人工甘味料「スクラロース」はどこまで体にいいのか?もしくは悪いのか?問題
「人工甘味料ってどうよ?」問題はまだ確定的な結論が出てるわけじゃないものの、いまんとこもっとも信頼性が高いデータでは、
- 大筋において人工甘味料は体に悪いってこともなさそう
- かといって大きなメリットもなさそう
ぐらいの感じになってまして、「まぁ別に使ってもいいんじゃないの?」という気はしております(個人的にはどうもお腹を壊しがちなので使ってませんけど)。いずれにせよ、「人工甘味料は悪!」みたいな物言いは言い過ぎだよなーとか思ってる次第です。
ただ、また最近では「人工甘味料の種類によって人体への影響は違うのかも?」なんて話も出てまして、ちょっと混迷が深まってたりはします。この研究だと、スクロースやサッカリンを飲んだら体重が増えたのに、スクラロースでは体重が減ったというんですな。うーん、複雑。
で、この研究だけ見ると「スクラロースはいいんじゃないの?」とか思っちゃうわけですが、新たなデータ(R)は、今度はスクラロースに不利な結論が出てて「あらー」みたいな感じでした。
これは33人の健康な男女を対象にした実験で、全体を2つのグループに分けております。
- スクラロースを毎日飲む
- 何も飲まない
人工甘味料を飲んだグループは、スクラロースを一日摂取許容量の15%ほど毎日飲み続けて、2週間後の変化をみたんだそうな(だいたい1日43.5mgなんで、わりと現実的な分量)。過去のスクラロース研究とくらべると、かなりデザインが良くてナイスですね。
さて、それでどんな結果が出たかと言いますと、
- スクラロースを飲んだグループはインスリン感受性が悪化!(-17.7% vs -2.8%)
- ついでに、ブドウ糖を摂取したあとのインスリン反応も悪化!
だったそうで、どうもスクラロースを飲んだグループは糖の処理能力が悪くなっちゃったみたい。「人工甘味料って別に糖の処理力には悪影響ないんじゃない?」と言われてきたんですけど、スクラロースについては「もしかたら良くないのかも?」って感じもしてまいりました。
ただし、この論文には「なんでスクラロースで糖の処理力が悪化するの?」ってとこは考察されてないんですけど、2017年のレビュー(R)などをみてますと、過去に3件のRCTで「やっぱスクラロースは耐糖能に悪影響が!」って結論になってて、「どうなんだろうなぁ」ってところです。
ただ、一方では「スクラロース無罪!」みたいな結論を出した12週間のトライアル(R)もあって、現時点ではどう判断していいのかは謎。まぁ現時点では、スクラロースからは距離を置いたほうがいいような気がしますかねぇ。