人生を幸せに過ごすための目標設定法
このブログをお読みの方であれば、「外発的な目標よりも内発的な目標のほうが大事!」って話を何度も聞いたことがあるでしょう。金!名声!権力!みたいに自分の外側にあるものを追い求めるよりも、やりがい!友情!成長!みたいに自分の内側から来るものを追い求めたほうが、幸福感が大きくなるよーって話ですね。
これは大昔から言われてきたことですが、果たしてどこまで事実なのかってところについては、まだ厳しい検証が行われていなかったのが事実。個人的にも、外的なモチベーションの虚しさは実感しますけど、果たしてどれぐらいの正当性があるのかは、まだ未知なところもあるんですよ。
ということで、オーストラリア・カソリック大学などの先生方が、「外発と内発はどっちが幸せ?」ってのを調べるメタ分析(R)をしてくれておりました。論文のタイトルは「アメリカン・ドリームの暗黒面のメタ分析」って感じで、「良い家!良い車!出世!快適な生活!」を求めがちなアメリカ人の行き方が、本当に幸福度のアップに役立っているかをチェックしたんですな。
ここでは、過去に行われたモチベーション研究から92件をピックアップし、世界中から集めた7万人以上のデータをまとめて、大きな結論を出してくれてます。たいていの研究は、「Aspirations Index」って質問票を使って、内発的な目標と外発的な目標のレベルを評価していて、7つ分類された目標が含まれております。
- 大金持ちになること
- 成長し、新しいことを学ぶこと
- 自分の名前を多くの人に知ってもらうこと
- 頼れる親友を持つこと
- 自分の体力レベルに満足すること
- 社会をより良くするために働くこと
- 髪型や服装の流行を追いかけること
当然ながら、これらのうち富(#1)、名声(#3)、セルフイメージ(#7)が外発的な目標で、自己成長(#2)、人間関係(#4)、健康(#5)、コミュニティ(#6)が内発的な目標になります。このテストでは、各項目を1点 (まったく必要ない)から7点 (とても欲しい)で最低してますんで、自分でも採点してみて、外的と内的のどちらが自分にとって重いのかをチェックしてみてもおもしろいでしょう。
で、分析の結果は以下のようになりました。
- 外発的な目標を優先すると、主観的な幸福感、全体的な健康、社会に役立つ行動のレベルが低くなる。この傾向は、年齢や文化とは関係なく確認された。
- 逆に、内発的な動機づけが高い人ほど幸福度は高い。
- ただし、どのような動機づけでも、まったくないよりはましなので注意。
ってことで、やはり内的なモチベーションのほうが幸せだって考え方は、かなり強固な結論だと言っていいみたいですね。もちろん、外的なモチベーションも、「なんの目標もモチベーションもない!」って状態よりは意味があるようなんで、外的が悪いってわけじゃないですが。
研究チームいわく、
目標に関して言えば、幸福は財布の紐ではなく、心の紐にあるようだ。
自分自身、あるいは他人のために目標を設定するとき、成長や思いやりを犠牲にして、お金や美しさ、権力を重視することは心理的に有害である。個人、グループ、組織は、内発的な観点で目標を設定することを検討すべきである。
とのこと。ちなみに、この研究によると、いったん外発的なモチベーションがメインになると、内的なモチベーションが押しのけられてしまうとの結果も出ております。確かに、「他人からどう見られているんだろう……」ってのをいつも気にしていたら、自分の人生をコントロールするモチベーションは消えちゃうでしょうからね。
ということで、これらのデータを現実に活かすのであれば、
- 上の7つのモチベーションリストを見て、7点満点で採点してみる。
- テストの結果をもとに、自分のモチベーションは外的がメインか、内的がメインなのかを把握する。
- 内的モチベーションのなかで点数が低い項目をチェックし、自分に足りないものを把握する。
- 「この項目を1点上げるには、なにができるだろう?」と考えて具体的な目標を作る。
- 作った目標をブレイクダウンして、明日からできるレベルの行動を作る。
みたいになるでしょうね。正しい目標設定をして幸福になりたい方は、お試しください。