今週半ばの小ネタ:感情を読む能力と年齢、悪性の嫉妬が生まれるタイミング、睡眠不足は恋愛を破壊する
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
感情を読む能力は年齢によって変わるのか?
まずはハーバード大学の研究(R)で、「人間の共感力って年齢ごとに変わるの?」って疑問について調べてくれてます。具体的には10歳〜85歳までの男女9,546人を集めて、以下のような調査をしてます。
- みんなに56組の顔写真を見てもらう
- 写真を見て「この顔写真の人はどんな感情だと思いますか?」と尋ねる
- 年齢ごとに感情の読み取り能力に違いがあるかを調べる
というわけで、さまざまな年代の男女に感情の読み取りテストをやってもらったわけですね。
すると、年齢ごとに感情の読み取り能力には大きな違いが出まして、
- 10〜14歳までは怒りや恐怖などのネガティブな感情を読み取る能力が激増する
- 14歳以降は、ネガティブな感情の察知力が30歳まで少しずつ上がっていく
- 30歳以降はネガティブな感情の察知力が少しずつ低下する
- ポジティブな感情を見抜く能力は全年齢を通して変わらなかった
だったそうな。若い頃にはネガティブに敏感で、年をとるとその能力が低下していくんだ、と。過去の研究を見てると、10代ほどネガティブになりやすくて、逆に歳を取るごとに生きるのが楽になっていく傾向が見られるんですけど、これはマイナスな感情を読みとる能力の変化によるのかもですなー。
人間は「未来のイベント」に悪性の嫉妬を抱く
続いてはシカゴ大学の論文(R)で、結論から言っちゃうと「人間の嫉妬心は『まだ起きていないこと』の方が強い」って感じの内容になってます。
どんな実験だったかと言いますと、まずは620人の男女に「あなたの親しい友人の身にうらやましいことが起きたと想像してください」指示。「高級リゾートにバケーションに行った」とか「夢のような仕事に就けた」とか「給料がめちゃくちゃ上がった」といったイベントが友人の身に起きたところをイメージさせたらしい。
で、その際に全体を2つのグループに分けまして、
- いまから1週間後に、友人の身に良いことが起きると想像する
- いまから1週間前に、友人の身に良いことが起きたと想像する
って感じにして、どっちの方が強く嫉妬心を感じるかをチェックしたんだそうな。
そこで何がわかったかと言いますと、
- 他人の未来に良いことが起きると考えがほうが、悪性の嫉妬心が起きるケースが大きかった(「なんであんなヤツが良い目を見るんだ!」みたいな)
- 過去のイベントに嫉妬するときは、良性の嫉妬を抱くケースが多かった(「うらやましいけど俺もがんばらないとな」みたいな)
だったそうです。研究チームいわく、
情報をシェアするタイミングによって、私たちが受ける嫉妬の質は変わってくる。SNSを例にすれば、「いまからリゾートにいきます!」といった投稿をするよりは、「いまリゾートから帰ってきました!」といった投稿のほうが余計な嫉妬を買わずに済むだろう。
とのこと。こりゃあSNSをやる人には意外と役立つ情報かもしれませんな。
睡眠不足は恋愛を破壊する
最後はカリフォルニア大学の論文(R)で、78組のカップルを集めて「2週間にわたって日々の暮らしを細かくノートに記録してくださいねー」と指示。そのうえで、
- 期間中にどれだけ口論があったか?
- どんな食事を食べたか?
- どれぐらい睡眠をとったか?
といったポイントをチェックしたそうな。
でもって、すべてのデータで回帰分析を行なったところ、
- カップルの「口論の多さ」ともっとも相関が高かったのは「睡眠の少なさ」だった!
って結果が出たんだそうな。普段はよく眠っている人でも、たった一晩だけ睡眠時間が短かかっただけでも、翌日に口論が発生しちゃう確率ははね上がるらしい。
それもそのはずで、睡眠が足りないとどうしても共感力が下がったり、ネガティブな感情にとりつかれたりしますからねぇ。パートナーとの関係だけでなく、会社の人間関係なんかにも影響は出るでしょうな。
研究チームいわく「慢性的に睡眠不足の相手と恋愛関係を続けるのは難しい」とのことで、くれぐれもお気をつけください。