勉強ができる人とできない人の差は1万時間の練習でも埋まらない
以前に「誰でも天才になれる『1万時間の法則』が間違いだった件」って話を書きました。
おさらいすると、マルコム・グラッドウェルの「天才! 成功する人々の法則」で有名になった「1万時間の法則」ってのがありまして、要は「1万時間の集中的な訓練を行えば誰でも天才になれる」って仮説です。ところが、ミシガン州立大学の研究によれば、そもそも元ネタになった論文には不備があり、練習量が少なくても一流になれる人はなれちゃうんだ、と。
そして、今度は2014年7月にプリンストン大学から新たな研究(1)が出まして、さらに「1万時間の法則」に不利な結論が出ちゃったんですな。
この研究は、過去に行われた音楽、ゲーム、勉強、音楽などの研究をメタ解析したもの。メタ解析をざっくり言うと、統計的に「超信頼できるデータ」のことでして、くわしくは「パレオな男の正しい読み方」をどうぞ。
で、解析の結果わかったのは、練習の影響は思ったより小さいってこと。研究者の計算によると、その分野をマスターするために必要な要素のうち、練習の重要さは平均で12%ぐらいらしい。うーん、少ない。
また、練習の重要さはジャンルによって大きく異なっていて、具体的には、
- ゲーム 26%
- 音楽 21%
- 勉強 4%
- 専門職 1%
って感じ。勉強がたった4%ってのは驚きですねぇ。もちろん、これは「練習が大事じゃない」って意味ではなくて、あくまで個人のスキルの差は練習では説明できないって話なので誤解されませんよう。
ちなみに研究者いわく、
統計的にも理論的にも、集中的な練習は間違いないく重要だ。しかし、(1万時間の法則の)支持者が主張するほどではない。いま科学者にとって重要なのは、本当にスキルの差をもたらす要素を特定することだ。
ってことで、まだ天才が生まれる原因はわからないみたい。いまのところ、そのスキルを学び始める年齢と、ワーキングメモリの発達度のほうが重要なんじゃない?って説が有力みたいなんで、とりあえず緑茶と瞑想とBrain Workshopでワーキングメモリを鍛えつつ、続報を待ちたいと思います(笑)。