「食べてないのに太る!」人は、実際にどれぐらい食事をしてるのだろうか?問題
痩せない原因って「たんに思ったより食べてるからでは?」みたいな話はよく聞くところ。「全然食べてないはずなのに!」と思ってたら、実際には普通にカロリーを取ってたってケースですね。
もちろん、代謝が落ちたりとか、運動量が減ったりとか、痩せない理由は他にもあるでしょうが、現実的には「思ったより食べてる」ってパターンは意外と多いんじゃないかと思うわけです。
で、わりと最近の研究(R)は、「ダイエット中にみんなどれぐらい食べてるのかを、低糖質ダイエットと低脂肪ダイエットでチェックしたよ!」という内容になってておもしろいです。
これはDIETFIITSってテストのデータを使った二次分析で、「太りぎみな成人が低脂肪ダイエットと低糖質ダイエットのいずれかをやったら、どっちが痩せるか?」ってのを1年かけて検証したものです。今回の分析では、低糖質ダイエット=209人、低脂肪ダイエット=205人のデータを使い、
- みんなに定期的に「どれだけ食事してます?」と聞いて、参加者の主観的な摂取カロリー比較
- "数学モデル"を使って実際の摂取カロリー量を計算
- 2つのデータを比べてみる
といった手順で調査を行なってます。「数学モデルで実際の摂取カロリーなんてわかるの?」と思われそうですが、これは体重の変化や活動量といった数字から摂取カロリーを計算する方法で、いちおう過去に行われた2年間のカロリー制限研究で妥当性が確認されております。本当は二重標識水法とか使ったら最高なんですけど、大変ですからねぇ…‥。
また、この研究で使われたダイエット法のやり方をざっくりまとめると、
- カロリー制限は特に指示しない
- 最初の8週間は、脂肪または糖質を1日20グラムに減らし、それから1週間に1日5~15グラムずつ増量。参加者が「このレベルなら我慢できる!」と思う最低ラインに達するまで増やす
みたいになってます。わりとゆるめのダイエットですね。
でもって、まずは計算で出した「実際のカロリー摂取量」を見てみると、
- 平均で最初の3ヶ月はみんながんばっていて、-804kcal ± 27の変化があった
- ところが次の 3 ヶ月間では、1日あたりの摂取カロリーは-279kcal ± 20にとどまり、あとは12ヶ月目まで少しずつ摂取カロリーが大きくなった(6〜12ヶ月の段階では、平均で低糖質グループ-56kcal、低脂肪グループが-75kcal)
ということで、だいたいみんな最初のころは食事量が少ないんだけど、だいたい120日めぐらいからだらけ始めたみたい。これぐらいで気を抜いてしまうのはわかるなぁ。
これに対して、みんなはどれぐらい食べたと思っていたかと言いますと、
- 最初の3ヶ月は、みんなわりと実際の数値に近いレベルの食事量を申告した
- ただし、それからどんどん食事量を過小評価するようになり、12ヶ月後には実際の食事量と500kcal近い誤差が出た
だったそうです。1年後には、みんなダイエット前とほぼ同じ量を食べてたにも関わらず、多くが「自分はあまり食べてない!」と報告したんだそうな。500kcalの差ってのはずいぶんデカいですね。
ちなみに、この研究では低糖質ダイエットと低脂肪ダイエットの効果も比べてまして、こちらでは、
- 最初の3〜6ヶ月は低糖質ダイエットの方が体重が減る
- ただし、12ヶ月になると両グループの体重の減り方は同じぐらいになる
って感じでして、「どんなダイエットも1年続ければ同じ」という、だいたいこれまでと似た結論ですね。
まー、この研究で使われた数学モデルは、肥満でない人を対象に検証が行わられたものなんで、今回のケースでは「そこそこ誤差が出るかも?」って気もしております。その点で限界はあるんですけど、もし「食べてないのに痩せないなー」と思う場面があったら、「実際には結構食べてるのかも?」と自分を疑ってみるのは悪くないかもしれません。