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今週半ばの小ネタ:アルコール・コーヒー・お茶が脳を守る?睡眠不足とテストの成績、和食とコレステロール

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 

 

アルコール、コーヒー、お茶はどこまで脳に良いのか悪いのか?

アルコール、コーヒー、お茶の3つは、これまで「脳の働きに影響が大きいのでは?」と言われ続け、いろんな結果が報告されてきた飲み物の代表格。では、具体的にどれぐらい脳機能への影響があるの?ってことで、華中科技大学のチームがメタ分析(R)をしてくれてました。

 

 

このメタ分析では、アメリカ、日本、中国、およびヨーロッパの一部で実施された29件の前向き観察研究を分析。アルコール、コーヒー、お茶を飲むことで、軽度認知障害(MCI)、アルツハイマー(AD)、その他のあらゆる種類の認知症にどんな影響があるかを確かめたんだそうな。

 

 

サンプルサイズは全体に大きめで、アルコールが131,777人、コーヒーが33,843人、お茶が20,411人だったとのこと。あくまで観察研究のメタ分析ですけど、それなりに信用できる結果になってるんじゃないでしょうか。

 

 

で、結果です。

 

  • アルコールを飲まない人と比較して、低濃度のアルコール(1日11g未満)を摂取する人は、認知機能障害や認知症のリスクを低減する可能性がある

 

  • アルコールの摂取量が11g/日以上の場合には、脳機能の改善効果は見られなかった

 

  • コーヒーの場合は、1日2.8杯以下であれば認知機能障害のリスクを低下させ、1日2.3杯以下であれば認知症のリスクを低下させる可能性がある

 

  • 緑茶の場合は、1日1杯の摂取で認知機能低下のリスクが6%減少した

 

ということで、あくまで少量であればアルコールも脳機能改善に効くんだ、と。「1日11g未満」ってことは、だいたいビール250mlとかワイングラス1杯とかそんなもんすね。

 

 

他方でコーヒーと緑茶については、どこまで飲み過ぎると良くないのかは謎ながら、どちらにも脳のプロテクト作用があると考えて良さそうっすね。個人的には「緑茶が安全で良さそうだな〜」とか思うわけですが。

 

 

 

テスト前日の睡眠不足は、どれぐらい成績に影響するのか?問題

睡眠が足りないと頭が悪くなっちゃう!ってのは誰もが知る事実ですが、新たな研究(R)では、

 

  • 良く寝てない大学生は、どれぐらいテストの成績が下がるのか?

 

って問題を調べてくれてておもしろかったです。

 

 

これがウルグアイの大学生を対象にした調査で、

 

  • グループ1:午前9時に試験を受けた97人の学生に、試験前夜の睡眠時間といつもの睡眠時間を尋ねる

  • グループ2:午前8時、午前9時45分、午前11時30分、午後1時15分という4つの異なるタイミングで試験を受けた250人の学生に、試験前夜の睡眠時間といつもの睡眠時間を尋ねる

 

って手順で、試験前の睡眠時間とテストの点数の関係性を調べたんだそうな。それでどんな傾向が見られたかと言いますと、

 

  • グループ1の学生は、テスト前日に平均で2.1時間ほど睡眠時間が短くなっていた
  • グループ2の学生は、午前8時、午前9時45分、午前11時30分、午後1時15分のタイミングで、それぞれ3.6時間、3時間、2.3時間、1.7時間ほど睡眠時間が短くなっていた
  • 両グループとも、テスト前日の睡眠時間が1時間のびるごとに、正答率が3.8%ずつ高くなった(オッズ比)
  • 試験前日および当日にいくら勉強しても、試験のスコアには改善が見られなかった

 

って感じだったそうな。やはり試験前の睡眠はそこそこテスト成績に関わるし、前日の詰め込み勉強にはなんら意味がないんだって結論っすね。まぁ誰もが気づいてたことではありますが、あらためて重要なイベントの前日はよく寝ましょうねってことで。

 

 

和食、悪玉コレステロール改善に効くかも……という実験

以前に「やっぱ和食って優秀だよなー」みたいな話がありましたが、今回もまた和食の効果を確かめた話(R)が出ておりました。

 

 

これは日本女子大学などによるRCTで、脂質の数値が悪い(LDL-C140mg/dL以上および/または中性脂肪150mg/dL以上)健康な日本人成人98名(30~65歳)が対象で、

 

  1. 日本式の食事を徹底する
  2. 部分的に日本式の食事を採用する

 

って2パターンの食事を3カ月間にわたって続けたそうな。食事計画は参加者ごとに個別に設定されていて、

 

  • 両グループとも、動物性の脂肪、お菓子、アルコールの摂取をひかえるように指示された

  • 特に「日本式の食事を徹底」したグループには、魚、大豆製品(納豆など)、野菜、海藻、きのこ、コンニャクをより多く摂取するように指示し、さらに精白された穀物を未精白の穀物や大麦に置き換えるようにした。

 

って感じで、和食に特有の食材を増やすように指導したんだそうな。

 

 

でもって、6ヵ月後にみんなの血液を調べたところ、

 

  • LDLコレステロールは、「日本式の食事を徹底」したグループの方が、「部分的に日本式の食事を採用」したグループに比べて、より大きく改善した(123mg/dL→115mg/dL)

 

  • 総コレステロール(-10mg/dL)、中性脂肪(-10mg/dL)、空腹時インスリン(-1.2mg/dL)の改善効果も「部分的に日本式の食事を採用」したグループより大きかった

 

だったそうな、全体邸には日本食に良い結果が出てるわけですが、個人的には「あれ?思ったよりも大したことなくないか?」って印象っすね。改善の数値が小さすぎて、これだとあんま意味ないかなーって感じなんで。

 

 

まぁそうはいっても、19年間に及ぶ追跡研究だとかなり良い成績が出てるので、チリも積もればって話なのかもしれません。数ヶ月の食事改善だとそこまで意味がないのかもってとこすね(またはカロリー摂取量に気を配る方がいいのかも?)。

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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