20年ぶりに「ホーキング、宇宙を語る」を再読してみたが
「ホーキング、宇宙を語る」を読みました。
先日から個人的に取りかかっている、米アマゾンの「一生のうちに読むべき100冊」を 読んでみるシリーズの2冊め。高校生のころにハードカバー版を買って、「まったくわからない!」と投げ出して以来の再読であります。
あれから20年も経っていれば、少しはわたしの理解も進んだかと思いきや、今回もやっぱりよくわかりませんでした(笑)。
序盤のニュートン物理から相対性理論まではなんとかついていけるものの、素粒子論の話に入ると一気にダメダメに。もちろん、わたしの頭が弱いのが最大の原因ですが、この本の書き方が難しいせいも多分にあると思います。
出版当時は、これでも「簡単に書かれた宇宙論の本」だったんでしょうが、そのあとで続々とわかりやすく噛み砕いた本が出たので、いまとなっては宇宙論を学ぶための最初の一冊としては薦められない感じ。
具体的には、ビッグバンについてはサイモン・シン「宇宙創成」が最強だし、その後に出た新理論については佐藤雅彦「宇宙は無数にあるのか」や、こないだ紹介した青木薫「宇宙はなぜこのような宇宙なのか」のほうが理解しやすいです。もうちょい歯ごたえが欲しいなら、ブライアン・グリーン「宇宙を織りなすもの」が頭のクラクラする名著だし、ホーキング博士自身も「ホーキング、宇宙を語る」に新理論の説明を加えたアップデート版「ホーキング、宇宙と人間を語る」を出してますので、こちらから入ったほうがいいんじゃないいでしょうか。
そんなわけで、いま「ホーキング、宇宙を語る」を手に取る意義があるか?というと、なかなか難しいところ。唯一、不治の病に屈せず壮大な知的偉業に取り組む天才の物語として読むのはアリかと思いますが、なにせホーキングの書き方が非常に軽やかで、読み手に病気を意識させない文章になっているので、難病ものとして消費するのも失礼な気がしちゃうんですよねぇ。