけでも、参加者は料理に集中できなくなってしまい、食事をあまり楽しむことができなかった。

 

 

  • ケント大学による別の実験では、「対話の相手が時折スマホに視線を落としスワイプする」という条件を設定し、参加者に会話をしてもらった。その結果、ファビングをされたグループは、直後から注意が続かない状態がスタート。ファビングが多ければ多いほど、学生たちはファビングされた相手に嫌悪感を抱き、孤独感が激増し、会話の相手への帰属意識が下がり、自尊心が低下してた。

 

 

  • 実験からわかるように、ファビングは、対話の相手に重度の孤独感を抱かせるため、徹底的にひかえておくほうがよい。

 

 

ってことで、いくつか書いてたら長くなったので、本稿はまだ続きます。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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