「自信がない!」を改善するメンタルテク「コンパッションゴール」
「自信がない」 に対処する方法はあるのか?
「自信ががない」ってのはよく聞くお悩みですが、なかなか対処は難しいもんです。そもそも「自信があるのはいいことなのか?」って考え方もありますしね。
といっても、「自信がなさすぎるのはやっぱ良くないよねー」ってのが心理学界のコンセンサスでして、 自尊心が低い人ほど鬱になりやすいってメタ分析(1)があったりします。無闇に自信があっても無意味ですが、ムダに低すぎるのも問題なわけですな。
で、この問題の特効薬はないんですけど、近ごろ出た論文(2)は、自信のなさがもたらす不安や鬱に対処するヒントが出てて参考になりました。
コンパッションゴールを設定する
これはシアトルパシフィック大学の研究で、47人の男女が対象。みんな医者から不安症または鬱と診断された人だけを選んだらしい。
まずは全体を2つのグループにわけまして、
- セルフイメージゴール:自分が変えたいことを目標にしてがんばる。「自分のポジティブな側面を伸ばす」とか「他人に自分の美点に気づいてもらう」とか「自分の弱点を変える」とか。
- コンパッションゴール:他人への貢献を目標にしてがんばる。「人を助ける」とか「利己的な行動を抑える」とか「他人の人生に良い影響をあたえる」とか。
みたいな感じ。「自己目標」と「他己目標」という2種類のゴールを設定したうえで、6週間ほど過ごしてもらったわけですね。
コンパッションゴールでメンタルと人間関係が改善
で、その後で心理テストなどを行ったら、
- セルフイメージゴールのグループは、人間関係にトラブルを起こす確率が高く、鬱や不安の症状も悪化しがちだった
- コンパッションゴールのグループは、逆に鬱と不安の症状が軽減し、人間関係のトラブルを起こしにくかった
って違いが出たそうな。ちょっと前にも「他人のために行動すると高血圧が改善する」なんて話がありましたけど、鬱や不安にも効いてくるわけですな。
さらに、この実験ではフォローアップの調査も行ってまして、参加者の家族、友人、配偶者などにも話を聞いてまわったらしい。その結果もやはり同じで、
- コンパッションゴールのグループは、周囲の人間から見てもメンタルが安定し、周囲との環境がよくなっていた
だったんですな。「他人のため」を目標にしたグループは、主観的にも客観的にも良い効果が出たんだ、と。
まとめ
つまり、以上の話をまとめると、
- 他人から認められようと頑張ったり、自分の欠点を直そうと頑張るのは、自信をつける役には立たない。どころか状況を悪化させる可能性が高い
- 本当に自信をつけようと思ったら、注意を自分から他人に向けるほうが確実。自分のメンタルが改善するうえに、他人との関係も改善する。
って感じでしょうか。まさに情けは人のためならずと申しますか。
そんなわけで「自信がない!」とお悩みの方は、自分をどうこうすることを考えるよりも、人のためになれるかどうかを考えたほうがコスパが良いかと存じます。ご参考までに。