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音楽は間違いなくメンタルにいい!では、どれぐらい鬱と不安に効くんだろう?という話



音楽がメンタルにいいのは間違いない話で、アメリカ心理学会が認める「本当に効く8つのストレス解消法」のひとつにも選ばれてたりします。好きな音楽を聞けば良い気分になれるのは、飲み込みやすい話ですよね。


ただ、音楽セラピーはまだ研究例が少ない分野ではありまして、果たしてどのレベルまで鬱や不安の症状に効くのか?ってのはまだ未知数だったりします。果たして音楽にはどれぐらいのメンタル改善効果があるのか、という問題っすね。


そんな状況下、フィンランドからわりと質が高いデータ(R)が出まして参考になりました。


これは大うつ病に悩む79人の男女を対象にした研究で、年齢は18〜50歳のあいだ。まずは全体を2つのグループに分けております。

  1. 音楽セラピーグループ:標準治療に20回の音楽セラピーセッションをつける
  2. 標準セラピーグループ:標準治療にカウンセリングをつける

ここでいう標準治療は、サイコセラピーや薬物治療の組み合わせを使ったものを意味しております。いっぽうで音楽セラピーグループが行ったのは、

  • ドラムを叩く
  • 木琴を習う
  • シンセサイザーを弾く

みたいな内容を1セッション60分ずつ行っております。普通に好きな音楽を聞くというよりは、積極的に楽器で遊んでいくタイプのセラピーっすね。


実験期間は6カ月で、まずは大きな結論から言っていきますと、

  • 音楽セラピーグループは鬱の症状が全体の45%改善!(MADRSで-10.5ポイント)
  • 標準セラピーグループは鬱の症状が全体の22%改善!(MADRSで-7ポイント)

って感じ。音楽セラピーがかなりの奏効率をたたき出していて、これは思ったよりも差が出た感じじゃないでしょうか。グラフを見てみると、音楽セラピーグループはとくに3カ月時点での改善率がすごくて、あとは6カ月まで横ばいになってますね。


また、ここでは不安症状の改善率も測ってまして、こんな結果になってます。

  • 音楽セラピーグループは不安が-4.1ポイント改善!(HADS使用)
  • 標準セラピーグループは不安が-2.4ポイント改善!


こちらもなかなかの差が出ましたねぇ。この研究は不安障害をターゲットにした実験じゃないんですが、過去には類似のデータ(R)で似たような成果が報告されてるんで、やはり音楽は落ち着かない気持ちに効くのだろうなーとか思うわけです。


もっとも、この実験は音楽セラピーグループとコントロール群が同じ量の介入を受けてないんで、そこらへんもちょっと弱みではあります。つまり、このデータだけだと、本当に「音楽」がメンタルに効いたのか、たんにセラピー量が多かったからうつ病が改善したのかはよくわからんのですよね。


あと今回の研究は「音楽を聞くだけでも効果があるの?」ってとこはカバーしてないんで、そこらへんも今後の課題でありましょう。おそらくリスニングだけでもそれなりのメリットはありそうですが。


ともあれ、今回の研究は過去の音楽セラピー系データとくらべるとかなり質は高めなので、メンタルがヤバい方は取り入れてみる価値は十分にあると思う次第です。どうぞよしなに。

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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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