次の筋トレのパフォーマンスを下げないためのアルコール摂取量はどれぐらい?という系統的レビューのお話
トレーニングに酒は厳禁!とは過去にも書いたところであります。なんせアルコールはタンパク質合成やホルモンバランスなどを乱しやすいんで、せっかくのエクササイズの効果をダメにしちゃう可能性が高いんですよ。
で、新しく出た論文(R)では、「エクササイズからの疲労回復をジャマしないための酒の飲み方とは?」ってところをガッツリ調べてくれていて参考になりました。
これはパレルモ大学の研究で、運動とアルコールについて調べた過去の研究から、信頼性が高い12件をまとめた系統的レビューになってます。残念ながらメタ分析は一部の分析にしか行われてないんですが、信頼性が高い内容でよろしいのではないでしょうか。
研究の目的を引用すると、
筋トレの後のリカバリー時期にアルコールを飲むと、どのような影響があるのかを理解するため。
のようになってます。おそらく酒は運動に良くないだろうけど、果たしてリカバリーのジャマはしないのか?って問題をチェックしたわけですね。
では、現時点でわかったことを以下にまとめてみます。まずはアルコールの悪影響から。
- 筋トレ後のアルコールはストレスホルモンの量を増やす(=おそらくあんまり好ましくはない)
- ただし、筋トレ後のアルコールでテストステロンが減るかどうかはわからないが、基本的には男性ホルモンには減ると考えた方が無難(もっとも、なかには酒でテストステロンが増えた!ってデータもある)
- 筋トレ後のアルコールは筋肉のタンパク質合成を減らす
ってことで、このあたりは従来の研究でも指摘されてたことなんで驚きはないですね。ストレスホルモンと男性ホルモンのバランスを乱すし、タンパク質の合成量も減らすんだから、こりゃ良くないですわな。
が、意外なことに、以下のような傾向も確認されてたりします。
- 筋トレ後にアルコールを飲んでも、筋力の復活には影響しない!
ということで、いくつかの実験では、トレーニングの後に酒を飲んでから24〜48時間のタイミングで計測したところ、筋力は普通に復活してたそうな。これはちょっと驚き。
では、どれぐらいのアルコールならトレーニングの回復を邪魔しないのかと言いますと、
- 体重1kgあたり0.5gのアルコールなら問題はないと思われる
- 体重1kgあたり1gのアルコールまで行くと、さすがにヤバい
- また、酒がリカバリーに与える悪影響は女性より男性のほうが大きい
みたいな結果になってます。ざっくりした計算になりますけど、1日にグラス2杯までのアルコールであれば、普通にトレーニングからは復帰できそうっすね。逆に1日4杯を超えると、次のエクササイズのパフォーマンスは落ちるとお考えください。
そんなわけで、現時点での話をまとめますと、
- 長期的に筋肉を増やしたいなら、やっぱり酒は飲まないに越したことはない
- ただし体重1kgあたり0.5gのアルコールなら、次のエクササイズのパフォーマンスには影響しない
ってことになりましょう。まぁ酒好きの方だと1回の飲み会で2杯までに抑えるのは結構レベルが高い話でしょうから、やはりトレーニング中は完全に断っちゃうほうが精神的にラクな気もしますが。