激しくてしつこい「胸の痛み」を60秒で完治させた男が取った行動とは?
痛みが長く続くときはどうすればいいのか?
「痛み」ってのは難しい現象で、脳の勉強をするだけで辛い症状が減ったり、痛み止めを長く使うほど逆に慢性痛が起きたりとか、とにかく一朝一夕には行かないわけです。
ってところで、近ごろ出た論文(1)では「寒中水泳で痛みが完治したぞ!」って報告が出てておもしろかったです。これはケンブリッジ大学のレポートなんですが、ある患者の症例報告になっていて、科学的な証拠としてはかなり弱いことはあらかじめご承知ください。
神経手術の後から胸に激しい痛みが出た男性のケース
とはいえ、ここで取り上げられているケースは実に興味深くて、まずは患者さんのスペックから紹介しますと、
- 28歳のイギリス人男性で、多汗症の手術を受けていた(胸腔鏡下胸部交感神経遮断術)。
- 手術は成功したと思われたが、術後10週間で胸のエリアに激しい痛みを感じるようになった。
みたいな感じ。理由ははっきりしないものの、交感神経の一部をシャットする手術をしたら、そこから慢性的な痛みに襲われるようになったらしい。
その後、男性は鎮痛剤やエクササイズ療法を試したものの、ほとんど効果はなかったそうな。うーん、これは辛い。
11度の水で泳ぎまくったら痛みが完全に消えた
そこで、あまりの痛みに耐えかねた彼は、一か八かで自ら荒療治を発案。思い切り冷たい水に飛び込んで、どうにか痛みを紛らわせないかと考えたらしい。その男性いわく、
寒中水泳で痛みが治るかどうかは地震がなかった。でも、とにかくやるしかないと思ったんだ。何か試さないと絶望的な気分になりそうだったから。
とのこと。意を決めた彼は摂氏11度の水の中へダイブし、およそ1分ほど泳ぎまくったらしい。
最初は「クソッ!冷たすぎて死ぬ!」と思ったよ。(中略)でも、ここ数ヶ月で初めて胸を襲う痛みとその恐怖を忘れることができた。(中略)しかも数秒後には、水泳を本気で楽しむようになってたんだ。多分アドレナリンが出たおかげだね
ってことで、寒中水泳は思ったより良い体験だった模様。そして、何より驚いたことに、それから彼の痛みは完全に消え去ったんだそうな。
これに驚いた医師は過去の文献を漁ってるんですが、「水風呂や水泳をリハビリに使うケースは多いけど、完全に痛みが消えちゃうのは凄いなぁ……」ぐらいの結論。冷水が痛みに効いた可能性はあるものの、たんなるプラシーボかもしれず、真相は闇の中だったりします。
まとめ
ただし医師いわく、
寒中水泳にともなって全身を激しく動かしたせいで、神経のまわりにある組織が刺激を受け、そのおかげで痛みが解決した可能性はある。また、過激な行動によって心理的に「ハイテンション」の状態となり、痛みのせいで起きる活動不足の悪循環が断ち切られたのかもしれない。
とのこと。このケースは例外中の例外ではありますが、意外ともっと活動レベルの高いリハビリが痛みに効く可能性は否定できないところではあります。「服用危険」にも書きましたが、腰痛の場合は逆に体をよく動かしたほうが痛みが減るって事例も多いですしねぇ。「痛みがある時こそ活動的に!」ってのは意外とアリなのかもですな(もちろん人体に明確な損傷がある場合は除いて)。