魚にふくまれる水銀の害にはどこまで怖がればいいのか?
魚を食べると体内に炎症が起きる?
魚介類が体にいいのは間違いないわけですが、悩ましいのが水銀の問題であります。
ご存じのとおり、マグロのような回遊魚ほど水銀をたくさんふくんでまして、日本人としては気になってしまう感じ。特に年齢が若いほど重金属のダメージを受けやすいんで、お子さんがいるご家庭なんかは困っちゃうところです。
というわけで、仕事も兼ねてそのへんをチェックしてみましたんで、ざっくりしたまとめを。
実際、「魚の水銀ってヤバいかも…」と思わせるデータはかなりありまして、例えば2012年に出たレビュー論文(1)なんかを読むと、
- 魚をよく食べる子どもは善玉コレステロールが多くて中性脂肪が低い!
- でも、いっぽうでは血中の水銀レベルと体内の炎症レベルも高い!
- ついでにコルチゾール抵抗性が増している(=体内のストレスレベルが高い)
みたいな傾向はハッキリあるらしい。確かに魚を食べると脂質の状態はよくなるんだけど、いっぽうでは体内の炎症度が上がっちゃうみたい。つまり、すごく大ざっぱに言うと、
- 魚を食べると死亡の原因のトップである心疾患リスクが減る!
- でも炎症のせいで老化ダメージは増えちゃうかも!
という綱引き状態になってるわけですね。もちろん、これは魚の種類を考慮してないんで、あくまで全体的な傾向の話ですけども。
魚を避けたところで水銀からは逃れられない
さらに2010年にグラナダ大学が行った調査(2)だと、WHOが提唱してる安全値より水銀の量が少なくても体内の炎症は起きちゃうとのこと。うーん、悩ましいですね。
ただし、ここで「魚は危険だ!」と言うものアレでして、例えば2013年のコーホート研究(3)なんかを見ますと、
- 魚介類から体内に蓄積される水銀の量は全体の7%ぐらいしかない!
- その他に水銀がたまる原因になってるのは、豆類、全粒パン、シリアルブラン、フルーツジュース、サラダ、ワインなどなど
って結果なんですよね。つまり、普通に健康的な食品を口にしている限り、水銀の蓄積からは逃れられないんだ、と。
また、2015年に行われた調査(4)では、121名の妊婦さんの食生活を調べたうえで、
公衆衛生局が「水銀レベルが高い大型魚を避けたほうがいい」とアドバイスを出すのは、小型魚の栄養メリットを覆い隠すことにつながってしまう。よりよいリスクのバランスを考えるべきだろう。
といった結論を出しております。確かに水銀の心配はあるけど、やっぱ魚のメリットは捨てがたいよなーって話ですね。
まとめ
そんなわけで、どっちみち水銀は体にたまるんで、それなら普通に魚を食べればいいやって結論に落ち着きました。というか、アンチエイジング効果に定評がある「地中海式ダイエット」 でも魚介類をたくさん食べるわけですし、そもそも気にするほどの問題じゃないのかもしれませんが。
とはいえ、子どもが水銀の影響を受けやすいのも確かなんで、
- イワシとかニシンのような水銀量が少ない魚をメインに食べさせる
- 心配だったらツナは避ける
- 炎症対策に気を配ってあげる
ぐらいのことはしといてもいいかもしれません。こちらからは以上です。