今週半ばの小ネタ:フィクションの効能、寒い場所の運動で脂肪燃えまくり、冷笑系って頭いいの?
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
フィクションを読む人ほど言語能力が上がるかもよーみたいな話
ビジネスの世界ではノンフィクションのほうが喜ばれがちですが、近ごろは「フィクションのメリットもすごいんだぞ!」みたいなデータが増えております。たとえば、
みたいな感じでして、おもに共感力への影響が大きい感じですかね。
でもって、新しい研究(R)では、
- フィクションを読む人ほど言語能力が高い!
って結論になってて、小説好きにはうれしい感じでした。どんな研究かと言いますと、
- ヨーク大学の学生200人を集める
- PoLRって尺度を使って、みんなの読書習慣を記録
- 同時に言語能力のテストも行う
みたいになってます。そこでどんな傾向が見られたかといますと、
- ノンフィクションよりもフィクションを読む人ほど、好奇心や言語能力が優れていた(文学だけでなく一般的なエンタメ小説もふくむ)
って感じだったんだそうな。研究チームいわく、
同じ小説を何度も読みたいと思ったり、登場人物や作者とのつながりを感じたりといったことは、すべて認知に良い作用をもたらす。
とのこと。過去の研究では、小説を読むと「オープンマインドのまま情報を処理する」って脳力が鍛えられることがわかっていて、これが有効な脳トレとして機能するんだそうな。これは意思決定に欠かせないスキルなんで、改善しとくと良いことだらけなんすよね。
ってことで、ノンフィクションほどの即効性はないものの、小説は脳機能のベースアップに役立つトレーニングとしてよろしいのではないでしょうか。何より楽しいし。
寒いとこで運動すると体脂肪の燃焼が358%もアップ?
どこまでダイエットに役立つかはさておき、体を冷やすと脂肪が燃えやすくなるのは間違いないところ。でもって、さらに新しいデータ(R)では、
- 寒い環境で運動すると体脂肪の燃焼が358%もアップするぞ!
って報告が出ておりました。これは健康な男女11人を対象にした小規模なテストで、
- 21度の室温で運動
- 0度の室温で運動
という2つの条件で運動をしてもらったそうな。ここでどんなエクササイズが指示されたかと言いますと、
- 全力の90%ぐらいでエアロバイクを60秒間こぎまくる
- 全力の30%ぐらいでエアロバイクを90秒間こぐ
ってサイクルを10回くり返したんだそうな。HIITの変形バージョンみたいな感じですな。
でもって、その結果がどうだったかと言いますと、
- 0度の室温で運動したときのほうが、平均で脂質の酸化スピード(脂肪の燃え方)が最大113%早く、トータルの脂質酸化量(脂肪が燃えた量)も358%多かった
- 糖質の燃え方には室温による差がなかった
だったそうでなかなかすごい違いが出てますね。めちゃくちゃ小規模な実験だし、寒い状況でずっと運動を続けたら体が慣れちゃう可能性もありますが、こんだけの違いが出ると寒冷トレーニングとかしたくなりますな(0度の環境ってなかなかないでしょうが)。
冷笑的な人は頭がよく見えるけど、本当に頭が良いのか?問題
「冷笑的な人は頭がいいのか?」って問題を調べた研究(R)が出ておりました。世の中の事件に皮肉に満ちたコメントをしたり、道徳的なことを言う人にあざわらうような態度を取ったりと、ネットでよく見かけるパターンですな。
一般に冷笑的な人は頭が良いかのように見えやすく、そのおかげで多くのフォロワーを集めたりするんですが、果たしてこの印象は正しいのか?ってことで、研究チームはこんな調査をしております。
- 200人の被験者に「冷笑的な人」と「冷笑的でない人」を描いたストーリーを読んでもらう
- 被験者にも「冷笑的なキャラは頭が良いと思うか?」を尋ねる
すると、結果は事前の予想どおりで、ほとんどの人は「冷笑的な人ほどパフォーマンスが高いと思う」と答えたらしい。やはり冷笑的な人ほど頭が良いように思われやすいみたいっすね。
さらに、チームは世界30カ国で約20万人を対象にした調査データを分析、それぞれの「冷笑レベル」と「認知機能」を比較したところ、
- どの国でも、冷笑主義者ほど認知能力と学校の成績が悪い
って結果だったそうで、どうやらつねに冷笑的な人ほど実際には能力が低いものらしい。まぁ現実の世界では、冷笑的な態度が正しい場面と間違った場面が必ずあるわけで、認知機能が高ければそのあたりを区別して行動するでしょうからねぇ。逆に「”つねに”冷笑的な態度」には高い認知機能がいらないので、世界的に似たような結果が出るのも納得しやすいかなぁ、と。