マッチョは意外と筋力が低い!は本当か問題
マッチョって意外と筋力がないのでは?みたいな説が昔からあるわけです。もちろん筋肉が多い分だけ力は強いのは間違いないものの、そのデカさに見合うだけの筋力がないんじゃない?という考え方ですね。
なんでこういう考え方が出てきたかはよくわからんですが、たぶんビルダーさんはあえて軽いウェイトで筋トレをすることも多いので、そこらへんが俗説の誕生につながったんかなーとか愚考しております。
ってことで、「実際のところマッチョは本当に筋力あるの?」ってのを調べてくれたデータ(R)が出ておりました。
ざっとデザインをまとめとくと、
- 6人のボディビルダーと6人の筋トレをほぼしたことない人を比較
- みんなの太ももの断面積(CSA)を超音波で測定
- 太ももの最大筋力も測定して比較
- ついでに筋生検もして、筋肉の質などもチェック
- すべてのデータを比べる
みたいになってます。すごーく雑に言えば、筋肉の太さと筋力を調べて、「筋肉の大きさと筋力はちゃんと比例するのか?」を調べたわけっすね。ちなみに、ビルダーさんは少なくとも5年のトレーニング経験がある人に限っていて、週5日で1セッションあたり90〜100分のトレーニングをしてた人を集めたんだそうな。
で、結論を申し上げますと、
- ボディビルダーは全体の筋肉サイズに対してちゃんと筋力が強かった(太ももの断面積は筋トレしない人より大腿四頭筋が32%大きく、筋力は大腿四頭筋が57.9%大きかった)
- ボディビルダーは筋繊維の固有筋力が低いって結果も出てるけど、補正するとグループ間の差は消えた
- ミオシン重鎖(筋力に関わるタンパク質)の量はボディビルダーと対照群で類似していたが、筋核の量はボディビルダーが多かった
みたいになってます。ということで、以上の結論をざっとまとめると、こんな感じ。
- ボディビルダーの筋肉は普通に強い
- 筋繊維が大きくなると それに比例して力を生み出す能力も大きくなる
ってことでして、普通にトレーニングを行なっていれば、筋肉が増えるごとにジムのパフォーマンスも上がるだろうっていう、ごく当たり前の結論ですね。もちろん、サンプルサイズはめちゃくちゃ小さいし、横断研究でしかないのでさらに長期的にはどんなもんかわからんわけですけど、まぁ現時点ではこんな感じで。
では、なんで「マッチョの筋肉弱い説」が出がちなのか?ってことですが、やはりこれは最初に書いたのと同じ流れで、
- ビルダーさんは小から中程度の負荷でトレーニングをすることが多い(筋肉を肥大させるには、そんな高負荷じゃなくていいので)
- 小から中程度の負荷でトレーニングをすると、神経系が慣れないのでそんな重いものは挙げられなくなる(あくまで慣れの問題で筋肉の能力とは別)
- ビルダーは弱い!と思われやすくなる
みたいな流れがあるのかもしんないっすね。あくまで慣れの問題で、はた目からは弱そうに見えてしまうという。
さらに別の話としては、
- 重い負荷を扱うのが得意な人は、どんどん重いものに慣れていく
- 小から中程度の負荷でたくさん筋トレするのが得意な人は、どんどんそっちのトレーニングをするようになる
- 前者はパワーリフターを目指し、後者はビルダーを目指すようになる
- ビルダーは弱い!と思われやすくなる
ってのもあるかも。セレクションバイアスみたいな考え方っすね。
いずれにせよ、筋肉がデカければ普通に機能も良いよーという実に平凡な結論でした。どうぞよしなに。