勉強時の座りすぎが学生の健康にダメージを与えてるのに、みんな認識が甘すぎるぞ!というUCLA研究の話
「座りっぱなしは体に悪い!」って話は昔から書いていて、イギリス政府が「たまには立ってねー」みたいなガイドラインを出したりしてるわけです。最近も「座りすぎは寿命が縮む」なんてメタ分析も出てまして、デスクワーカーには恐ろしいデータが多いんですよね。
で、最近発表されたデータ(R)は、「みんな座りすぎの悪影響を甘く見過ぎだぞ!」ってのがテーマになっていて、ちょっとおもしろいです。
これはUCLAなどの研究で、論文タイトルが「Get up, stand up, stand up for your health!」という、ボブ・マーリーリスペクトなものになっております。この研究の目的は大きく2つでして、
- いまの大学生や教員たちは、「座りっぱなし」のダメージについてどれぐらい理解してるの?ってのを調べる
- 長時間の座わりっぱなしを減らすために、どんな手法を使うのがベストなのか?
果たして「座りっぱなし」の害は周知されているのか? そして、現状を解決するにはどうすればいいのか?ってポイントを調べてくれたわけですね。
具体的に行われた調査の内容は、
- 8つのフォーカスグループを使って「座りすぎ」に関するインタビューを行う
- 66人の学生や教員にディスカッションをしてもらい、「座りすぎ」対策などについて自由に話してもらう
みたいになっていて、それで何が分かったのかと言いますと、
ほとんどの学生と教員は、長時間の座位に関連する有害な影響に気づいていなかった。また、大学の授業において体を動かすことについては意外なほど抵抗があり、社会的な受容性、環境上の制約、学業上の要求などがあった。
さらに、多くの人は30分ぐらいジョギングすれば問題ないと考えていたが、過去の研究によれば、それぐらいでは座りすぎの害は解決できない。
って感じです。みんな座りすぎのダメージをしっかり認識してなかったし、たいていの学生は「かといって授業中に体を動かすのは難しいしなぁ‥‥」と思ってたんだ、と。
そんなわけで、以上の結果をもとに、研究チームはいくつかの解決策を提案しておられます。
- 長時間の授業では、少なくとも1時間に1回は立ちあがって足を伸ばす
- 上記のように、イスから立ち上がったり、ストレッチをしたりするための休憩時間を事前に計画しておく
- クラスの活動のなかに、座席を交換したり、立つ必要がある作業を取り入れておく
- イスと机の間にゆとりを持たせ、簡単に移動できるようにしておく
- スタンディングデスクを置くために、教室のレイアウトを変更する。
全体的に見れば、「座りすぎは良くないんだから、勉強中に立ち上がるはマナーが悪いとか言ってる場合じゃないでしょう!」という主張がメインになっております。
さらに研究チームいわく、
いまの教室や勉強部屋は「運動しづらい」という物理的な問題も抱えているが、なにより障壁になっているのは「認知」の問題だ。もっとクラス内での移動の機会を増やしたり、移動のためのスペースを増やしたりなど、現代の勉強における文化を変える必要がある。
とのこと。要するに、みんな「座りすぎ」のダメージを甘くみすぎているから、もっと社会全体で認識を変えたほうがいいよーってことですな。まぁ私は自由業なんで自由に動ける環境で働いてますが、なかなか企業や学校レベルで認識を広げてくのは難しいでしょうなぁ。