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今週半ばの小ネタ:マインドフルネスでやる気アップだ!“反肥満バイアス”に注意だ! 感謝の気持ちはテキストで送ってもOKだ!


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。 

 

 

 

マインドフルネス瞑想でモチベーションアップだ!という研究

このブログでは、2015年ごろからマインドフルネス瞑想のメリットを推奨しております。まだ追試は必要な状況ではあるものの、マインドフルネスには複数のメリットが認められてまして、ぜひ続けておきたいと思うわけです(もちろん私も続けてます)。

 

 

ただし、マインドフルネスには批判も指摘されてまして、

 

  • マインドフルネスのトレーニングをしたらモチベーションが下がるんじゃないの?

 

ってポイントです。マインドフルネスってのは「今ここ」に集中する行為なので、遠い未来のゴールに向かうためのモチベーションはわきづらいんじゃないかって考え方ですね。確かに、なんとなくありそうな考え方じゃないでしょうか。

 

 

そんな状況下、「マインドフルネス瞑想を行うとモチベーションは下がるのか?」を調べたデータ(R)が出ておりました。

 

 

これがどんな調査だったかと言うと、まずは200人の男女を集めたうえで、

 

  1. みんなに「翌週の個人的な目標を3つ決めてください!」と指示し、それらの目標に対するモチベーションを記録するようにお願いする。

  2. その後、全体を「10分ほど瞑想する人」「ポッドキャストを聞く人」などに分類する。

  3. 設定した目標に対するモチベーションが変わったかどうかを尋ねる。

 

みたいになります。ここで使われた瞑想は、ひたすら息を吸って吐きながら身体感覚に注意を向け続けるというものだったそうです。定番の瞑想トレーニングですね。

 

 

すると、結果はマインドフルネス瞑想の勝ちでして、

 

  • ポッドキャストを聞くよりも、瞑想をしたほうがモチベーションが上がり、その差はフォローアップの時点でも残っていた

 

という感じだったそうな。従来の批判に反して、マインドフルネスってのは、モチベーションを上げる方向に働くかもしれないわけですね。

 

 

もちろん、まだまだ小規模な試験なので、もうちょいテストは必要なんですが、マインドフルネスでモチベーションが上がる理由を想定すると、以下のようになります。

 

  • マインドフルネスによって、自分の興味、価値、ニーズ、願望などがクリアになり、本来やるべき行動に向かう気持ちが上がりやすくなる

 

  • マインドフルネスは自分の内面の理解に役立つので、外発的に動機づけられた目標(例えば、お金、賞品)ではなく、内発的な目標(例えば、学習、成長など)へのモチベーションが上がる

 

  • マインドフルネスによってストレスや不安が軽減したおかげで、ゴールに向かうモチベーションがより明確になる。

 

要するに、マインドフルネスというと「現状を受け入れて諦める」みたいなイメージもあるんだけど、実際には「現状を明確に認識して先に進む」みたいな心理メカニズムが働くほうが大きいのではないか?ってことですね。

 

 

ってことで、「なんかモチベーションがわかないなぁ……」って問題にお悩みの方は、マインドフルネスを心がけてみるのもいいかもしれませんねー。

 

 

 

私たちは“反肥満バイアス”を持っているぞ!という研究

「私たちは“反肥満バイアス”を持っているぞ!」って研究(R)が出ておりました。反肥満バイアスってのは、名前のとおり太った人を下に見がちなバイアスのことで、多くの人は、このような無意識のうちにこのような偏見を持っているというんですな。

 

 

ここでは3つの実験を行ってまして、だいたいのデザインはこんな感じです。

 

  1. 参加者に、いろんな体型の人の写真を見せる(ターゲットの性別(男性/女性)×体格(太め/細め)の4パターン)か、いろんな体格の人を描写したシナリオを読む

  2. 写真の人の、暖かさ(温かい、気立てが良い、思いやりがある、育てている)、有能さ(能力がある、知的、自信がある)、自己抑制、感情表現の豊かさなどを評価する。

 

