定期的にカロリー制限を休む「ダイエット・ブレイク」にはどれぐらいの威力があるのか?問題
体重を減らすにはカロリー制限するしかないんだけど、その過程で起きる問題として、
- 空腹感や無気力感を感じやすい
- 筋肉量が減るリスクも高まる
- 安静時と運動時の両方で代謝が低下する
といった事態が起きてしまうのはどうしても避けられないところ。活動のエネルギーが少なくなったら、成果が出にくくなるのは当然ですからね。
で、そこでよく使われるのが「ダイエット・ブレイク」の考え方です。定期的にカロリー摂取量を通常レベルにもどす方法で、俗に「間欠的ダイエット」などと呼ばれる考え方ですね。
もっとも、ダイエット・ブレイクに関する研究は意外と少なくて、「意味はあるだろうけど、実際にどれだけの言っ力があるのか?」ってとこについてはもうちょい研究が必要な状況だったりします。そこで、西オーストラリア大学のチームが新たにダイエット・ブレイクの調査(R)をしてくれまして、非常に参考になりました。
まず、ざっと研究デザインをまとめとくと、こんな感じ。
- 健康な成人61名(女性32名、男性29名)を集める
- みんなの維持カロリー(同じ体重を保つのに必要なカロリー)を調べる
- 全体を2グループに分け、「ずっと同じ量のカロリー制限を12週間行う」と「ダイエット・ブレイクを15週間行う」のいずれかに割り付ける
- 試験期間が終わったら、両グループの体型の違いをチェックする
ここでいう「ダイエット・ブレイク」がどんなパターンだったかと言いますと、
- 3週間のカロリー制限を行う
- 次の1週間は普通に食べる
ってサイクルを4回くりかえしたんだそうな。全部あわせて15週間のダイエットになりますが、実際にカロリー制限を行なっている期間は両グループと同じっすね。
さらに、全員がどのようにカロリーを減らしたのかと言いますと、
- 1週間ごとに0.7%ずつ体重が減るレベルのカロリー制限を行う(だいたう1日あたり約850kcalのカロリー制限)
- 1日に体重1kgあたり2.3gのタンパク質を摂取し、総カロリー摂取量の20%を脂肪に割り当てるように指示
って感じだったそうな。だいたい1週間ごとに400〜500gぐらい減らすイメージでして、健康的な減量スピードでいいんじゃないでしょうか。
でもって、最終的にどんな違いが出たのかと言いますと、
- 体脂肪量の変化はグループ間で有意な差はなかった(体重の減少はダイエット・ブレイクグループの方が多かった)
- 安静時エネルギー消費量の変化もグループ間で有意な差はなかった(約215kcal/日)
- レプチンの分泌量にもグループ間で有意な差はなかった
- ただし、ダイエット・ブレイクグループは、カロリー制限中の空腹感・食欲が低く、全体的に満足度が高かったと報告した
だったそうです。要するに、ダイエット・ブレイクを行なっても目立って痩せやすい体になるわけじゃないものの、メンタル的にはとても楽なんだってことっすね。
「なんだよ!体の反応は変わらないのかよ!」と思うかもしれないですけど、まぁメンタルが楽になるだけでもかなりありがたいことじゃないでしょうか。カロリー制限をしたことがある人ならおわかりのとおり、慢性的に食事の量を減らすのって本当にシンドイですからねぇ。
なんといってもダイエットってのは常に長期戦ですから、心理的に楽であるに越したことはないんですよ。今回の研究は15週間だったんで、さらに長期になれば「メンタル的に楽」なほうを選ぶ方が正しかろうと思うわけです。
ってことで、ダイエットブレイクについては、そこまで大きな期待をせずに「長期戦を楽にするための手段」ぐらいに使うのが良いかもしんないですねー。