現代人が最高のパフォーマンスを発揮するには「儀式」が欠かせないぞ!という本を読んだ話
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「儀式の効果(The Ritual Effect)」って本を読みました。著者のマイケル・ノートン博士はハーバード・ビジネススクールの教授で、時間とお金、幸福などの研究で知られる先生です。日本だとエリザベス・ダン先生と共著した「『幸せをお金で買う』5つの授業」がめっちゃ有名ですね。
で、本書はタイトルどおり「儀式」の重要性について語った本で、拙著「ヤバい集中力」でも取り上げた「儀式」と同じようなポイントを扱ってます。いわゆるルーチンの重要性ってやつですね。
それでは、いつもどおり本書から参考になったところを見てみましょうー。
- 「儀式」というと宗教を想像してしまうが、本書で言う「儀式」は「ルーチン」に近い。たとえば、あなたが夜寝る前にシャワーを浴びてから歯を磨く習慣があったとする。この行為について、「もし歯を磨いてからシャワーを浴びたら?」と想像してみてほしい。
この実験をすると、だいたいは約半数が「気にしない」と答え、残り半分は「気持ち悪い」と答える。これが習慣と儀式の違いで、順番を変えても気にしない人は、毎日やっていることだが、そこに感情はあまりなく、ただの習慣になっている。しかし、順番を変えることが少しでも気になったり、気持ち悪い感じがしたりしたら、その作業に“特別な意味”を感じているという意味であり、それは儀式になりつつあると考えられる。
- 儀式は私たちの生活に驚くほど浸透しており、さまざまな効果を持っている。著者自身の研究でも、儀式には、パフォーマンスの不安をやわらげたり、人間関係を深めたり、食事を味わったり、悲しみに対処したりといった効果があることが示されている。
儀式は、私たちが直面するどのような問題にも役立ち、たとえば愛する人を失ったときなども、儀式を行うことでセルフコントロールの感情が高まり、 悲しみが軽減されやすくなる。ビジネスの交渉の場でも、握手のような儀式を行うことで信頼の感情が高まり、 仕事上の人間関係が改善される。
- 儀式といっても、別にたいそうな作業は必要ない。儀式は、特定の動作によって、自分にとって重要な感情を与えてくれることを行う順序のことである。「これをやると一日を始める準備ができた!」と感じ、なんらかの意義の感覚が生まれるものであればなんでもよい。つまり、「お茶を飲む」「靴ひもを結ぶ」ような単純な行動でも、感情的で興味深いものになり得る。このような儀式を増やすことで、私たちの生活に彩りを与えることができる。
- 事実、著者自身の調査によると、多くの人は自分なりの儀式をDIYしている。回答のなかで多いのは、朝の運動、瞑想、コーヒー、化粧など。特定の音楽を集めたプレイリストを採用している人も多かった。また、ある夫婦は、食事の前にフォークを3回鳴らすという儀式を採用し、これで共同体意識を高めていた。
- 同じようなことは人間の生活のあちこちに見られ、ケーキ中に細菌が飛び散るリスクを抱えてまでロウソクを吹き消すのは、それによって愛情を示すためだし、液体をこぼす危険を冒してまで酒を飲む前にグラスを合わせるのも、共同体としての意味を生み出し、絆を深める働きがあるからである。
- 一般に、人間関係の儀式には4つの要素がある。
- ひとつめは「コミットメントの表現」で、「私たちは仲が良い!」「私たちはこれからも一緒にいるつもりだ!」という意識を表現する。たとえば、はお互いの指に指輪をはめたり、書類に署名したり、結婚式を行ったりして、互いへのコミットメントを示すが典型である。
- ふたつめは「関係性の区別」で、上述のカップルが「食事の前にフォークを3回鳴らす」のは、「私たちは他のカップルとは異なる儀式を行っており、独自の関係性を築いていることを示す働きを持つ。こうした小さな儀式は、互いへの献身を表現する上で重要な働きを持つ
- みっつめは「日常の変容」で、いつもやっている動作を儀式に変えるのが効果的である。たとえば、毎週の食品の買い出しを特別な儀式として取り扱うことで、平凡な作業を刺激的なものに変えているカップルも少なくない。
- よっつめは、「同意の重要性」で、儀式の実践と効果について2人の意見が一致している必要がある。上の例で言えば、「店に行って食事の食材を選ぶ」という行為の重要性を両者が認めていないと、関係満足度は上がらない。
- 仕事を行う上でも儀式は重要であり、これは「家庭での自分」(父親、夫、ルームメイト、友人など)から、「仕事の自分」へとアイデンティティを切り替えるために行う。こちらも、自分のアイデンティティを切り替えられるものなら何でも良く、家を出る前に歯を磨く、シャワーを浴びる、コーヒーを飲む、同僚とおしゃべりするなどの行為により、自宅の自分から職場の自分へと移行していく。
- 大事な会議やプレゼンの前に儀式をするのも有効である。プロのアスリートたちが、試合の前に特定の手順で動作を行うように、大きなストレスのかかる瞬間の前に、自分なりの儀式を行うことでパフォーマンスが上がりやすくなる。筆者の調査では、プレッシャーがかかる仕事の前にトイレに行って、自分をはげますようなフレーズを言うケースが多かった(「自分ならできる」「絶対にうまくく」みたいなやつ)。
- また、職場のチームにおいても、儀式を構築しているケースが見られる。たとえば、筆者が調べたある5人組のチームは、各自が曜日を決めて皆の分の昼食を用意する儀式を行っていた。何があっても一緒に昼食をとることで、単なる他人の集まりではなく、チームとしての結束を高め、自分たちの仕事にもっと意味を見出していた。
- 同じように、仕事の終わりに儀式を使う人も多い。それによって、「仕事の自分」から「プライベートの自分」に戻るのが目的で、たとえば帰宅時にシャワーを浴びて一日のストレスが洗い流されるのを感じるだけでも、十分な効果がある。とにかく重要なのは、「ここでアイデンティティを切り替える!」と思うだけの儀式を持つことである。