今週末の小ネタ:IQが下がる金属、子供のIQとビタミン、うつリスクを減らす当たり前すぎる4要因
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
鉛でIQが下がっちゃう?問題
重金属が体に悪いのは周知の事実ですけど、新たに「鉛でIQが下がるんでは?」みたいな話(R)が出ててビビりました。子供のころに鉛を取り込んじゃった人は、中年になってから脳が小さくなってるかもしれないんだそうな。
これは1972年と1973年にニュージーランドで生まれた1,000人以上の人々を中年期まで追跡した調査で、
- 幼年期にどれぐらい鉛への曝露があったか?
- 中年になって脳のサイズにどんな違いが出たか?
などのポイントを調べて相関を見たそうな。昔って鉛筆に鉛が使われてたり、有鉛ガソリンが使われてたりで、いまより格段に鉛の曝露量が多かったですもんね。
で、結果はこんな感じです。
- 子供のころに1デシリットル当たり5mcgの鉛に曝露するごとに、大人になってからのIQが2ポイント低い傾向があった
- また、鉛は脳の皮質表面を1平方センチメートル、海馬の体積を0.1立方センチメートル減少させる傾向もあった
とのこと。周知のとおり海馬は学習と記憶に不可欠ですし、皮質表面積は認知機能と強い相関がありますんで、IQの低下が観察されてもおかしくはないかなーといったところです。
研究チームいわく、
鉛への暴露から数十年後に、脳の全体的な構造に違いが出ることがわかった。どうやら子供のころ曝露した鉛の影響は、大人になってから完全に回復するのは難しく、時間がたつごとに大きな問題になるのかもしれない。
とのことで、うーん怖い。幸いにも現代では鉛に接触するケースはだいぶ減りましたけど、やっぱ重金属からは身を遠ざけておいたほうがいいでしょうな。
妊婦さんのビタミンDが子供のIQを左右する?
何度も何度もすみませんが、またもビタミンDのお話(R)です。今回の結論をひとことで言うと、
- 妊娠中の母親のビタミンDのレベルが高いほど、子供のIQが高くなるかも?
みたいな感じです。ビタミンDが脳機能の働きに欠かせないのは有名ですけど、妊婦さんの血中濃度が子供にも影響するんじゃなかろうか?と。
この研究は1,500人以上の女性とその子供を5年間にわたって追跡したもので、妊娠中のビタミンDレベルと、それから生まれた子供のIQをチェックしたら、
- 母親が妊娠中にビタミンDの摂取量が多かった場合、4~6歳の時点で子供のIQが高くなっていた
だったそうな。チームいわく、
出生前のビタミンDレベルが子供の神経認知発達に長期的な影響をおよぼす可能性がある。今回の研究がビタミンDの問題への認識を高め、医療提供者がより注意を払ことを期待している。
ビタミンDレベルの広範なテストは一般に推奨されていないが、医療提供者は、黒人女性のようにビタミンD欠乏のリスクの高い人に注意を払うべきだと考える。
とのこと。まーこのデータだけだと。妊婦のビタミンDレベルと子供の脳発育に因果があるかはよくわからないとこもありますけど、ビタミンD不足がよくないのは確実ですんで、必要量の日光を浴びる習慣は実践しといて損はないでしょうね。
うつのリスクを減らすには?を調べたら、とても平凡なポイントが4つ見つかった話
「うつ病のリスクを減らす4つの重要なポイントはこれだ!」みたいな話(R)が出ておりました。これは英国バイオバンク調査のデータを使ってまして、約85,000人を10年以上にわたって追いかけまして、
- 身体機能の移り変わり
- メンタルの変化
- 遺伝子の関係性
などを定期的に調べて、それぞれの関係性をチェックしたんだそうな。そこでどんなことが分かったかと言いますと、
- テレビ、スマホ、PCなどのスクリーンとの接触時間が少ない人ほどうつリスクが低い
- 1日7~9時間の睡眠を取れている人ほどうつリスクが低い
- 定期的に運動をしている人ほどうつリスクが低い
- 野菜やフルーツが多い健康的な食事をしてる人ほどうつリスクが低い
という結果だったそうで、めちゃくちゃ普通の結論があらためて確認されてますね。「いまさら分かってるよ!」という気もしますけど、科学は「すでに分かってることを何度も分かりなおす」試みでもありますんで、こういうデータが何度も出てくるのが大事なんすよねー。
まぁ睡眠・食事・運動にくわえて「スクリーンタイムの削減」がうつリスクの低下と相関してるって話はやや目新しいので、特にお若い方はお気をつけください。