結局、オメガ3サプリで血管はサラサラらになるのか?問題についてのメタ分析の話(結論モヤモヤバージョン)
魚を食べると血管がサラサラに!みたいな話はよく聞くところで、実際に、魚にふくまれるオメガ3脂肪酸をよく取る人は心臓とか血管系の病気になりにくいなんて説(R)もあるわけです。
とはいえ、同じ成分でもバラバラな結果が出ちゃうのは科学研究の常で、「オメガ3は良い!」って話もあれば「無駄!」って報告もあるわけです(R)。その点で「オメガ3サプリを飲む意味はありやなしや」問題は判断が難しいんですけど、新たにガッツリ調べたメタ分析(R)が出てたんで、内容をチェックしとくと何かと役立つのではないかと。
このメタ分析は「オメガ3は心臓とか血管の病気に良いのか?もし良いならどれぐらいなのか?」を調べたもので、
- 1日あたり最低1gのオメガ3サプリを1年飲み続けている
- 全死亡、心臓死、心筋梗塞などへの効果を報告している
って基準を満たす過去研究だけを選び、最終的には16件のRCTから平均年齢49~74歳の合計81,073人のデータを精査した内容になっております。各研究の参加者数は 206~18,645 人で、研究期間は1~7年の範囲。なかには日本人の参加者もふくまれているのが良い感じです。
また、オメガ3をどのように使ったかと言いますと、
- 1日の使用量は1~6gの範囲
- 3つの研究ではEPAだけを投与し、13の研究ではEPAとDHAを投与
- プラセボには、オリーブ油、ヒマワリ油、水酸化アルミニウム、鉱物油などを使用
みたいになってます。Jadadスコアは8~13点の範囲に散らばってまして、全体的な研究デザインの質は高いほうだと言えますね。
では、以下に結果です。
- オメガ3を飲んでも全死亡率と脳卒中リスクには影響がないっぽい
- 一方で、オメガ3は心臓病の死亡率、心血管の異常、心筋梗塞などのリスクは下げてくれるっぽい
ということで、一部に例外はありつつも、それなりに良い成果が出てますね。ここでは結果がオッズ比で報告されてるんで解釈がムズいんですけど、まぁ普通に相対リスクも下がってるとみていいんじゃないかと思うわけです。
さらにその他の知見としましては、
- 心臓死、心筋梗塞、脳血管障害などについては、1日1g以上のオメガ3でメリットが観察された
- EPA + DHA よりも、EPAのみのほうが有効性が確認された
といったあたりもポイントになりましょう。全体的には心臓系の病気リスクが高い人ほどオメガ3でメリットを得られていて、たとえば中性脂肪やLDLコレステロールの数値が高かったり、すでにスタチン治療を受けているような人には、オメガ3の保護効果が出やすそうっすね。
ただ、この結果だけを持って「血管系が不安ならオメガ3を!」とは言いづらい点もありまして、2020年に出た別の系統的レビュー(R)では、
- 1日2g未満のオメガ3は心疾患に影響がなさげ!
- 1日2〜4gのオメガ3は証拠がまだ弱いし、高用量オメガ3のメリットはよくわからん!
って結論なんすよ。難しいすねぇ。
なんでこんなボンヤリした話になってるかと言いますと、多くの研究が参加者の食事パターンを調べてないので、食事で食べた魚とかアマニ油などの量を調整できないんですよね。その点で、FDAなんかも現時点では「オメガ3で心臓病のリスクは下がるかもだけど、決定的な研究はないよねー」と言ってまして、しばらくこの状態は続きそうであります。
ってことで、あとは個人的な見解もふくめてまとめると、
- オメガ3は、心臓病などのリスクが高い人には良さそう……な気がする。心臓病リスクが低い人が飲んで意味があるかは謎
- また、メリットを得られるオメガ3の投与量や種類もよくわからん
ということで、私としては「そんなに急いでサプリを飲まんでもいいんでは?」ぐらいの印象っすね。前も書いたとおりフィッシュオイル系サプリは副作用も報じられてるんで。