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今週末の小ネタ:集中テクのベストとは? 運動の睡眠改善には気づけない? 世界でアレルギーが増えてる理由

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ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 

目の前の作業に集中する方法は何がベストなの?

目の前の作業に集中するには何がベストなの?って問題を調べたデータ(R)がおもしろかったのでメモ。これはオレゴン大学の研究で、「目の前の作業から気がそれて別のことを考えちゃう問題」を解決するにはどうすればいいのかをチェックしたものです。

 

 

具体的に、どんな手法の効果を調べたかと言うと、以下の3つです。

 

  1. 目標を決める:「テストで80点以上を取るぞ!」みたいなやつ

  2. フィードバックをもらう:「良いペースでテストに答えられてます!」「予定よりも遅れています!」みたいなやつ

  3. ごほうびをもらう:「テストで3位以上に入ったら賞金をあげます!」「テストで3位以上に入ったら早く帰れます!」みたいなやつ

 

この研究では3つの実験を行なっていて、詳細はぶっとばしますが、簡単に言えば総勢362人の学生に注意力が必要なテストを指示した上で、3つの手法の効果を比べたんだそうな。

 

 

で、その結果をざっくりまとめますと、

 

  • 「ごほうびをあげるよ!」と言っても学生の集中力は上がらなかった。なかでも集中力が低かったのは「お金をあげるよ!」と言われた場合だった(「早く帰れるよ!」の方がまだましな結果だった)

 

  • 目標を決めただけでは集中力は上がらなかった

 

  • フィードバックをもらった場合は、テストへの集中が高まり、最終的な成績もアップした

 

みたいになります。せんじつめれば「フィードバック最強!」って結論でして、目標を決めてもたいして意味はないってのがちょっと意外かもしれないっすね。

 

 

これは個人的な実感ともよくフィットする結果で、私も「この時間内に1000文字を書く」とか決めておいて、十数分おきに進行度をチェックする方法が最もパフォーマンスが上がりますからねぇ。

 

 

つきましては皆さまも、「いま自分はどれぐらいのペースでタスクを進められているか?」を把握できる仕組みを作ったうえで、勉強や仕事に取り組んでいただくと良いかもしれません。

 

 

 

日中に1時間の運動をすると、本人は「何も変わらんなぁ」と思っても体は十分な休憩を取っている件

運動をするとよく眠れる!みたいな話は周知でしょうが、新たなデータ(R)では「本人が気づいてなくとも運動は睡眠の質を上げる!」って話になっててためになりました。

 

 

これは筑波大学の研究で、普段あまり運動をしていない男女を集めて、

 

  1. 日中に60分間の有酸素運動(VO2 Maxの60%)を1回だけやってもらう

  2. その日の夜の睡眠の質がどう変わったかを脳波計で計測する

 

みたいになってます。運動で睡眠が改善するとは言われるけども、果たして脳波のような客観的な指標にも改善が見られるのか?ってとこがポイントなわけっすね。VO2 Maxの60%ぐらいの運動だから、そこそこ激しいエクササイズですね。

 

 

ちなみに、ここで計測されたのは従来の脳波じゃなくて、CVEと呼ばれる新しい睡眠ポリグラフ技術を使って、さまざまな睡眠サイクルにおける脳の徐波振動を測定してます。詳しいとこは省きますが、睡眠の深さを定量化する新しい方法だとお考えください。

 

 

で、結果についてチームはこう言っておられます。

 

(1時間の有酸素運動を行なった参加者は)徐波睡眠のデルタパワーが有意に増加するとともに、初期の睡眠相における徐波睡眠の安定性が増加した。

 

って、なんのこっちゃわかりませんが、要するに「そこそこキツめの運動をした人は、その夜に深い睡眠の質が上がった」ということです。体を徹底的に休ませるタイプの睡眠の質が改善したわけですね。

 

 

ただし、ここには興味深いポイントもありまして、

 

運動は客観的な睡眠の質を向上させることがわかったが、被験者は睡眠の質に変化がないと報告していた。

 

とのこと。どうやらみんなキツめの運動をしたせいで「別によく眠れてない」と判断したものの、実際には肉体はいつもより休息を取れてたんだ、と。こうして考えると、もし運動した晩に「別に睡眠は変わらんなぁ……」と思っても、めげずに運動を続けるべきなんでしょうなぁ。

 

 

 

世界中でアレルギーが増えてるのって気候が変動してるせいでは?説

アレルギーの人が増えてるのって気候が変動してるからでは?みたいな話(R)が出ておりました。これはユタ大学の調査でして、研究チームが、過去30年間の花粉の傾向を気候モデルと組み合わせて分析したところ、

 

  • 気候の温暖化とアレルギーには大きな関係がある!
  • 1990年と比べると、現代の北アメリカでは花粉シーズンが20日早く始まり、その割に花粉が飛ぶ期間は10日長くなり、21%も多くの花粉が飛散するようになった

 

って結果だったそうな。温暖化のせいで花粉が飛ぶ期間に狂いが出たんじゃないか?みたいな話ですね。チームはこの問題を割と信仰に考えていて、

 

(アレルギーは呼吸器系の健康に影響するので)ウイルス感染症や子供の学業成績にまで影響する。

 

とか指摘しておられます。私も生まれつきのアレルギー持ちなんで、学校の成績に影響するってのはよくわかりますねぇ……。

 

 

世界中でアレルギーが増えてるのは、気候変動と大気汚染のせいでは?みたいな話は昔からあって、例えば、ロンドン大学の先生なんかも、

 

気候変動は常に環境問題として捉えられてきたが、近年では多くの研究者たちが健康問題として考え始めている。この考え方を理解するのは難しいが、人々が注目し始めることを期待している。

 

と言ってたりします(R)。ちなみに日本の場合は、シンプルに「杉の量が増えたせいで花粉症が激増した」って背景もあるんで、たんに気候変動のせいとも言い切れないわけですが、いずれにせよ自衛するしかないすなぁ……。

 

 

 

 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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