友人の近くで働くと生産性と給料は落ちる!という観察研究のお話
https://yuchrszk.blogspot.com/2019/10/blog-post.html
「職場の人間関係は大事!」ってのは間違いないところで、同じ会社に友人がいるだけで生産性が爆上がりしたり、健康を崩さずに働けたりすることは、昔から何度も実証されております。いわゆる「ソーシャルサポート」ですな。
なんだけど、「じゃあ職場で友人と近い場所で働いたらどうなるの?」って問題を調べたおもしろ論文(R)が出ておりました。
これはノースイースタン大学の研究で、ベトナムの工場で働く104人の男女を7,570日間にわたって記録し続けたものです。実験前には全員のビッグファイブなどを調べて、「親しい人が隣り合わせで働いたらどうなるか?」ってのを調べたそうな。めずらしい実験ですね。
それでどんな結果が出たかと言いますと、まずはグラフからどーぞ。三角のドットが従業員の平均的な生産性で、赤丸のドットが「友人と並んで働いたとき」の生産性です。
ってことで、「友人の近くで働くと生産性は落ちる!」ってのがパッと見でわかる内容になってますね。これを具体的な数値に換算しますと、
- 友人の近くで働くと生産性は6.7%下がる
- 隣のテーブルで働くレベルなら、友人がいても生産性は落ちない。友人が対面にいても生産性は落ちない
- 友人の隣で働く人は、賃金が平均で4%低い
- が、たいていの人は「賃金が6%までなら下がってもいいから友人の近くで働きたい」と答えた
ってことで、やっぱ隣に友人がいると生産性が落ち、そのせいで平均の給与も下がるという結果です。まぁ隣に友人がいたらしゃべっちゃいますもんね。
ただし、この傾向には性格特性による差が見られまして、
- 誠実性が高い人は隣に友人がいても生産性は落ちづらい(というか、そもそも隣に友人がいる状態に重きを置かない傾向がある)
- 誠実性が標準偏差1つぶん高くなると、隣に友人がいることによる生産性の低下は3%まで抑えられる。一方で誠実性が標準偏差1つぶん低くなると、隣に友人がいることによる生産性の低下は9%まで増える
だったそうです。「誠実性って大事よねー」って話は各方面で何度も言ってますけど、やっぱここでも出てきましたねー。
研究者いわく、
今回の結果が示すのは、友人の近くで働くと仕事のパフォーマンスは下がるが、多くの人はそのコストを気にしないということだ。この結果を考慮すれば、企業は労働者の働く位置をランダム化することにより、全体の生産性を上げられるかもしれない。
とのこと。幸福な仕事生活を送るためには友人は欠かせないものの、とりあえず近くで働くのは考え直した方がいいのかもですねー。