筋トレの後には「筋肉痛」が起きたほうがいいのか悪いのか問題
筋トレに筋肉痛は欠かせない?
「筋トレしたら筋肉痛は起きたほうがいいの?」みたいな疑問が良くあるわけです。誰でも筋肉痛は嫌なもんですが、トレーニングの後に痛みが出たほうが最終的に体が成長するのではないか、みたいな。
さらに、一部には「筋肉痛は発達に欠かせない!」みたいな意見もありまして、どうにも迷っちゃうところです。悩ましい問題ですねぇ。
ってところで参考になるのがブラジルのサンパウロ大学から出た論文(1)で、筋肉痛と筋肉の成長について調べてくれております。
筋トレ初心者で10週間の筋肉痛レベルをチェック
これは10人の男性を対象にした実験でして、週に2回のペースでレッグプレスとレッグエクステンションを指示。その上で定期的に筋肉組織を採取して10週間の様子をみております。
この手の実験って、だいたい筋トレをしてから6〜12時間ぐらいの状態をチェックしたデータばっかなんで、10週間も試してくれたのは非常にナイス。参加者が少ないのが何点ながら、なかなか貴重な内容になっております。
それで何がわかったかと言いますと、
- 筋肉痛がどんなにキツかろうが筋肉の成長とは関係がない(だいたいみんな14%ぐらい筋肉が増えた)
- ただし、筋肉痛が激しいと、トレーニングが終わってから48時間までは筋肉のタンパク質合成(MPS)は高くなる
みたいな感じです。いままでは、「筋肉痛があると筋肉のタンパク質合成が高くなる!つまり、筋肉痛によって筋肉が育つのだ!」みたいに言われてきたんですけど、実はそんなことはまったくなかったみたい。というか、実際は、筋トレに慣れて筋肉痛がほとんど起きなくなったときのほうが、「最終的に筋肉が育つかどうか?」を左右してたそうな。
筋肉痛は一時的な筋力の低下にもつながる
さらに、この実験ではもうひとつの結果も出てまして、
- 筋肉痛が激しければ激しいほど、最低48時間のあいだは筋力が20%ほど低下する
って傾向もあったとのこと。いっぽうで10週間後に筋肉痛が起きにくくなってから計測した場合は、筋力の低下は2〜6%ぐらいまでに治ったとのこと。こうしてみると、筋トレは筋肉の成長に関係がないだけでなく、トレーニングに悪影響が出ちゃう可能性も高いわけっすね。やっぱいいことはないみたいですねぇ。
つまり、この実験から現実的な教訓を引き出すならば、
- 筋肉痛を目標にトレーニングするのは止めようね!
- というか別に筋肉痛にはメリットがないから、できるだけ起きないように注意しよう!
ってことになりましょう。ちなみに、筋肉痛が起きないようにする方法は簡単で、
- 身の丈に合った負荷で少しずつトレーニング量を増やす
のが基本になります。急に負荷をかけたり運動量を増やすと確実に筋肉がやられますんで、自分の限界を見極めながら少しずつツラさを上げていくしかないんですよね。このへんにつきましては以下のエントリも参考になると思いますね、合わせてどーぞ。