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最大規模の研究でわかった「本当に頭が良い人」が持つ性格とは?

 

頭が良い人の性格ってどんな感じなの?」を徹底的に調べたレビュー(R)が出ておりました。世間には「内向的な人のほうが頭が良さそう」とか「いつも落ち着いている人は頭が良さそう」みたいなイメージもありますが、果たして何が正解なのかを掘り下げてくれたわけです。

 

 

この研究は、日本をふくむ世界50カ国にまたがる1,300件以上の研究データから得られたもので、200万人以上のデータが対象。1,300以上の研究データをまとめて、個人の性格と認知能力がどのように絡み合っているかを調べたんですよ。似たような研究は過去にもありましたが、これぐらい大規模なものは珍しいですね。

 

 

念のため、言葉の定義をおさらいしておくと、

 

  • 性格=私たちの行動、感情、思考に影響を与え、外向的か、礼儀正しいか、粘り強いか、好奇心が強いか、心配性かを決定するもの。
  • 認知能力=言語を使いこなし、複雑な数学を理解し、論理的な結論を導き出すなど、複雑な状況を切り抜ける能力を。

 

みたいになります。もちろん、頭の良さは認知能力だけじゃ決まらないものの、かなり近いところにある概念ではありましょう。

 

 

ちなみに、この調査では、「謙虚さ」や「好感度」といった79パターンの性格特性と、「読書速度」や「記憶力」といった97の認知能力の関係を調べてます。これもまた過去にないレベルで大規模ですねー。

 

 

では、分析の結果をならべてみましょう。

 

  • 認知能力の高さと最も直接的な関係があるのは「活動レベル」だった。活動的でエネルギッシュな人ほど、さまざまな認知能力に優れていた。最も関係が大きかったのは、「幅広い知識」「効率的な記憶検索「情報処理能力の向上」など。知識の対象が何であれ、活動的な人は、あらゆることについて詳しい傾向がある。

 

  • また、「経験に対する開放性」も多くの認知能力の高さと関係があった。経験に対して開放的な人は、新しいもの、複雑なもの、型破りなものに興味を持ちやすい。この特性が高い人は、斬新で複雑なアイデアに惹かれることが多く、自分の意見とは違う視点からものごとを見るのも好き。

 

  • さらには、「勤勉さ」と「思いやり」の高さも、ほとんどの認知能力にプラスに働くことがわかった。

 

  • 逆に、「抑うつ」と「不安」のレベルが高い人は、知識を蓄積したり、論理的に推論したりするのが苦手だった。



これらの結果をふまえて、頭が良い人の特徴を、もう少しわかりやすくまとめると、以下のようになります。

 

  • 頭が良い人は、不安、悲しみ、いらだちを覚えにくく、自意識過剰のレベルも低い!

 

  • 頭が良い人は、ものごとをコツコツとやれて、他人のために行動できる!

 

  • 頭が良い人は、とにかくいろんなことに興味を持って、やれることは片っ端からやる!

 

というわけで、「頭が良くなりたいなー」という方は、上記の特徴のなかから、自分に足りないものを選んで意識的に強化していくといいかもしれません。私の場合は、基本的にクソ内向インドア人間なので、「活動的でエネルギッシュ」って特性はないなぁ、と。

 

 

今回の結論は過去のデータとも整合性がありまして、そこらへんもざっくりまとめておきましょう。

 

  • 「活動的でエネルギッシュ」という特性は、ビッグファイブでいう「外向性」という性格因子の一部分であり、社交性、自己主張性、興奮を求めること、積極的な感情などと並ぶ副次的な要素のひとつ。2011年の研究(R)では、外向的な人ほどIQテストで高得点を取り、言語的・抽象的推論の成績が良いとされている。また、知的作業を行う際に、外向的な人は騒がしい状況に対処するのが得意だった。

 

 

 

  • 「思いやり」はビッグファイブでいう「開放性」の一部であり、こちらも高い知性との関係が言われてきた。例えば、2008年の研究(R)では、高い知性を持つ人ほど、人を信頼し、素直で利他的である可能性が高かった。

 

ということで、いずれもIQや認知の働きとの関係が過去にも示されているので、今回の結果にも納得と申しますか。

 

 

研究チームいわく、

 

性格と知能の関係を知ることで、私たちは自分についてもっと深い問題を考えることができる。今回の発見は、人間の多様性と個性に対する我々の理解に革命をもたらす。自分自身を知ることによってのみ、私たちは潜在能力を十分に引き出すことができるからだ。

 

とのこと。私たちが能力を発揮するには自己分析を進めるしかないのは、「才能の地図」にも書いたとおり。正しい自己分析のためにも、今回のデータは使えそうですねー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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