読むだけで頭が良くなる魔法の文章、それは難解なポエム
「純文学でEQが上がる!」とか「海外ドラマでコミュニケーション能力アップ!」みたいな話がありましたが、今度は「ポエムで頭がよくなる!」って論文(1)が出ておりました。認知心理学の世界では「読書のメリット」研究がブームなんですかね。
どれだけ文章の意味を幅広く解釈できるか?
これはリバプール大学の実験で、24人の学生を対象に、読書と認知機能の関係を調べたもの。全員にfMRi(脳の活動を計る機械)に入ってもらい、そのなかで48パターンの文章を読んでもらったそうな。
具体的な文章の例をあげると、
1.文章の意味をそのまま取ればいいもの
なんのために日々はあるのか。
日々はわたしたちの生きるところ。
繰り返し繰り返しやってきて、
わたしたちの目を覚ます。
治療法は探せば見つかる
自然の中になければ、薬瓶を探せばいい
それはとても効果的で、人生を変えてしまうかもしれない。
でも、僕は癒やしを探すのに疲れてしまったんだ
2.文章の意味を取るのに解釈が必要なもの
人知れず生きたルーシーは
誰も知らないままに死んだ
彼女は墓の中で眠る
私にとってかけがいのない人
彼女は田舎町で孤独に生きた
彼が彼女を探したその場所で
明るくてにぎやかな家を見つけたとき
彼は彼女の死に気づいていた
みたいな感じ。どれも意味深な文章ではありますが、確かにパターン2のほうが解釈の余地が広そうですね。
その後、全員にアンケートを取りまして、それぞれの文章に対して「どれだけ様々な解釈をしたか?」をチックしたらしい。当然ながら、いろんな解釈ができるほうが脳の柔軟性が高い(≒頭が良い)と考えられるわけですね。
難しいポエムで脳の柔軟性が上がる
その結果は、
- 解釈が必要な文章を読んだ学生ほど
- 脳の中枢ネットワークが活性化していた
- 主要ネットワークも活性化していた
- 結果として脳の柔軟性が高くなった
って感じだったらしい。中枢ネットワークは問題の解決に使うエリアで、主要ネットワークは脳の働きをスムーズにするための機能。超ざっくり言うと、難しいポエムを読むと頭が良くなるんだ、と。
研究者いわく、
一定時間にわたって詩を読むと、凝り固まった思考がほぐれて脳の柔軟性がアップする。これは、意味の再解釈をとおして新たな世界観を受け入れ、その行為が内的な報酬として体験されるからだ。
とのこと。要するに、
- 難しい詩を読む
- いろいろと意味を考える
- 古い考え方が壊れる
- 新しい考え方を受け入れる
- アハ体験!
みたいな流れですね。ポエムのように解釈の幅がひろい文章を読むと、自然と脳の柔軟性がトレーニングされ、その効果が現実の世界にも適応されるらしい。
実験ではワーズワースの詩集で脳機能が上がったようなんですが、難解さで言えば荒川洋治さんなんかを読んでみるのもアリかも。まぁ、あんまりにも難しいと逆に再解釈する気が失せて逆効果かもしれませんが。