脳の機能を劣化させる悪玉「ホモシステイン」対策入門
https://yuchrszk.blogspot.com/2017/04/homocysteine.html
ホモシステインの増加で脳が劣化する
炎症とか酸化とか、老化の原因をいろいろ紹介しております当ブログ。が、そういえば「ホモシステイン」の話を書いてなかったんで軽くメモしときます。ホモシステインってのは、体内でタンパク質が使われた後に出る「残りカス」みたいなものです。かなり酸化しやすい性質を持ってまして、こいつが増えると体内のAGEsレベルが上がったたり、コラーゲンの質が落ちていったりと、困ったことになっちゃうんですね。
たいていの人は、血中のホモシステインが10 mmol/Lより下なんですけど、この数値を上回っていくと危険信号。その結果、人体に何が起きていくかと言うと、
- 肌の劣化
- 血管の老化
- 脳のポンコツ化
みたいな感じ。まさにアンチエイジングの大敵と申せましょう。
シャープな脳を保つにはホモシステイン対策が必須
なかでも大きな害が実証されているのが「脳へのダメージ」だったりします。実際、いくつかのメタ分析で、ホモシステインで脳が衰える!って結果が一貫して出てまして、- 20,431人のデータを調べたところ、総ホモシステイン値が高い人ほど脳の萎縮が認められた(2014年,1)
- 19件のデータを調べたところ、総ホモシステイン値が高い人ほど脳機能が低下していた(2012年,2)
みたいな感じ。ホモシステインが増えるほど脳が縮んじゃって、アルツハイマーの発症リスクもはね上がっていくみたい。シャープな脳を保つには、ホモシステインを低めに保つのが超大事なわけですな。
ホモシステインにビタミンBが効く?
こうなると、ホモシステインはどうすればいいの?って話になりますが、よく聞くのはビタミンB群かと思います。過去のデータでは、ビタミンB群が足りている人ほどホモシステイン値が低いことがわかってるんですね。もっとも、ネットで検索をすると、ビタミンBのサプリがホモシステインに効くかは賛否両論のはず。おそらく、論文をよく読むような人ほどサプリには否定的ではないかと。
というのも、上で紹介したメタ分析では、いずれも「ビタミンBサプリはムダ!」って結論になってるんですよね。ビタミンBが大事なのは間違いないものの、サプリを飲んだところでホモシステインは減らないのではないか、と。
そんなわけで、長らくホモシステイン対策については「バランスの取れた食事をしよう!」ぐらいのアドバイスしか言えなかったんですけど、近ごろ「これまでのメタ分析は間違いがあった!」ってレビュー論文(3)が出まして、また状況に変化が出ております。
ビタミンBが足りてない人にはサプリが効く
この論文のポイントをざっくりまとめると、- いままでのメタ分析は「ビタミンBが足りている人のデータ」をメインにしていた
って感じ。そりゃあビタミンBが足りている人にサプリを飲ませても、変化は出にくいでしょうからねぇ。
実際、ビタミンB不足な人を対象にした実験だけに絞ると、また違った結果が出てたりするんですよ。
- 50〜70代の女性800人に1日800mugの葉酸を飲んでもらったところ、3年で総ホモシステイン値が改善した(2007年,4)
- 心疾患リスクの高い女性にビタミンB12やB6を飲んでもらったところ、脳の機能に大きな改善がみられた(2008年,5)
そんなわけで、確かにビタミンB不足な人には、サプリがちゃんと効果を発揮しております。
特に大事なのが葉酸・ビタミンB12・B6
なかでも有名なのは、2010年にオックスフォード大が行った実験(6)で、軽度の認知症に悩む患者さんたちを対象にしたもの。参加者の半分に対して、- 葉酸塩 0.8mg
- ビタミンB12 0.5mg
- ビタミンB6 20mg
を毎日2年にわたって飲み続けてもらったところ、脳の萎縮率が30%も改善したというんですな。こりゃあ凄いことです。
具体的な改善の流れとしては、
- ビタミンBレベルが正常になる
- ホモシステインが減る
- 脳の萎縮スピードが下がる
- 頭が良くなる!
って流れ。このへんを見る限り、やっぱビタミンB不足な方はサプリを飲んでもよさそうな気がいたしますね。
まとめ
ちなみに、いまの日本人はビタミンB12はギリギリで、ビタミンB6が足りない人が多い感じ(7)。かくいう私も、仕事のせいでストレス過多だった2014年にビタミンB不足が判明して、慌ててサプリで補ったりしてました。といっても、パレオダイエッターとしては、いつまでもサプリに頼るのは考えもの。ということで、次回は体内のビタミンBを正常に保つための対策を深掘りしていこうかと思います。