ということで、個人の体型によって、みんながどんなイメージを持つかどうかを調べたわけっすね。

 

 

では、全体的な結論をざーっと見てみましょうー。

 

  • 体重の重い人は、より温厚で感情表現が豊かだと思われるが、その代わりに魅力的でなく、有能さは低く、より自制心が弱いとみなされた。

 

  • 体重が平均的な人だった場合は、「この人は感情の表現が豊かです」と言われたほうが「より暖かい」と認識されやすく、「この人はセルフコントロール能力が高いです」と言われたほうが「有能そうだ」と認識されやすかった。

 

ということで、大きくまとめると、私たちの体格は性格の温かさや能力の高さ印象に影響を与え、太った人よりも痩せた人の方がより有能だと判断されやすいんだ、と。そして、この傾向は、おそらく「痩せている人は自制心が強いのだ!」と思われやすいからだろう、と。

 

 

一方で、体重の重い人ほど温厚に思われ、体重が軽い人ほど感情を抑圧しているように思われやすいのは、おそらく体の大きさが感情表現に影響するからだろうと考えられております。この結果は過去の研究とも一致してまして、たとえば多くの人は、細い人ほど慎重で律儀な性格で、体重が重い人ほど不注意で怠惰で無秩序であると考えやすいんですよね。

 

 

ってことで、どうやら私たちのなかには、体型だけを見て相手の自制心、能力、温かさ、感情表現などをジャッジしちゃう傾向があるんで、誰かを評価するときは「反肥満バイアスに影響されていないか?」と自問してみるのもよさそうっすね。

 

 

 

感謝の気持ちはテキストで送ってもメリットがデカいぞ!

メンタルの改善には感謝が大事」ってのは、よく聞く話であります。このブログで取り上げたところだと、

 

 

みたいなものがあります。複数の研究によると、感謝の気持ちを表すことで、誰でも気分が良くなり、幸福感が向上し、人間関係が強化されるうえに、さらにはより健康的な食事ができるようになったり、恋愛関係も強化されたりと、いろんなメリットが得られるんだそうな。そりゃあ直感的にも、誰にも感謝しない生活よりは、感謝したほうがメンタルには良さそうですもんね。

 

 

でもって、新しいデータ(R)は、「感謝を伝えるメディアによって効果は変わるか?」を調べてくれてて良い感じでした。たとえば、メールで感謝を伝えるのと、対面で感謝を伝えるのでは、感謝から得られるメリットに違いは出るのか?ってことですね。

 

 

これは72名のアメリカ人と、147名の台湾人を対象にした試験で、まずは全体を4つのグループにわけてます。

 

  1. 好きな有名人について書く(コントロール条件)
  2. 対面で感謝を伝える
  3. ビデオ通話で感謝を伝える
  4. テキストで感謝を伝える

 

具体的にどんな風に感謝を伝えたのかと言いますと、例えばテキスト条件では、まずは近ごろお世話になった人に対する感謝の気持ちを記述し、その後3日以内にテキストで感謝の気持ちを伝えるよう指示されたんだそうな。

 

 

その結果がどうだったかと言いますと、

 

  • 感謝を表現する方法は、どんなパターンでもほぼ同じように参加者の幸福を上げた
  • しかし、大半の人は、「感謝の気持ちは対面で直接に伝えたほうが絶対にいいでしょ!」と思っていた

 

だったそうです。みんな対面のほうが効果が高いと思いがちなんだけど、実際にはテキストで感謝の気持ちを伝えても、感謝のメリットは十分に得られるんだってことですね。

 

 

研究チームいわく、

 

重要なのは、人生においてより多くの感謝を表現する努力であり、表現方法ではない。

 

ってことでして、確かに、対面で感謝の気持ちを伝えるのは恥ずかしいこともありますんで、そんな時には、感謝の気持ちをテキストメッセージで伝えることを考えてみるべきかもですねー。

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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